文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

ところが円高に向かうと逆の論理により、他の事情が一定であれば、所得収支黒字の確保が困難となる。

2024年05月27日 10時52分05秒 | 全般

2011/11/30
経常・財政収支の双子の赤字は絶対避けよ
円高に向かうと所得収支の黒字確保難しく
世界から資金呼び込むため投資環境整備を

この見出しだけで十分でしょうが、抜粋して見ましょう。

成熟した債権国へ、日本の条件㊦
 
資産運用の拠点化目指せ

…前略   文中黒字化と*は私。

30年以上に及ぶ貿易・サービス収支黒字の累積の結果、日本は現在250兆円もの対外純資産を誇っており、第2位の中国(150兆円弱)を上回る世界一の対外純資産保有国である。
この資産を適切に活用すれば、所得収支黒字の拡大が可能である。
将来円安に向かうのであれば、過去の蓄積を未来に向けて活用すべきだといえるであろう。

一般に、日本が外国で獲得する富は外貨建てであり、日本国内の帳簿に計上する際には円に換算されるので、円安になればなるほど所得収支黒字が増大する。
所得収支は海外子会社・支店の収益も含むので、企業の生産拠点の配置を最適化するとともに生産活動を強化して収益を上積みすることが好ましい。
ところが円高に向かうと逆の論理により、他の事情が一定であれば、所得収支黒字の確保が困難となる。
すると、前述のように高齢化に伴う貯蓄減少と相まって経常収支が赤字化し、財政・経常収支の双子の赤字に陥る。
円高で外国資産を購入しやすくなることが将来の所得収支の改善要因になるが、トータルでみれば改善効果は限定的だ。
円の国際化を促進し外国投資の円建て化で為替変動の影響を受けないようにすることも選択肢の一つだが、短期間での実現は困難であろう。
…中略
今後は「一方通行」型の資産運用を補強する方法が必要となるであろう。
具体的には 「世界から投資資金を呼び込み、その資金を企業や投資家が世界で高い収益が見込まれる事業や資産に投資して、所得収支黒字を獲得する」という「ハブ(拠点)センター型の資産運用が考えられる。 ハブ化に当たってはアジアを念頭に置くべきだ。東アジアの新興諸国には旺盛な資金需要があり、中国や日本には巨額の個人金融資産がある。これらの資金の需給を日本、特に東京証券取引所を通じて結び付けるよう、規制や監督の透明性、柔軟性、予見可能性を高めると同時に、会計基準や情報開示を世界標準と整合的にすることが求められる。外国市場、例えば香港や上海、シンガポールの市場との連携も必要であろう。

*それも実は必要はなく、私の〈解答〉を実行するだけで良いのだ。

…中略
双子の赤字を抱える米国に問題があまり生じないのは、海外から多額の投資が流入しているからだ。
それはドルが基軸通貨だからこそ可能であり、日本には不可能だ。
従って双子の赤字を抱える前に、日本が外国からの投資を呼び込めるよう国内の投資環境を整備することが望まれる。
*これこそ、私の〈解答〉の正しさを100%証明しているものです。
加えて財政赤字の解消も不可欠だ。ただ、注意すべきなのは、増税が唯一無二の手段ではないということだ。
増税により景気が低迷して貯蓄が取り崩される結果となれば、貯蓄超過のマイナス方向への動きが加速し、「恒等式」成立のために経常収支が悪化してしまうからだ。
財政・社会保障改革を通じた財政収支の改善と、成長戦略の立案・実現をセットで進める必要があるといわれるゆえんである。
…後略。
ふじた・やすのり 68年生まれ。
慶大経卒、東大工学博士。専門は応用経済理論


2024/5/25 in Kyoto




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