何度も読み返す意外な難しさ文章追い越す作家のイメージ 文中黒字化は芥川。
ハリウッド作品で活躍する俳優の裕木奈江さんは、デビューした当初、アイドル人気もあり歌手としても活動していた。
「持ち歌が多くないのでコンサートでは朗読のコーナーを設けていた。読んでいたのが『銀河鉄道の夜』。銀河ステーションの章」
貧しく親孝行な少年ジョバンニが、川にはまって死んだはずの親友カムパネルラと、銀河をめぐる鉄道に乗るという童話。
だが大阪市の読者・向園美佐緒さん(53)が 「何度読んでもよく分からない」と書くように、多くの読者が「賢治の意外な難しさ」を指摘した。神奈川県の飯塚富士子さん(42)には「中2の時、初めて読んだ。泣いた。でもクラスメートは意味が分からないと口を揃え、私も恥ずかしくなり、『そうだね』と言ってしまった」。そのまま賢治の童話になりそうな思い出がある。
裕木さんは小学5年の時に初めて読んだ。「風景を見ている気持ちになった。賢治が実際に見たもののスケッチだったんじゃないかしら。自分にははっきり見えているものが、どうしたら文章になるのか模索している感じ」という。
「銀河ステーション、銀河ステーションと言う声がしたかと思うと、いきなり目の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万のほたる烏賊の火をIペんに化石させて、そらじゅうに沈めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと獲れないふりをしてかくしておいた金剛石を、だれかがいきなりひっくりかえしてばらまいたというふうに……」
先の銀河ステーションの章の一節だ。埼玉県・橋本実郎さん(55)は「色彩表現がまばゆいほどきらひびやか」、東京都の渡辺宏さん(84)も「詩人、科学者としての思想が凝縮された形でちりばめられている」と分析する。
裕木さんは「文章が、作家のメメージに追いついていないもどかしさ」を感じる。自分でも写真を撮りためて発表するようになり 9ttp://www.flickr.com/rhotos/naephoto/)、一層、その感を深めた。
デビッド・リンチの映画作品に出演したことがある裕木さんは、「リンチのカット割りの絵がすごい」とあかす。「切られた手首がある。普通だったら怖いんだろろけれど、リンチの絵は、ホラーでもなければエロスでもない。まるで子供が世界を見たそのまま。純粋にきれいなの」
脳内イメージを作品にそのまま移す。その意味で、賢治とリンチは一脈通じる。 (近藤康太郎)
ハリウッド作品で活躍する俳優の裕木奈江さんは、デビューした当初、アイドル人気もあり歌手としても活動していた。
「持ち歌が多くないのでコンサートでは朗読のコーナーを設けていた。読んでいたのが『銀河鉄道の夜』。銀河ステーションの章」
貧しく親孝行な少年ジョバンニが、川にはまって死んだはずの親友カムパネルラと、銀河をめぐる鉄道に乗るという童話。
だが大阪市の読者・向園美佐緒さん(53)が 「何度読んでもよく分からない」と書くように、多くの読者が「賢治の意外な難しさ」を指摘した。神奈川県の飯塚富士子さん(42)には「中2の時、初めて読んだ。泣いた。でもクラスメートは意味が分からないと口を揃え、私も恥ずかしくなり、『そうだね』と言ってしまった」。そのまま賢治の童話になりそうな思い出がある。
裕木さんは小学5年の時に初めて読んだ。「風景を見ている気持ちになった。賢治が実際に見たもののスケッチだったんじゃないかしら。自分にははっきり見えているものが、どうしたら文章になるのか模索している感じ」という。
「銀河ステーション、銀河ステーションと言う声がしたかと思うと、いきなり目の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万のほたる烏賊の火をIペんに化石させて、そらじゅうに沈めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと獲れないふりをしてかくしておいた金剛石を、だれかがいきなりひっくりかえしてばらまいたというふうに……」
先の銀河ステーションの章の一節だ。埼玉県・橋本実郎さん(55)は「色彩表現がまばゆいほどきらひびやか」、東京都の渡辺宏さん(84)も「詩人、科学者としての思想が凝縮された形でちりばめられている」と分析する。
裕木さんは「文章が、作家のメメージに追いついていないもどかしさ」を感じる。自分でも写真を撮りためて発表するようになり 9ttp://www.flickr.com/rhotos/naephoto/)、一層、その感を深めた。
デビッド・リンチの映画作品に出演したことがある裕木さんは、「リンチのカット割りの絵がすごい」とあかす。「切られた手首がある。普通だったら怖いんだろろけれど、リンチの絵は、ホラーでもなければエロスでもない。まるで子供が世界を見たそのまま。純粋にきれいなの」
脳内イメージを作品にそのまま移す。その意味で、賢治とリンチは一脈通じる。 (近藤康太郎)