それでは続きを。
アメリカは、アンゴラが中国に抱く幻滅もうまく利用している。米当局者は6月、アンゴラ政府高官と貿易強化について会談。09年にIMF(国際通貨基金)が決定したアンゴラへの資金援助を引き合いに出し、欧米金融機関が新たな融資を行う可能性も示唆した。
こうした状況を見ても明らかなように、アメリカのほうが関与の度合いも多様さも上だ。アメリカは国際機関のほか人道援助や軍事支援を通じて、アフリカだけでなく世界の多くの地域に関与している。一方の中国は、ジンバブエおよびスーダンとの結び付きが注目を集めているが、アフリカにおける軍事的な存在感は微々たるもの。中南米では皆無に近く、自国の裏庭のアジアでさえアメリカに比べるといまだに影が薄い。
例えば、7月にベトナムの首都ハノイで開かれたアジア最大の安全保障会議、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム。中国の軍備増強と南シナ海の領有権問題をめぐって懸念が高まるなか、中国を牽制したアメリカの発言が歓迎された。
バラク・オバマ米大統領は今秋、第2回米・ASEAN首脳会議を開催する構えだ。7月のASEAN外相会議では、東アジアサミットに来年からアメリカを参加させる方針が決まった。アジアにおける中国の影響力に対抗するためだと報じられている。
米政府は昨年、ラオスとカンボジアに対する人道・軍事援助を拡大し、両国を貿易のブラックリストから外した。これでアメリカからの投資が増えるはずだ。
7月にはベトナムのファム・ザー・キエム副首相兼外相が、アメリカとベトナムは「過去のわだかまりを捨て」、商業上・軍事上の関係を強化していくと語った。両国間の貿易額は02年の29億1000万ドルから昨年は154億ドルに跳ね上がっている。
アメリカはインドネシアとも4月に協定を結んだ。これにより、東南アジア最大の規模を誇るインドネシア経済への米資本の流入が加速するだろう。
もちろん、アジアの域内貿易では今でも中国が幅を利かせている。08年、中国以外のアジアの国との貿易額は、アメリカの1780億ドルに対し、中国は2310億ドルに達した。とはいえ、その大半は付加価値の低い中間財だ。中国はより貧しい国から安い部品や原材料を買い、輸出用製品に加工する。同時に、自らも韓国などのより富裕な国に安い部品や原材料を輸出している。
こうした貿易形態では、東南アジア諸国の技術向上に不可欠な技術移転は進まない。そのためマレーシア、シンガポール、ベトナム、タイ、インドネシアなどは今も、起業や技術や教育の面でアメリカを当てにしている。アジアへの外国直接投資に占める割合でも、アメリカは中国を大きく上回っている。09年は中国の3・8%に対しアメリカは8・5%、金額にすると15億ドルに対して34億ドルだった。
東南アジア各国は今後も、アメリカと政治・経済・安全保障上の面で協調を強めていくと専門家はみてぃる。「チャンスを無駄にする気はない」と、米外交問題評議会アジア研究部長のエリザベス・エコノミーは言う。