文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

憲法学者であれば本来は、大日本帝国憲法をマッカーサーが勝手に書き換えて押し付けたと、その出生の秘密を論じなければいけないところだ

2022年01月05日 10時14分37秒 | 全般

以下は、月刊誌WiLL2020年12月号に掲載された戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之と阪大文学部出身者の中ではピカイチの文芸評論家小川榮太郎の対談特集からである。
見出し以外の文中強調は私。
赤い巨塔 日本学術会議という病
学はあっても心は反日
GHQ体制の呪縛
高山 
GHQのお墨付きでスタートした学術会議は東大法学部教授の宮澤俊義らが最初のメンバーになった。
宮澤は「8月革命説」(1945年8月のポツダム官言受諾により、日本において革命が起こり、主権の所在が天皇から国民に移行し、日本国憲法は新たに主権者となって憲法制定権力が移行した国民が制定したと考える学説)を提唱している。
憲法学者であれば本来は、大日本帝国憲法をマッカーサーが勝手に書き換えて押し付けたと、その出生の秘密を論じなければいけないところだ。
ところが、そんなことをすればGHQから即座にパージされる。 
だから、時の権力者マッカーサーに迎合して、押し付け憲法を正しい手続きを踏んで生まれた正しい憲法としたい。
でも、天皇主権が主権在民になってしまう矛盾は覆い隠せないで、それに目をつぶらせるために「ポツダム受諾の瞬間に主権が移動する目に見えない革命が起きた」ことにした。
曲学阿世の典型だね。 
小川 
GHQに徹底的に迎合するというアカデミズム主流の「脳内革命」から戦後日本が始まった。 
高山 
そもそも今の日本における、さまざまな国家的問題は、GHQが種をまいたことにすべての端を発している。
たとえば、少子化問題。
GHQが国政選挙に干渉して加藤シヅエを勝手に当選させ、彼女と社会党を使って妊娠中絶と遺伝性の”不適正児”排除の不妊手術を認める優生保護法を成立させた。 
もともと加藤は若い頃、ニューヨークで社会活動家のマーガレット・サンガーに出会い、「女も男と等しく遊ぶ権利がある。女だけが妊娠の危険を押し付けられるべきでない」と中絶と避妊を是とする思想にかぶれた。
*上野千鶴子が、その後継の代表である事は論を俟たないだろう*
日本に戻ってからは「不良な子孫の出生の防止」まで訴えるようになった。
GHQはそんな加藤に目をつけ、日本の人口増を意図的に抑制するために、優生保護法を成立させたわけだ。
小川 
戦後すぐに実施された第22回衆議院議員総選挙(1946年)も、相当、GHQの意思が介在している。
高山 
それまで獄中にあった日本共産党の徳田球一などが、みな出所してGHQ推薦で立候補し、当選している。
GHQの選挙干渉はすさまじく、文句を言う者はみな追放された。
女性の立候補も認め、79人だかが当選した。
そういうGHQチルドレンが、GHQ謹製の新憲法を審議した。 
それ以外にも東大総長で曲学阿世の代表格、南原繁が「マッカーサー憲法前文にあるように国家は悪いことをする。悪いことをしたら、国家に賠償させるべきだ」と国家賠償法を成立させた。国家が行政権によって執行した事柄は無答責といって賠償責任を負わないというのが米国以下、世界の国々の常識だけれど、新憲法の土台は「おかみが戦争の災禍を招いた」という反省に立っていると前文にある。
つまり意図的に国民と国家を対立させるための方策だった。 
マッカーサーは労働組合法もつくった。
日本は企業経営者も従業員も一緒になっていい製品をつくろうと努力する世界でも稀有の企業ばかりだが、そうではなく、労働者と経営者は対立させるべきで、そうやって生産性を悪くする意図だった。
当時のスイス公使カミユ・ゴルジェに言っている。「組合をつくらせて、安くていい日本製時計ができないようにした」と。 
日本の工業力も弱体化させた。
「デモンタージュ」(施設撤去問題)といって、武器や飛行機を製造する工場などをすべて更地にする政策を実行し、鍋釜をつくれるだけの工業力まで落とし込もうとした。
実際に米国の貼償使節団長エドゥイン・ポーレーが最終的な設計図まで描いていたが、その途上で朝鮮戦争が勃発、日本の工業力が必要になり、息を吹き返した。
首の皮一枚で助かったと言える。 
僕の子供時代、NHKラジオ番組で「農家のいこい」があった。
もともと日本は際立った工業国家であり、農業収入よりも工業収入のほうがはるかに大きかった。
世界に冠たる陸海軍も有していた。
ところが「農家のいこい」では、大根の収穫風景などをリポート、それが日本の国力だと言わんばかりだった。
まさにカルタゴと同じだ。
ローマ帝国にポエニ戦争で敗北した後、交易などがすべて封じられ、イチジク以外、特産品がなくなった。
それと同じことをGHQもやろうとしたわけだ。
小川 
その中で手を染めた一つが、学術会議の設立でした。
高山 
GHQは学問の内容まで支配しようとした。
フランクリン・D・ルーズベルトは「日本人を4つの島に閉じ込めて滅ぼせ」と遺言している。
そのルーズベルトの下請けがGHQだった。
だから、GHQの占領政策は、日本を滅ぼすために実行されたと言っても過言じゃない。
小川 
GHQにはソ連のスパイも多数入り込んでいたと言われます。
日本を徹底的に叩きつぶし、解体しようとした意図は明白です。
マスコミも同じですね。
朝日とNHKもGHQから横やりを入れられ、論調がすっかり変わってしまった。
特に朝日は、鳩山一郎の原爆批判のインタビューを紙面に掲載したところ、2日間の業務停止命令を受け、その後、突然、軍閥批判、大日本帝国指導部批判の急先鋒になった。
高山 
GHQがつくった戦後史のレールから、今も脱却できていないし、朝日は頭の中がいまだに「太平洋戦爭史」観を続けていると言える。
「太平洋戦争史」とは1945年12月8日から10回にわたり連合国司令部記述として全国の新聞紙上に連載されたGHQ宣伝記事のことだ。
この稿続く。

 


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