文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

シンプルな言葉で言い換えれば、「認めたくない自分の姿や立場を直視する」ことだ

2019年11月10日 20時35分40秒 | 全般
以下は前章の続きである。
苦悩に満ちた再評価の義務 
韓国のなかにももちろん、このような中国接近の動きを阻止したいと考える人もいるだろう。
それはそれで素晴らしいことである。 
だが、米日からの離反と中国への従属を本当に止めたいなら、韓国人は歴史問題について、フランスがドイツに示したような態度に変わらなければならない。
戦争が終わった数年後には、もう「過去を忘れて未来に生きよう」と態度を改めたことだ。 
フランスでは戦時中、実に多くの一般人がドイツの軍需工場で半強制的に働かされていた。 
現在のフランス政府が、このような過去の不幸に遭遇したフランス人に損害賠償するよう、ドイツを非難する声を上げることはない。 
ドイツがフランスに対して実際に行った行為は、日本の朝鮮半島での行いよりもはるかに過酷だった。
道を歩いていた人を連行して働かせた。
ドイツ人はフランス人を追放し、射殺し、フランス国内から馬車三万両分の財宝を奪っている。
小麦から鉱物資源、美術品からトラックまで、ありとあらゆる財産を略奪したのだ。 
しかも、ドイツはフランスで学校を建設するようなことをしなかった。 
一方、日本は朝鮮半島のインフラを整備し、京城帝国大学や多くの学校を作った。 
ところが二〇一九年現在、ドイツに対して公的に損害賠償を要求する人がいれば、フランス国内では変人扱いされるようになっている。 
こうした状況から、実に多くのことが見えてくる。
日本の外交官は韓国との関係を改善しようと、ありとあらゆる手を尽くした。
両国間の歴史問題を解決するため、彼らは懸命に任務をこなしてきた。
ところが、その努力はすべて無駄だった。 
なぜだろうか? 
それは、韓国側が「苫悩に満ちた再評価」(agonizing reappraisal)をしなければ何も始まらないからだ。
これをシンプルな言葉で言い換えれば、「認めたくない自分の姿や立場を直視する」ことだ。
これは実に苦しい作業であるが、韓国自身がこのプロセスを開始しなければ、日韓関係は何も変わらないのである。 
韓国は日本人に、歴史の真実と向き合うよう要求してきたが、実は歴史を直視しないと問題解決できないのは彼らなのである。
すなわち韓国人は、まだ生き残っている父たち世代の記憶や死んだ祖父たちの記録と対話することによって歴史の真実を知り、過去を直視しなければならない。
彼らはそこで、ようやく正しい軌道に乗ることができるのだ。 
オランダ人は韓国人と同様に、「苦悩に満ちた再評価」の努力をしなかったため、彼らの心理の奥底に弱さを抱えることになった。
表面上は、ドイツ人に対する反発の感情は、三十年ほどでオランダ人から消えた。
韓国のように、七十年以上も騒ぎ立てることはしていない。 
しかし、ドイツに対する表立った反感は消えても、オランダ人の心のなかにはその問題が熾火のように残り続けている。
たとえば対独協力者の行動は、いまだに続々と文書記録から発見され、史実であることを裏づけている。
歴史的事実を直視せよ 
以上の私の分析は、日韓関係とは何の関係もなく、未来に向けていかなる解決策も示していないように思われるかもしれない。
しかし私は、ヨーロッパの歴史問題が示唆するように、日本側にも具体的な解決策はあると考えている。 
それは、日本政府が日韓にまつわる近現代の歴史の真実について、真剣に研究する本物の公的プロジェクトに資金を提供することだ。
忙しい外交官でも、歴史的な事実が彼らの仕事に大きな影響を及ぼすものであることを知っている。 
その唯一の問題解決策となるのが、調査研究によって、懸案となっている日韓関係史の本当の姿を浮かび上がらせることだ。
「苦悩に満ちた再評価」のプロセスは実に難しいものだが、オランダでは一九六〇年代後半からようやく始まり、オランダ国内でも、公式見解とは違う歴史観が浮上することになった。 
それは、歴史の真実を示す一つひとつのエピソードが具体的に浮かび上がることから始まった。
公式見解では「レジスタンスは大規模に行われていた」とされていたが、時が経つほど、それを否定する具体例がどんどん出てきたわけだ。 
ドイツのために働き、ドイツのために盗みを働いたようなケースが研究論文として文章化され、積み上げられた。
それが「歴史の重み」となって、従来の政府見解の嘘を覆すようになった。 
韓国においても、こうした対日協力の具体的検証は必要だが、同時に日本側が朝鮮半島の開発と発展にどれだけ大きな貢献をしたか、事実を積み上げていくことも大事になる。
インフラ、経済、教育、司法、実に様々な制度を近代化させたからだ。 
先述したように、日本は朝鮮半島に数多くの教育機関を建設した。
ソウル大学の前身は京城帝国大学だったことは、日本でもよく知られている。
日本側の貢献や、朝鮮人の対日協力の事実を一つひとつ、記録から明らかにし、それらを積み重ねることによって、公式の「抵抗の歴史」の嘘を暴き、韓国人に歴史の真実を直視させることができる。 
朴正熈のようなヶースから始めてもよい。
彼は日本の奴隷ではなかった。
日本が朝鮮半島の発展に尽くした功績を認めていたからこそ協力した事実を、韓国人は自覚すべきなのである。 
もちろん、単に腐敗していたから日本に協力した者もいるし、強者に従属する心理もあったはずだ。
それでも多くの人々は、日本が朝鮮社会を現実に発展させていると信じたからこそ、前向きに協力したのである。 
私はここまで、比較歴史の観点から韓国問題を分析した。もし本稿で提案した歴史調査委員会のような組織ができれば、中立な立場の私がその代表に就任してもよい。



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