文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

中国との関係は家族ぐるみで、政府・政治の最高レベルにまで及んでいる

2022年01月13日 22時25分09秒 | 全般

以下は前章の続きである。

中国のために多くの帽子をかぶった男
藤山氏は、日中国交回復促進議員連盟の会長を務めていたが、その前身であり、1949年に結成された超党派の「日中貿易関係促進議員連盟」も率いていた。
藤山氏は、定期的に中華人民共和国を訪問して関係を深めるとともに、中華人民共和国を「中国」の唯一の正統な政府として承認するよう日本政府に働きかけた。
また、2国間平和条約(1978年調印)の交渉にも注視し、日中両政府の橋渡し役として活躍した。
最後に、藤山が第4代会長を務めた日本国際貿易振興会(JAPANESE INTERNATIONAL TRADE ASSOCIATION)がある。
興味深いことに、JAPITはホームページで「中国とのビジネスをサポートする」とうたっているが、組織の英語名や日本語名には「China」や「中国」の文言はない。
そして、現在JAPITの会長は、元外務大臣、元自民党総裁、元衆議院議長の河野洋平氏である。
洋平氏の父・一郎氏は、藤山氏の側近として中国との正式な国交開始を推進した人物である。
また、洋平氏の従弟、田川誠一氏は国会議員(11回当選)を務め、朝日新聞の元記者で、この時期の日中関係に関する多くの著作がある。
田川氏の甥で、外務大臣と防衛大臣を務めたこともある河野洋平氏の息子が太郎氏だ。
2021年9月の自民党総裁選の直前に、弟が経営し、父親が設立した会社を通じて中国と深い資金関係にあることが週刊誌で暴露され、太郎氏は選挙に敗れたと考えられている。
ここまで日本の国会議員の経歴を簡単に紹介したが、中国との関係は家族ぐるみで、政府・政治の最高レベルにまで及んでいることが分かるであろう。
国会議員が関与する団体や税金で支援されている組織について、より透明性を高め、説明責任を果たすことは確かに合理的な要求である。
特に、外国、しかも、中華人民共和国のようにますます敵対的な行為者を相手にしている国家の場合はそうである。
もちろん、透明性は民主主義の根幹を守るものであり、国会議員が「友好」の名の下に自滅的な中国との関係改善を追求するために、それを脇に追いやるようなことがなければの話だが。


李克強中国首相と会談する河野洋平氏

李克強中国首相と会談する河野洋平氏

 

ロバート・D・エルドリッヂ(Robert D. Eldridge)
1968年、米国ニュージャージー州生まれ。政治学博士。
フランス留学後、米リンチバーグ大学卒業。その後、神戸大学大学院で日米関係史を研究。大阪大学大学院准教授(公共政策)を経て、在沖アメリカ海兵隊政治顧問としてトモダチ作戦の立案に携わる。2015年から国内外の数多くの研究機関、財団、およびNGO・NPOに兼任で所属しながら、講演会、テレビ、ラジオで活躍中。防災、地方創生や国際交流のコンサルタントとして活躍している。
主な著書に、『沖縄問題の起源』(名古屋大学出版会、2003年/サントリー学芸賞、アジア太平洋賞受賞)、『尖閣問題の起源』(名古屋大学出版会、2015年/大平正芳記念賞、国家基本問題研究所日本研究賞奨励賞受賞)。一般書として『オキナワ論』(新潮社、2016年)、『トモダチ作戦』(集英社、2017年)、『人口減少と自衛隊』(扶桑社、2019年)、『教育不況からの脱出』(晃洋書房、2020年)など多数。

 


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