文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

さすが池田大教授! 週刊朝日は購読すべきジャーナリズムである。

2011年08月03日 13時26分42秒 | 日記
権力とは既得利権のコントロール装置

内田樹がアエラの巻頭コラムで、「無意味なことを命令することができる」もののことを権力者と呼ぶのだと書いていて、全くその通りだと思った。

私はかねてから、権力とは好コントロール装置だと言い続けてきたが、コントロールの行き着く先はまさに内田の言う通りの状況なのであろう。

民主主義がたてまえの世の中では、コントロールはまず最初、国民のためだというパターナリズムとしてやってくる。しかし、一度法律や規則が作られ、これらを盾に利権をむさぼる構造が出来上がると、それが国民一般にとって無意味になっても、マイナスになってもひたすらコントロールし続けようとする。

私の自宅のそばに平日の朝だけ自動車が進入できない道路がある。小中学生の通学路になっているこの道は、以前は隘路で歩道もなく登校時に車の通行制限をする合理的な根拠があった。

一年ほど前に道幅を拡張する工事を行い、広い歩道が造られた。しかし、通行規制は今もそのままである。間違えて進入してくる車を捕えようとの魂胆なのかも知れない。

既得利権のための規則は徹底的に守ろうとする反面、何のかんのと理屈をつけて新しい利権になりそうな規則をどんどん作ろうとする。

かくして与野党を問わず、原発利権を手にしている政治家たちは、原発を死守しようとし、新しい利権の財源が欲しい人たちは増税を企むことになる。

増税はともかくとして、今、多くの国民が望んでいるのは原発はやめてもらいたいが、過度の節電も勘弁してほしいということだろう。

守旧派の権力者たちは、原発やめたら電力もなくなるよと国民を脅すことに懸命だが、この欄で何度も主張したように、火力発電所を増設すれば電力は充分供給でき電力料金も高くならない。

アメリカでは最近シェールガスと呼ばれる非在来型の天然ガスが注目されているという。シェールガスの可採年数は三百年~六百年とされるから、百年足らずのウランよりはるかに長い。

ウランも天然ガスも現時点では輸入するしかないのだから、新エネルギーを開発するにしても、火力発電に徐々に切り替えた方が、時間的余裕は大きい。

菅首相には、「原発やめて火力発電に切り替える。新エネルギーは採算が取れるようになってからやる」との選挙公約で解散・総選挙に打って出ることを勧めたい。どうせ今のままではジリ貧なのだから、これなら勝てるよ。合理的な選択肢は他にないのだから。

池田教授の机上の放論  池田清彦

いけだ・きよひこ 1947年、東京都生まれ。東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了。生物学者。現在、早稲田大学国際教養学部教授。主な著書に 『環境問題のウソ』、『ほんとうの環境問題』 (養老孟司氏との共著)など。

週刊朝日8月12日号より

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