以下は前章の続きである。
とんでもない事態
また原発には20㍍を超える城砦のような防潮堤も建設されている。
万一津波が防潮堤をこえても建屋は高水密性で完全防水態勢だ。
3・11後の大規模工事で世界一過剰と言ってよい安全対策がとられたところに、火災感知器の電線管の穴を幾千も開けさせるのである。
まるで潜水艦の船体を、火災感知器のケーブルを通すために穴だらけにするようなものではないか。
炉心損傷や被曝線量上昇のリスクは逆に高まる。
電力各社は当然そう訴えた。
だが、規制委は自らの指示が国際的に確立されたルールに違反していることにさえ気が付かない。
結果、現場はいまとんでもない事態に陥っている。
ケーブルを貫通させる工事は原発の運転中はできない。
運転停止する定期検査期間に行わざるを得ないため、その期間のすべてを使っても4年越しの大工事になる。
あらゆる意味で鉄壁の安全策を施した原子力発電所にこれから4年間、穴を開け続けるという異常事態が生じているのである。
規制委のこの尋常ならざる強権支配は三条委員会に与えられた絶対権力故であろう。
だが、法治国家であるわが国においては、如何なる権力も法の上には立てない。
行政手続法は、審査条件を明確に呈示し、審査条件を途中で変更しないこと、概ね2年で速やかに審査を行う、などと定めている。
規制委の初代委員長・田中俊一氏は当初、審査期間は半年ほどと語っていた。
だが、半年どころか、2年、さらに7年がすぎても多くの原発審査は終わっていない。
当然であろう。
次から次に、前述したような無茶苦茶な審査条件が新たに加えられるからだ。
田中氏は「日本の原子力政策は嘘だらけ」「結果論も含め本当に嘘が多い」と、原子力業界を厳しく非難する(「選択」19年1111月号)。
では規制委委員長としての氏の言動はどうだったのか。
現委員長の更田氏もその余の規制委員も、行政組織の一員として、行政手続法を守っているのか。
答えは明らかに否ではないか。
その点を厳しく指摘し、私は来年1月のIAEAの調査結果を見届けようと考えている。
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