goo blog サービス終了のお知らせ 

文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

徹底研究 「松下政経塾の罪と罰」②…週刊朝日9月9日号より

2011年09月08日 11時11分12秒 | 日記
…前章からの続き。

最近の卒塾生には、横のつながりの意識は希薄だという。「同じ釜の飯を食ったという思いがあるのは、5期生ぐらいまでじゃないですか。その時期の方々は幸之助氏の教えを熱く語り、後輩というだけで、すごく面倒を見てくださる。最近は途中で選挙に出るヤツも多いし、横のつながりは感じない」(前出の政経塾OB)

99年から政経塾関係者の取材を続けている出井氏は、初期の卒塾生たちの言葉には、確かにロマンを感じたという。
「新党ブーム以前の塾生たちは、リスクを取って入塾してきました。いい大学を出たのに、海のものとも山のものともわからない政経塾に入った彼らは、何もないところから成り上がってやろうという革命志向集団でした。

選挙運動でも、山田宏・前東京都杉並区長(2期生、現日本創新党党首)は六本木の交差点でラグビージャージに身を包み、タックルを繰り返しました。野田氏は地元の駅前で13時間のマラソン演説をやり抜きました。こういう気概や破壊力が今の政経塾にも卒塾生にも感じられない。政経塾は単なる選挙予備校になってしまいました」

しかも、90年代後半から、清廉なイメージがあった政経塾出身の政治家にもスキャンダルが目立ち始めた。中でも底の浅さが露呈したのが06年、民主党の「偽メール問題」だった。

同党の永田寿康衆院議員が、武部勤自民党幹事長とライブドアの堀江貴文社長(肩書はいずれも当時)との不適切な交際を追及した。だが、その根拠となるメールの真偽が疑われていた段階でも、党代表だった前原氏は「国会での議論を楽しみにしていただきたい」と言い張った。国対委員長だった野田氏も国会での質問を許可した。

結局メールが虚偽との結論が出て、前原氏と野田氏は辞任。永田氏は後に自殺した。

前出の江口氏は、外的要因も絡み、卒塾生が“劣化”したと指摘する。「政経塾は保守の思想に基づいていますが、保守政党の自民党は上下関係や徒弟制度を重んじていたため、卒塾生を生意気だと毛嫌いし、受け入れてくれなかった。

その結果、卒塾生には民主党という選択肢しかなくなった。革新系が多い民主党の中で、彼らも自己矛盾を感じたはずですが、しだいに“朱に染まって”しまったのでしょう。

今や松下の『国民第一』の哲学は見る影もなく、組織の中での『出世第一』松下は『税金は安く』と口が酸っぱくなるほど言い続けたのに、野田は増税を叫び、前原は独断専行で、上から目線の政治家になってしまった」 出井氏も苦々しい表情でこう語る。

「幸之助が世界に例のない『政治家養成機関』を立ち上げたのは、数多くの政治家を育てたかったからではない。一人でも本物の政治家を生み出して、日本の危機を救いたいと思ってのことでした。設立から30年以上がたち、国の危機は深まるばかりだが、いまだ『本物』は現れていない。幸之助も、あの世で嘆いているのではないか」

そうした現実を理解しつつも、元政経塾塾頭の上甲晃氏はかすかな期待を寄せる。

「卒塾生の根っこには、松下幸之助のDNAはあると思うんです。代表選後は原点に立ち返り、日本の道筋を示してほしい。それができずに国民の期待を裏切れば、政経塾は命運尽き果てたということになるでしょう」

たった一人で構わない。日本を変える本物の政治家を生み出したい。新総理の下で、幸之助氏の思いは、達せられるのだろうか。

本誌・篠原大輔、國府田英之、山岡三恵

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。