文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

中国共産党の意図は、中東で事を起こさせ、米国の意識を中東に向けさせる。それで東アジアに手出しができないようにするわけです

2021年03月08日 15時23分09秒 | 全般
以下は発売中の月刊誌WiLLに、言論と報道の自由が圧迫される米社会、と題して掲載されている藤井厳喜と島田洋一の対談特集からである。
p212-p215
謝罪外交に走るな
藤井
韓国は狡猾ですから、米国を利用して、慰安婦問題を蒸し返してくる可能性は十分あります。
安倍首相(当時)が2015年、慰安婦問題の日韓最終合意として、10億円を払う、極めて不十分な妥協案を受け入れてしまいましたが、この合意の裏にはオバマ政権の圧力がありました。
特に大統領補佐官だったスーザン・ライスの役割が大きかった。
島田 
あの合意にはバイデンも調停役でかかわっていたそうです。
ところが、韓国は合意を破る行為をした。
バイデンとしては顔に泥を塗られたわけで、韓国側に怒りを覚えるだろうと楽観する向きもあります。
しかしまず、バイデンが6年前の話を覚えているかどうか(笑)。
藤井 
覚えていても忘れたフリをする人です。
島田
一番厄介なのは、覚えているがうろ覚えで、文在寅やソン・キムから慰安婦問題を日本側が蒸し返したと聞かされると、「よく分からんが日本はけしからん」となるケースです。
ハリスが横から、「女性を性奴隷にした日本がすべて悪いに決まっている」などと煽れば、理不尽にバイデンが激怒する可能性もあります。
藤井 
鳩山由紀夫は、直前に会った人の話にすぐ影響を受けたそうですが、それと同じことがバイでンにも起こり得ます。
しかも、森喜朗氏の発言が女性蔑視で差別的であると、日本はなんて国だという印象が世界に広まっている時機です。
そういう悪い印象操作に乗っかって、ハリスがおかしな人権外交を、捏造事件をもとに展開することだって十分考えられます。
同じく南京大虐殺事件にしても、チャイナの工作によってどう転ぶかわかりません。
外務省は事実に基づいて主張をすればいいのですが、すぐ謝罪外交に走ってしまいます。
そんなことをしたら、暗に歴史的事実であることを認めるだけです。
島田 
トランプ時代は、安倍・トランプの信頼関係がありましたから、歴史問題で韓国に付け入るスキを与えませんでした。
しかも、トランプは文在寅を心底軽蔑していたので、「通訳しなくていい」と言うなど、そもそもろくに話を聞こうともしなかった。
藤井 
菅さんはバイデンのイエスマンになってしまうのではないか心配です。
今のところは不安要素のほうが大きいですね。
島田 
ともかくバイデンは言葉に内実が伴わないので有名な男です。
レーガン元大統領が「純粋なデマゴーグ」と評したように、空疎な演説は得意ですが、具体的成果につなげる構想力と集中力がない。
そして優柔不断です。 
バイデンは回顧録で、マスコミから「ジュージューと焼き音はするがステーキが出てこない」と批判されたと明かしています(笑)。
藤井
自覚はしているのかな(笑)。
島田 
優柔不断の典型例が、2011年、ウサマ・ビン・ラーディン殺害作戦のときです。
バイデンは失敗した場合の政治的マイナスが大きいと最後まで難色を示した。
結局、オバマが決断し、決行したのです。
大場より急場
藤井 
そんなバイデンですから、チャイナ以外の外交政策でも的外れなことばかりしています。
中東政策で、イエメンを中心に活動している反体制派のイスラム教シーア派武装組織「フーシ派」をテロリスト認定から外しました。
サウジアラビアやイスラエルは、その決定に憤っています。
島田 
当然でしょう。フーシ派はイランの傘下にあって、サウジアラビアと最前線で戦ってきた組織です。
対イランで事実上同盟関係にあるサウジとイスラエルにとっては由々しき話でしょう。
藤井 
イラン自体、トランプという重石がなくなったので、核武装に向けて一歩、二歩前進しています。
それなのに、バイデン政権はイラン核合意に復帰するという。
島田 
中東情勢が混迷すると、囲碁に「大場より急場」という言葉があるように、米国の意識はそちらに向かわざるを得ない。
その分、東アジアの安全保障は手薄になります。
藤井 
中国共産党の意図は、中東で事を起こさせ、米国の意識を中東に向けさせる。
それで東アジアに手出しができないようにするわけです。
この戦略は、トランプ政権以前はうまく行っていました。
そもそも、世界の秩序から考えると、米国のような超大国が睨みを利かせていれば、「ならず者国家」に指定された北朝鮮やイランなども、それなりに大人しくしていました。 
ところが、ミャンマーでの軍事クーデターしかり、先のフーシ派しかり、不穏な動きが再開しています。
北朝鮮にしても、トランプという”カミナリ親父”がいなくなったことで、核武装をはじめ、活発な行動を開始する可能性は十分あり得ます。
島田 
金正恩が何より怖れているのは、自分の命が狙われることです。
トランプが斬首作戦も辞さない態勢を示したことで、金正恩は召使の文在寅を走らせ、米国への外交的接近を試みたわけです。
しかもトランプは、2020年1月、イランの対外破壊工作の責任者ソレイマニ将軍を、隣国イラクの空港に降り立った直後にドローン攻撃で殺害しました。
仮にも政府高官を第三国の領内で斬首作戦の対象にしたわけです。
国際法違反あるいは暗殺を禁じた米国大統領令違反といった声が上がりましたが、トランプは気にしない。
そうした光景を目の当たりにすれば、金正恩ならずとも首筋が寒くなるでしょう。テロリストに対する非常な抑止力になったと思います。 
ところが、バイデンは、「私だったら、ああいう作戦にゴーサインを出さなかった」と言っています。
藤井
ロバート・ゲーツ元国防長官は、バイデンについて「過去40年、はぼ全ての主要な外交、国家安全保陣問題で間違っていた」と評しています。
すべてを間違うということは、なかなかできないことです(笑)。
島田 
ゲーツは付け加えて、ホワイトハウスでのある会合の帰途、「今日は副大統領と意見が一致しましたね」と同乗者に指摘され、「私もそれは気づいていて、だから間違っているのではないかと考え直しているところだ」と(一同爆笑)。
藤井
ただ、日本からすれば、笑いごとではありません。
バイデンと本当に4年間付き合うことができるのか、日本は心してかかる必要があります。



 

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