文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

それらの壁は太い鉄筋が多数配筋された強化壁なのだが、ここにケーブルを通すためにドリルを突き刺すのだ。

2019年12月13日 22時22分17秒 | 全般

以下は前章の続きである。
情けない人々 
原発の安全性を高めるために、まず規制委が「意識」を変えよ、というのだ。
そのための「啓発研修」を行う必要があり、規制委及び規制庁職員の「意識調査」を実施して自らを省みる具体策を導入せよと指示したわけだ。 
ここまで言われる情けない人々に、日本は国民生活及び産業基盤を支えるエネルギー、その中の太い柱である原子力発電の在り方を規定させているのだ。
こんなことで日本の未来が大丈夫なはずがないだろう。 
IAEAの厳しい指摘の背景には立派な理由がある。
それを示したのが、昨年6月、規制委が全ての電力会社に命じた原子力発電所の火災感知器設置に関する新しいルールだ。 
原子力発電所は原子炉等規制法に基づいて、火災感知器を潤滑油やケーブルなど可燃物があるところに重点的に設置し、可燃物のないところには設置していない。
これは国際標準であり、日本も以前から国際標準に従って十分な対策を講じている。 
だが規制委はここに突然、消防法を持ち込んだ。
消防法は民家やビルなどの部屋毎に、火災感知器の感知範囲を元に設置基準を定めている。
その消防法に従って各原子力発電所は新たに1500から2000個の火災感知器を追加設置せよと、規制委は指示したのだ。  
電力事業者は全社が反論した。
すでに各原発には必要な所に約1000個に上る火災感知器を設置済みで国際標準を十分に満たしている。
安全性も保たれている。
1500~2000個の新設は原発の安全性を強化せず、むしろ、リスクを高めると具体論で反論した。
だが、規制委は耳を貸さなかった。 
ちなみに規制委は元々、菅直人氏の発想で生まれた三条委員会だ。
三条委員会は首相も介入できない強い独立性と権限を有している。
与えられた権限が強ければ強いほど、本来は、関係者に対して丁寧な説明をし、謙虚に意見に耳を傾けなければならない。
しかし、規制委にはそのような発想も謙虚さもないのであろう。
電力会社は膨大な数の火災感知器の設置とケーブルを通す作業を開始せざるを得なかった。 
少しばかり具体的に考えてみよう。
ケーブルは火災感知制御盤に接続されて初めて機能する。つまり、新たに導入する約2000本のケーブルを中央の制御盤につながなければならない。 
原子力発電所は、作業員の被曝を避けるために厚さ1~2㍍のコンクリート製の遮蔽壁や耐震壁を随所に設けている。
それらの壁は太い鉄筋が多数配筋された強化壁なのだが、ここにケーブルを通すためにドリルを突き刺すのだ。
この稿続く。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「規制委の人的資源、管理体... | トップ | 3・11後の大規模工事で世界... »
最新の画像もっと見る

全般」カテゴリの最新記事