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文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

本稿で彼が教えてくれている韓国の実態については、朝日新聞やNHKなどのメディアは、ただの一度も報道したことは無い。

2019年12月26日 17時32分19秒 | 全般

以下は月刊誌Hanada今月号に、隣国のかたち、と題して掲載されている室谷克実氏の連載コラムからである。
彼が日本有数の韓国通である事は何度か言及したとおりである。
本稿で彼が教えてくれている韓国の実態については、朝日新聞やNHKなどのメディアは、ただの一度も報道したことは無い。
自営業者大国、貧困のブラックホール
首切りではなく名誉退職だ 
韓国人は、自分の国について「○○大国である」「○○強国である」といった形容句を付けることが大好きだ。
だからといって、「現在も慰安婦大国である韓国は……」と事実に即して話を始めようものなら、「ヘイト、ヘイト」と猛非難を浴びるのは間違いない。
「○○」はプラスイメージの名詞でなければいけないのだ。 
では、「自営業者大国」と言ったらどうか。
この言葉にプラスのイメージを持つ韓国人は少ないだろう。
しかし、「ウソだ」とは誰も言えまい。 
自営業者とは、法人としての登録をしていない個人事業主のことだ。農家は典型的な自営業者であり、経済学の常識では産業構造が高度化するほど、自営業者の比率は低下する。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均は15%前後だが、2016年の韓国は25.5%に達する(日本は10.6%)。
就業人口の4人に1人が自営業というわけだ。 
なぜ韓国は、こんなに自営業者比率が高いのか。
「韓国=自営業者大国」の解剖こそ、今日の韓国社会の仕組みと、韓国人の心理を解き明かす有力な手段になるかもしれない。 
韓国の大手企業(従業員数300人以上)は、16年から法定定年が60歳になった。
17年からは300人未満の企業にも拡大適用された。
大手企業のなかには65歳定年のところもある。 
こうした話だけ聞いて「日本とほとんど同じだ」と思い込むと、"トンデモ韓国論"に陥ってしまう。
実際は、法律で「60歳定年」が決まろうと、企業が「六十五歳定年」の内規を決めようと、それはブルーカラーだけの話であり、ホワイトカラーは依然として「45定(サオジョン)」なのだ。 サオジョンー45歳と決まっているわけではないが、40歳代後半から50歳代前半になると、取締役(韓国語では「理事」という)に抜擢される同期生が出る。
すると、なれなかった社員は肩叩きに遭うのだ。 
肩叩きされての退職を、韓国語では「名誉退職」という。 
韓国は「自尊心大国」でもある。
日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や、日本の対韓輸出管理の強化への対応でも、「国としての自尊心」が人きなファクターになった。 
韓国のホワイトカラーも自尊心の塊のような存在だ。
だから大手企業では、同期から取締役が出るような年齢になるよりも、はるか前から同じようなことが起きる。 
たとえば、同期入社の半分が一斉に係長(韓国語では「代理」という)に任命されると、なれなかった半分は辞めてしまう。 
大学新卒者の半数が就職浪人をするような状況が続いている。
そのなかで財閥系大手に就職できるのは、全体の2%ほどのエリートだ。
が、そうしたエリートも、3年か5年したら半数以上が脱落するのだ。 
こうして大手企業や中堅企業を退社したホワイトカラーは、中小企業に職を求める。
係長になれなかった場合は、課長として雇ってくれる会社を選ぶ。 
課長になれなかった場合は、部長として雇ってくれる企業を狙う。
月給がガクンと落ちても、上位の肩書を得れば、彼らは自尊心を守れたと思い、とりあえず精神的勝利感に浸れる。
ド素人が突然、飲食店経営 
では、「名誉退職」させられた中年世代はどうするのか。
大部分は零細企業でもいいから、何とか再就職しようとする。
が、50歳前後で、しかも卓越した専門知識があるわけでもない人材を雇い入れるような企業はめったにない。 
子供の教育費もかさむ年代だ。
わずかな年金にあずかれる日は遠い。 
そんな窮地から脱するために、それまでの貯えと退職金を元手に、彼らは次から次へと自営業に参入するのだ。 
こうした状況を“韓国人的に”格好良く説明すると、「韓国では21世紀に入ってから、中年の高級人材が次々と独立する起業ブームが続いています」となるのだろう。
韓国人が日本の学生にそう話しているのを聞いて、”トンデモ韓国論”の発生を憂えた。 
実態は違う。 
二十世紀終盤の韓国は、自営業者比率が3割台だった。
アジア金融危機に伴う内需萎縮で廃業する自営業者が続出し、一時的に自営業者比率は22%まで下がった。
そのまま自営業の自然淘汰が続くのかと思われたが、21世紀に入ると、また増え始めたのだ。 
「高級人材」による「起業ブーム」などと聞くと、IT部門のベンチャー企業かと思ってしまうが、会社から押し出された人々が起業する分野は、昔も今も小売店と飲食・宿泊業が圧倒的に多い。 
宿泊といっても、ホテルを経営するわけではない。
民宿・民泊の類だ。
もちろん、なかには大きな元手を投じて起業する人もいる。 
朝鮮日報(12年10月24日)の「貧困のブラックホール 自営業720万人時代」という見出しの記事は、大きな元手を投じて失敗した例がいくつも載っている。その一つを要約して紹介しよう。 
―建設会社の役員を務め退職したC氏(56)は昨年、5億ウォン(筆者註‥当時は1000ウォン=85円程度。現在は1000ウォン=90円程度)を投じてソウル・江南地域に70坪の店を借り、大規模な輸入ビール専門ビアホールをオープンさせた。
オフィスが密集している地域のためうまくいくと思っていたが、現実は違った。
週休二日制の会社がほとんどのため、金曜日の夜から日曜日までは開店休業状態で、平日でも日中は客が入らなかった。
売り上げは伸びず、2000万ウォンの店舗賃借料と従業員8人の給料まで払うとなると、赤字は雪だるま式に膨れ上がった。
結局、1年もたたずに店を閉めたー
建設会社の役員だったから5億ウォンもの資金があったのだろうが、下調べもしなかったのだろうか。 
この記事に取り上げられている例は、どれも甘い見通し、発作的転職ばかりだ。 
日本で「独立して自営になりました」と言う人々は、だいたいのところ、それまでいた会社で培った技術やノウハウを活用する業種だ。が、建設会社からビアホール経営へ。
建設会社で身に付けた知識のどこを活かせるのだろうか。 
しかし、韓国では全くのド素人が、ある日突然、飲食店の経営を始めることが珍しくないのだ。
料理人を雇ってきて、自分はレジのところに座わっている。
法人登録をしていなくても「○○商会社長」といった名刺を持ち、精神的勝利感に浸るのだ。 
もちろん、そんな商売が成功する確率は極めて低い。
朝鮮日報の記事は、こんなコメントを付けている。 
「04年から09年までの統計庁資料を分析した結果、自営業者が多い飲食・宿泊業は年平均124,000店が新規で事業を始める一方、127,000店が廃業している」 
「起業して3年続いた自営業者は46.4%に留まった。中小企業庁の実態調査では、自営業者が昨年手にした純利益は、月平均1,492,999ウォンに過ぎなかった。国民基礎生活受給者(日本の生活保護受給者に相当)=四人家族基準=とほぼ同じ額だ。また、自営業者の57.6%は1ヵ月の収入が100万ウォン以下だった」
念のために述べておくが、韓国の物価水準は日本とほとんど同じだ。
この稿続く。


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