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文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日常の中の自然  千葉大学名誉教授 古在 豊樹…日経夕刊1面から。

2011年10月27日 16時48分29秒 | 日記
紅葉狩りやハイキングで自然に楽しむ季節である。その自然に対する私たちの感じ方が微妙に変化していると、最近、感じている。仲秋の満月に思わず路上で立ち止まって見入った人が今年は増えた気がする。
 
イチョウやケヤキの色合いやシルエットのうつろいを通勤や買い物の途中で感じている人も今年は多い。秋の気配を感じた自分の肉体が、冬に向けて準備を開始していることに気づいている人もいる。自然が以前より身近になっている。自然は日々穏やかに変化しているが、時折、様相を一変し、クライマックスを迎え、時に崩壊を伴うが、そのしばらく後には、何事も無かったような静穏に戻る。
 
遠出して准大な自眼を体惑するにしても、それは日常の中の穏やかでかすかな自然の変化とそれに感応する自身の心身の変化を楽しむことを基軸としたものでありたい。日常の小さな白然の中に大きな自然を見出す感性は私たちが昔から身につけてきたものだ。
 
日常の中の自然に無関心で、世界自然遺産やアマゾン、アフリカ、ヒマラヤに行かないと自然を感じないのは、大音響でないと音楽ではない、と言っているのと同じだ。
 
海外の名所から国内の鄙びた温泉や田舎の景観に視線が移り、遠出だけでなく地元の再発見に喜びを見出し、市民農園や地域環境保全に人々の余暇の関心が移りつつある時代は、いかなる未来を予感させるのか。
 
この内向きな変化が、視野の狭さや人生の矯小化ではなく、個人、地域、地方、国、地球を重層的に捉える視点の獲得であるとしたら、パーソナル、ローカル、ナショナル、グローバルを重ねた、インターネット社会における新たな文化の創造につながる。

*芥川は古在さんの感覚に全く賛同する。

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