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LGBT法案を錦の御旗に、「不当な差別だ」と主張する口実に使われてしまうことは目に見えている。

2023年07月12日 08時58分09秒 | 全般

本章は以下の続きである。
百田尚樹×有本香「保守新党設立宣言」
百年に一度の悪法

「不当な差別」の口実に
百田 
私は小説家ですから、この法律が通ったあとに、どのようなことが社会で巻き起こるかを想像します。 
たとえば、自称トランスジェンダー女性が女子トイレや女性用浴場、女性更衣室に次々と入るようになる。
法案の賛成者は、「そんなのはデマだ。これまでと変わらず、現行法で捕まえられる」と主張します。
はたして、本当にそうでしょうか。 
6月10日、三重県の津市で五十四歳の男が女装して女湯に侵入したとして、建造物侵入の疑いで現行犯逮捕される事件が起きました。
たとえばこの事件、法案が成立したあとでも同様に対処できるかどうか、私は弁護士の北村晴男先生に直接尋ねました。
すると北村弁護士は、「おそらく警察官は逮捕に躊躇するのではないか」との見解を示されました。
有本 
「私は女だ。これは不当逮捕だ」と言われる可能性がありますからね。
百田 
そうです。現にこの男は、「私は女だ」と容疑を否認しています。
北村弁護士は、不当逮捕で逆に警察官が譴責をくらう可能性がある、との見方を示しています。
さらに、それでも逮捕して書類送検で検察に送致した場合、今度は検察官も起訴するかどうかで迷うだろう、と。 
検察官も法律のプロです。今回のLGBT法案に照らし合わせて、起訴して有罪にもっていけるかどうか、むしろ負ける可能性が高い、と北村弁護士は指摘します。
有本
 日本の刑事裁判の有罪率は99・9%と非常に高いわけですが、これは確実に有罪を勝ち取れる案件しか起訴しないからですよね。
もし仮に起訴して検察が負けたら、その担当者はキャリアに大きな傷がつく。なので、負ける可能性がわずかでもあれば起訴しないことが多い。
百田 
それでも、肝の据わった検察官が起訴したとしましょう。
次に裁判になった時、はたして裁判官が有罪判決を下すかどうか、これもあやしい。
このような事例の裁判がいまよりも多くなることは確実で、そのなかで一例でも「不当逮捕である」という判決が下った場合、その判例が大きな力を与えることになります。
有本 
最高裁が下した判決であればなお重いですね。
大変な影響力を持ちます。
百田 
いわば、トランスジェンダー女性を自称すれば、女子トイレでも女性更衣室でも自由に入れるという絶対的なお墨付きを得ることになります。
「そんなことはあり得ない」と言い切れるでしょうか。 
さらに、女性浴場や更衣室などから排除されたトランスジェンダー女性が、ホテルや旅館、温泉施設の経営者に対して、「精神的な苦痛を受けた」などと損害賠償請求訴訟を起こす可能性も高い。これまた施設側か負けて賠償を命じられる可能性もあり得るわけです。
もしそのような判決が1つでも出たら、施設側は今後、自称トランスジェンダー女性らを排除できなくなってしまう。
裁判を起こされたら弁護士費用もかかり、まして敗訴して賠償を命じられたら経営的にも大きな痛手になるからです。
そうしたリスクを冒してまで施設側か排除できるかどうか。
有本 
LGBT法案を推し進める議員のなかには、「公衆浴場法があるから防げる」「公衆浴場における衛生等管理要領では浴場と脱衣所は男女を区別することになっています」などと言うのですが、あまりにもお粗末です。
LGBT法案を錦の御旗に、「不当な差別だ」と主張する口実に使われてしまうことは目に見えている。
現場も大変な混乱に陥りますよ。
そうしたことを、賛成した国会議員は考えているのか。

「理解増進」の実態
百田 
差別の定義もなされていませんから、この法律によってとめどなく拡大解釈される余地があります。
しかも、本当にトランスジェンダーなのかは誰にも見極められないんです。
これはどう見ても男だという人物でも、「私は女だ」と本人が言い張れば誰も否定、判定できない。
そうなると、女湯や女性更衣室に入りたいという偽物のトランスジェンダー女性を防ぐことはできないのです。
そのなかには、本物の変質者や悪ふざけの愉快犯もいるでしょう。
トランスジェンダー女性とは何なのかという定義が全くない状態で法律を押し通せば、社会に混乱を招くことは容易に想像が付きます。 
もちろん、変質者や悪質な愉快犯は社会の一部にすぎません。
しかしながら、社会はIパーセントの不届き者が現れたことでも徐々に崩壊していく。
「温泉施設で女湯に男性器をぶらさげた変質者が入ってくることがありますが、それは全体の1パーセントにすぎません」と言われても、ほとんどの女性はそんな施設には怖くて行きたくないでしょう。
有本 
岩手県では、この法律ができる前からおかしなことが起きています。
たとえば、トランスジェンダー女性が女子トイレや女性更衣室に入ってきた時、違和感を覚えた側の人に理解を深めてもらうよう注意しましょうと、「いわて県民計画(2019~2028)」という職員向けのガイドラインにそうした趣旨のことがしれっと書かれているのです。
百田 
「キャーやめてー、私たちの更衣室に入ってこないで!!」と声をあげた女性に対して、「君、それは間違っているよ」と注意すると。
まさしく、いまアメリカのカリフォルニア州などで問題になっている事例ですね。
有本 
「キャー」と声をあげたほうが、「理解が足りないから諭しましょう」というのです。
これが理解増進だと。そうしたことがすでに日本で行われているんです。
ですから、よく法案賛成者から「全国の自治体で過激な策がすでに出ていて、それらに歯止めをかけるために法律が必要なんだ」などというもっともらしい言い訳がされていますが、全く逆です。そうした過激な流れを助長させてしまうのが今回の法案なんです。
よくも「歯止めになる」などと言えるなと、愕然(がくぜん)としますよ。
この稿続く。

 


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