文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

悪魔的な一党独裁体制の今日の中国になる後押しをしたのが、当時の日本外務省のチャイナスクール組だ

2021年11月08日 15時28分40秒 | 全般

以下は、先般、櫻井よしこさんの、はじめに、だけをご紹介した、2021年5月31日に出版された下記の本からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
活字が読める日本国民は最寄りの書店で購読しなければならない。
世界中の人達には、私が出来るだけ知らしめる。

第一章 中国の横暴を許さない!現在進行形の新疆ウイグル「ジェノサイド」
桜井 
中国は世界で最も罪深い“悪徳国家”のひとつです。
21世紀のいま、どこから見ても許されざる異民族の弾圧や虐殺を続けています。
チベット人にもモンゴル人にも、おぞましい弾圧を加えてきました。
いま、とりわけ国際社会の非難が集中しているのが、ウイグル人への弾圧です。
中国共産党政権は、新疆ウイグル自治区で百万人以上のウイグル人を厳しい監視下に置き、思想や信教の自由を奪い、母語のウイグル語を禁止しています。
個々の民族に特有の言語や文化までも奪おうとしているのです。
多くの男性が「教育センター」という名の強制収容所に送り込まれ、何ヵ月も何年も帰ってきません。
留守を守る女性たちは、中国兵たちに連れ去られ、集団レイプを受けています。
男女を問わず避妊手術を強制され、民族が"根絶やし"にされようとしています。 トランプ政権時代、こうした状況を憂慮したマイク・ポンペオ前国務長官が、中国共産党政権のウイグル人弾圧は「ジェノサイド」(民族抹殺)だと断定しました。バイデン政権の国務長官アントニー・ブリンケン氏もポンペオ氏同様、中国共産党のウイグル人弾圧をジェノサイドだと認定しました。
アメリカを筆頭に先進7ヵ国の日本を除く国々、それに欧州共同体(EU)が一斉に、中国当局者たちを対象に、域内の資産凍結や渡航禁止などを含む制裁措置を発表しました。 
中国は国際社会で孤立しています。
発展途上の貧しい国々や、民主主義的制度のない専制独裁的な国々が、中国のマネー外交にからめ取られることはあるかもしれませんが、まともな先進国の中で、中国を応援する国は、およそなくなってしまいました。
楊海英 
ウイグルだけでなく、チベットもモンゴルも、まったく同じ構造のジェノサイドが行われてきました。
民族を根絶やしにすることを目的に人命を奪い、その民族特有の言語や文化を奪うだけでなく、大規模で組織的な性暴力を伴うことが多いのです。 
ウイグルの人たちと話をする機会があったので現状を聞いたら、私の学生の一人、モンゴル人で新疆で先生をしている彼が報告してくれました。
中国政府はなるべくモンゴル人や漢人を新疆に派遣して、学校の先生や公務員として採用している。
ウイグル人には職を与えないようにしているんです。
しかも、ほとんどのウイグル人家庭に漢人すなわち中国人を住まわせるようにしている。
ひどい話です。
櫻井 
漢人は見張り役をしているのですね。
楊海英 
見張り役どころか、思想の抹殺者ですね。
あまりにもたちが悪い。
イスラム教徒は豚肉が食べられないのに、わざと豚肉を食卓に出して、食べないと、「おまえはテロリストだ」と糾弾するそうです。
イスラムの教義を無視して、平然と信仰を侮辱するんです。 
また、男は強制収容所に送られているので、イスラム教徒の家庭には女性しかいません。
そこに入り込んだ漢人=中国人の男が、あたかも主人のように振る舞っている。「性的搾取」です。
その間に子どもが生まれると、「民族団結の象徴だ」なんて平然と言い放つ。
そんな形の性的犯罪がはびこっています。
しかも、個人ではなく組織的に展開しているのですから、より悪質です。
異教徒の個人がウイグル人の家に入り込んで、子どもまでもうけるなんて、簡単にできることではない。
政府が組織的に主導しているのです。
女子どもの家庭に漢人が入り込む
櫻井 
政府というのは、もちろん中国共産党ですね。
悪魔のような勢力だと思います。
以前、南モンゴルも同じようなひどい目にあったと、楊海英さんが著書で実例をたくさん、紹介しています。
楊海英 
文化大革命の最中に、南モンゴルでも、人民解放軍が女性に対する組織的な性犯罪を行った。
こんなことが起きるのは、人民解放軍と地元の幹部が結託しているからです。
チベットも同じです。
1959年にチベット人の国土に人民解放軍が侵攻し、同地を占領しました。
以来、数多くの男性が犠牲になり、女性は次々と陵辱されていきました……。 
このことは、中国政府が発行した地方誌のデータでもきちんと証明されています。高校の先生でチベット現代史などの書籍を執筆している阿部治平さんという方がいます。
チベット滞在歴の長い方です。
その阿部先生が、それを基に中国の人口政策を解析したところ、奇妙な点が見つかりました。
中国から亡命したアメリカの女性研究者も同じ研究をしていますが、59年から64年まで、チベットの人口はまったく増えてないのです。
それどころか、男性の人口が30数万人も一挙に減っている。
男性は59年のチベット騒乱で“粛清”され、女性と子どもしか残らなかったのです。青海省、甘粛省でも同様です。 
つまりチベットでは50~60年代に、いま新疆ウチグル自治区で起きているのと同じことが起きたのです。
男性は強制収容所送り、残った女子どもの家庭に漢人が入り込んで主人のような顔で居座る。
漢人のやり方は、一向に変わっていません。
櫻井 
加えて、ウイグル人の男性、女性に異常な数の不妊手術が施されています。
この点は亡命したウナグル人医師の証言で明らかになっています。
ウイグルの人口を減らすのを目的に、途轍もない数の"断種"が行われている。
残った女性は漢民族の男と結婚させて、「民族団結」の美名のもとに、ウイグルの人たちの血を薄めていこうとする。
楊海英 
南モンゴルで「文化大革命」が展開されたときも、中国人兵士がモンゴル人女性を大々的に凌辱したのです。
漢人はモンゴル女性を裸にさせて蹂躙するだけでなく、「反革命」とみなした「内モンゴル人民革命党員」の男性に、"みんなが見ている前"で性交するよう命じたこともあったそうです。 
女性の陵辱は、「敵」の男性に対する侮辱の象徴であり、自分たちの力の誇示にもなります。
公の場での強制性交は、人間の尊厳を奪い取り、人格を根源的に崩壊し尽くします。
モンゴル人は二度と漢人に抵抗できないほど、心理的に打ち砕かれてしまう。 
日本も「北京五輪ボイコット」の声をあげよ
櫻井 
ポンペオ前国務長官は、「中国政府の所業はオリンピック精神にもとる」として、2022年の冬季オリンピックの開催地変更を国際オリンピック委員会(10C)に提案すべきだと語りました。
アメリカ上院の共和党議員も、同様の決議案を提出しています。 
しかし、中国の王毅外相は、アメリカやEUの動きに猛烈に反発しています。
「証言はまったくの嘘、役者が証言するように仕組まれた」「人権が侵害されてない根拠として、人口が増えている」などと語っています。
楊海英 
ウチグル人弾圧のすさまじさは、まさに世界的問題になっています。それなのに日本の反応は鈍い。
「中国を敵に回したくない」「うまく付き合っていきたい」という思惑が強すぎるからです、でもこの事態を見過ごさず、ジェノサイドに対して、堂々と非難声明を出すべきです。
ウイグルだけでなく、チベットもモンゴルも、香港も、みんな中国の被害者なのです。
アジアの大国日本がきちんと声を挙げないでどうするのですか。
国際社会の信用を失ってしまいます。
それだけでなく、中国の横暴を後押しする結果になりかねません。
楊逸 
2008年の北京オリンピックのとき、世界は中国共産党のチベット弾圧に、事実上目をつぶってしまいました。
日本も声をあげなかった。
1989年の天安門事件のときも、「民主化」を求めて立ち上がった市民や学生を虐殺した中国政府に対して制裁を加えるべきだったのに、日本はとても消極的でした。
悲しいです。
桜井 
あのときに日本の外務省は二つのことを決めたのです。
まず「絶対に中国を剌激しないこと。天安門での弾圧を批判するにしても、中国の面子を損なわない形ですること。もうひとつは、中国は鄧小平の改革開放政策を推進中なので、日本はこれを助ける方向で動くべきだ。さもなければ中国は混乱し、それ、がアジア全体に波及する」というものでした。
それを主導したのが外務省の中国語研修組、いわゆる「チャイナスクール組」です。
楊逸 
そんな甘いことを言っているから、中国政府は「何をやっても大丈夫だ」と思い込んだのでしょう、その後、やりたい放題の民族弾圧につながっていった……。
桜井 
悪魔的な一党独裁体制の今日の中国になる後押しをしたのが、当時の日本外務省のチャイナスクール組だと言ってよいかもしれません。 
日本外務省の中国傾斜と同じ傾向は、政界、財界、そして言論界にも顕著です。
ですから日本では、ときどきとんでもない「バランスを欠いた議論」が起こります。
そのひとつが東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長発言への反応です。 
「女性が入ると会議の話が長くなる」という発言自体は、そこだけを取り上げると適切ではありませんが、発言全体を見ると、決して女性差別ではありません。
にもかかわらず、大変な非難の嵐になってしまいました。                                  
森会長は辞任して一応、事はおさまりましたが、五輪問題を考えれば、森さんを叩くのであれば、中国政府の所業も厳しく批判しなければおかしいと、私は思います。 
北京政府がしていることは女性蔑視とは次元が異なる大問題です。
ウイグル人女性への集団レイプ、殺害、宗教や言葉を奪って民族のアイデンティティを消していく。
多数の不妊手術まで施して民族浄化作戦を展開しているのが中国政府です。
そのお膝元、北京で五輪を開催することがよいことなのか。
世界は真剣に議論すべきでしょう。
森さんを「五輪精神に反する発言をした」としてひどく非難するのであれば、五輪精神にもっとひどい形で違反している北京政府に、より厳しい非難の声を上げるの、が筋です。
そのことは明確に発信しておきたいですね。
楊逸 
モンゴル、ウイグル、チベットでも、これまでどれだけ被害があったかを検証すると同時に、現在進行中の暴挙を止めなければいけません。
これを放っておくと中国共産党の価値観に従って世界が塗り替えられてしまう。
共産党一党独裁の継続のために、全世界の人々が奴隷のようになって自由を奪われ、思想信条を奪われる、という危険が迫っています。
なんとか阻止しなければいけません。
むしろ、いちばんひどい目にあっているのは私たち漢民族かもしれません。大躍進、文化大革命、天安門……。
櫻井 
中国共産党政権は、一党独裁の自分かちの権益を拡大し守るために、漢民族、少数民族を問わず「血の弾圧」を続けています。
文化大革命による粛清は決して終わったわけではなく、深く静かに、いまも続いているのです。 
日本も世界も、背後に控える中国市場の巨大さに幻惑されて、共産党独裁の弊害に目をつぶっている。
結果として残虐で、非民主的で、国際秩序を平然と無視する共産党を許している。
許しているのは私たちなのです。責任の半分は、私たちにあります。
この稿続く。

 


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