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国内の鉄鋼大手3社 今期 収益力、海外勢に見劣り…日経新聞8月19日13面より

2011年08月19日 15時51分14秒 | 日記
円高が逆風、競争力低下

新日本製鉄やJFEホールディングスなど日本の鉄鋼大手が収益力で海外のライバルに差をつけられている。2011年度の純利益は、国内大手3社を合算しても韓国のポスコやアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)を下回る見通し。

円高で、出荷の半分近くを占める輸出鋼材の競争力が低下。顧客の製造業が海外に生産を移管していることも逆風だ。

10年の粗鋼生産で世界5位たった新日鉄と7位たったJFE(JFEスチール)、25位の住友金属工業の国内大手3社の12年3月期の連結純利益見通し(新日鉄は予想がないため市場予想の平均値)は、3社の合計でも2572億円。

一方、粗鋼生産で世界首位のミタルや6位のポスコの純利益は、それぞれ3千億円超となる見込み。

08年秋の金融危機で鋼材需要が冷え込んだ影響で、世界の鉄鋼メーカーの業績は悪化した。各社の業績は09年度を底に回復に転じた。だが鉄鉱石や原料炭の高騰が響き、主要各社の業績は金融危機前の水準を下回る。

輸出鋼材はドル建てで取引される。韓国のポスコはウォン安で、鋼材需要が増大するアジアなどに輸出攻勢をかけている。人民元相場の上昇も限られている。

粗鋼生産世界3位の中国の宝鋼集団傘下の宝山鋼鉄やポスコなどに比べ、日本製の鋼材は採算確保を目指すと、顧客にはドル建ての価格で割高と映る。鋼材の国内需要が低迷するなか、鉄鋼大手は輸出依存度が高くなっており、輸出採算の動向が収益格差に結びつきやすくなっている。

顧客も流出している。日産自動車は円高を嫌い主力小型車「マーチ」の生産をタイに移管した際、ポスコの鋼材を採用した。アジアでの現地生産に切り替えた顧客企業は、中国や韓国のメーカーの割安な鋼材を調達する傾向が強まっている。

ポスコの主要顧客は現代自動車やサムスン重工業など。顧客企業の業績は好調なうえ、割安な法人税なども支えになっている。日本企業は東日本大震災の影響で生産が一時停滞した。顧客の勢いの違いも、日本の鉄鋼大手の業績がポスコに見劣りする一因だ。

主要各社の株価を07年末と比べたところ、ポスコは約3割の下落にとどまるが、日本勢やミタル、宝山鋼鉄は7割近く下落している。ミタルは欧米の景気減速懸念、宝山鋼鉄は金融引き締めや中国国内の供給過剰が懸念材料とみられる。
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