以下は、月刊誌WiLL2020年12月号に掲載された戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之と阪大文学部出身者の中ではピカイチの文芸評論家小川榮太郎の対談特集からである。
見出し以外の文中強調は私。
赤い巨塔 日本学術会議という病
学はあっても心は反日
東京大学レジーム
小川
ええ、まさに日本学術会議は我々が戦ってきた「戦後レジーム」の一つの象徴なんですね。言い換えれば「東京大学レジーム」。
そもそも学術の最高学府が、国家公務員試験や司法試験合格の登竜門になっている。
行政・司法、そして地方大学、日教組、教科書会社、権威ある大手出版社。マスコミ……そこに左派の価値観をもった東大の実力者とその子分のネットワークが浸透しきっている。
学術が民主集中制に75年支配され、そのまま権力構造を独占している。とても先進国とは言えません。
この東大閥にメスを入れなければ日本は何も変わらないと思っていたら、菅政権がサラッと本丸に銃弾を撃ち込んでしまった。
高山
やられたほうもビックリしただろう(笑)。
小川
どういう反応が起こるかと思ったら、案の定、「学問の自由の侵害だ」と言い始めた。
でも、学術会議は内閣総理大臣が任命する特別公務員という立場です。
公務員にならないと学問ができないのか。
学問の自由と、公務員に任命されることは、何の関連性もありません。
高山
それ以外に振り回す錦の御旗がないんだ。言葉が貧困だね(笑)。
小川
「我々の利権を侵すな」なんて口が裂けても言えませんからね(苦笑)。
高山
櫻井よしこが『週刊新潮』(10月15日号)で指摘していたけど、学術会議はGHQの占領統治下であった1949年に設立された。
戦時中、日本の学者や研究者、科学者が「戦争に協力させられた」として、学術会議は政府から独立して政策提言を行う専門家組織と位置付けられている。
つまり、GHQのお墨付きで組織されたわけだ。
小川
占領政策の一環です。
その証拠に、1950年、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」、その後、1967年に改めて「軍事目的のための科学研究を行わない声明」という声明を学術会議は発表しています。
高山
「日本学術会議憲章」(2008年制定)には、そんなことには一切言及せず「地球環境と人類社会の調和ある平和的な発展に貢献すること」などと書かれている。
表向き、きれいごとを言いながら、日本を解体させたGHQの影響がいまだに深く根付いているわけだ。
小川
しかも学術会議は日本における戦争学、戦争研究にブレーキをかける役割をしながら、中国の科学技術協会との協力覚書を2015年に交わしている。
中国の科学技術の中核は、取りも直さず軍事研究です。
日本の知の研究が、中国の軍事運用の中に組み込まれている可能性は否定できません。
高山
実に奇妙な二重基準だ。
中国の千人計画にマイクロナノロボットや生物模倣ロボットシステムの権威で、元会員の名城大学教授・福田敏男が協力していたことが判明している。
さらに14人の会員が千人計画にかかわっているそうだ。
小川
巨額の年棒で雇われて、完全な秘密主義で進められる。
確信犯的なスパイ活動と言っても過言ではありません。
大西隆元会長は事実無根だと言っています。
ならば疑惑を指摘されている学者たちの身辺調査を徹底的に実施してもらいたい。
高山
こんな時こそ新聞の北京特派員が取材を敢行して、真実を明らかにするべきだ。
小川
そんなことをしたら、当局に捕まってしまいますよ(笑)。
学術会議の一部のメンバーは、日本共産党の前衛のような存在だったと言えます。
元会員で、村上陽一郎東大名誉教授は「ある政党に完全に支配された状態が続きました」とインタビューに答えています。
ある政党とは、まさに日本共産党のこと。
さらに、国家中枢の名誉職を得ながら、日本の国力を弱体化させ、中国共産党政権に積極的に協力する会員も数人いると言われています。
その事実だけでも背信行為だし、大変な国家的損害ですよ。
この稿続く。
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