レディー・ガガの人気が高いのはマドンナの二番煎じだからではない
孤独を感じる若いファンに向かってひたすら自己肯定を説いているからだ
<前文大半略>
はみ出し者の心を照らす
ガガははみ出し者(もしくは不器用なティーンエンジャー)として生きることがどんなにつらいか、よく分かっている。少女時代、通っていたカトリック系の学校の級友たちはガガのことを変人扱いし、ごみ箱に押し込んだりした。
ガガの友人でバンド「セミ・プレシャス・ウェポンズ」のジャスティン・トランターは言う。
「(同じ学校の)女の子たちはガガに『どうしてそんなに着飾ったり、メークに時間をかけたりしてるの? あんたレズビアン? って聞いてばかりいた」
「信じられないほどの創造力で彼女は人々の心を照らし、この不穏な時代を生き抜く力を与えている」と、友人のヨーコ・オノは言う。
そういえばガガ自身、ファンにこんなことを言ってたっけ。「誰かとつながり、その人を抱き締め、解放し、愛しなさい」と。おっと間違えた。こっちはオプラの発言だった。
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)
長いキャリアを誇る監督で、俳優としても多くの作品に出演するポーランドのイェジー・スコリモフスキ。最新作は、米軍捕虜となった男の極限の逃亡劇『エッセンシャル・キリング』だ。
昨年のベネチア国際映画祭で審査員特別賞、主演のビンセントーギャロが最優秀男優賞を獲得した本作について、本誌・大橋希が話を聞いた。
-主人公はタリバン脱走兵?
映画のカギは曖昧さだ。舞台がパキスタンなのかイラクなのかも、主人公がテロリストか無害な人物なのかも分からない。
1つだけ確実なのは彼がタリバンではないこと。もしそうなら黒いターバンを巻いている。
<中略>
脚本が完成した頃、カンヌ国際映画祭でビンセントに会った。私の前を歩く彼は何かがおかしい、すごく動物的な歩き方をしているんだ。それでひらめいたんだ。ビンセントがというより、この動きがあの役には必要だと。
脚本を読んだ彼は「僕はこれをやるべきだ」と熱心に言ってくれた。バフアロー(ニューヨーク州)出身だから寒さには慣れている、雪の上をはだしで走るのも大好きだと言っていた。
-あなたは役者としてもいろいろな作品に出ているが。
演技して稼ぐほど楽なことはないね(笑)。
Newsweek,6月15日号,P10
この首相はなぜ笑っていられるのか
かねてから「権力にしがみつきたいだけ」と批判されてきた菅直人首相。
先週、それがあながち間違いでもないことが分かった。
野党が提出した不信任決議案に一部民主党議員が同調する意思を見せ、崖っぷちに追い込まれた菅だったが、危機を切り抜けたことで当面、総理の椅子に居座り続けようとしている。
不信任案採決の1時間前、菅は民主党代議士会で震災復興や原発事故の収束に向けて「一定のめど」が立てば「若い世代にいろいろな責任を引き継いでいきたい」と語った。誰もが事実上の辞任表明と受け取った。
だがその晩、菅は首相官邸で満面の笑みで早期辞任はないとの認識を示した。
早期に辞任すると理解して不信任案反対を決めた鳩山由紀夫前首相は翌日、「ペテン師まがい」と憤った。
さらに辞任の時期について国会で問い詰められても、菅は曖昧な答弁を繰り返した。
質問した自民党の山本一太参院議員は、こう切り捨てた。「私か見た政治家の中で最低の人だと思います!」
与野党の議員を欺き、鳩山と共に築いた党を自ら分裂させ、国民を翻弄する―首相として居座り続けるこの人物こそ、日本にとって「第4の災害」かもしれない。
4月1兆3000億円 運用先を分散
【北京=高橋哲史】中国が日本の中長期の国債を積極的に買い増している。
期間1年を超す中長期債で4月は買越額が1兆3300億円と過去最高に膨らんだ。一方、米国債の保有残高は3月末まで5ヵ月連続で減少した。ドル安への不安がくすぶるなか、中国政府は3兆ドルを突破した外貨準備の運用先をドル以外の資産に分散している。
日本の財務省が8日発表した4月の対外・対内証券投資によると、中国による日本の中長期債の買越額はこれまでの過去最高たった3月(2345億円)の6倍近くに達した。中国は昨年10月から一貫して日本の中長期債を買い越している。
期間1年以内の短期債は4月に1兆4687億円の売り越しとなった。
市場では「中国はより高い利回りを求めて短期債から中長期債に乗り換えている」(日本の大手証券)との声が多い。
5年債や2年債などの利回りが低めで推移している背景には、中国からの資金流入かあるようだ。
一方で米国債の保有は減る傾向だ。米財務省によると、中国の米国債の保有残高は3月末時点で1兆1449億ドル。
世界最大の保有国に変わりはないが、昨年10月末に比べると残高は約300億ドル落ち込んだ。
中国による日本国債の購入は、大半が外貨準備の運用によるとみられる。中国の外貨準備高は3月末に3兆447億ドルで世界最大。世界2位の日本の約1兆1000億ドルを大きく引き離す。
中央銀行の中国人民銀行は人民元相場の安定に向け元を売り外貨を買う大規模な為替介入を繰り返してきた結果、外貨準備が急膨張した。人民銀の周小川総裁は4月、「外貨準備は多すぎる」と認め、過剰に伴う管理の難言さに言及した。
中国政府は外貨準備の運用先を明らかにしていないが、市場関係者によると、米国債を中心とするドル資産が全体の3分の2以上を占める。ユー口は約20%、英ポンドや日本円は数%にとどまるとされ、ドルでの運用が圧倒的に多い。
ドルの総合的な価値を示す実効為替レートは、米低金利や財政の悪化を受け歴史的な安値水準で推移している。中国政府は価値が下がる恐れのあるドル資産に偏るリスクに敏感となっている。日本の中長期債への投資拡大は、こうした危機感の表れとみられる。
中国は韓国やニュージーランドなど新興国の利回りの高い国債を買い増しているとの見方も浮上する。外貨準備を使って企業買収などを手がける政府系ファンド、中国投資(CIC)の大規模な増資がうわさされるほか、金の保有を増やすとの観測も流れる。
温家宝首相らは信用不安で揺れる南欧諸国を支えるため、ギリシヤやポルトガルなどの国債を購入する方針を表明してきた。
中国社会科学院世界経済政治研究所の張明副研究員は「中国が外貨準備の運用先を多様化しているのは確かだが、世界で最も流動性の高い米国債はこれからも外せない」と語る。
米国債よりも厚みの乏しい市場が、中国マネーの出入りで揺さぶられやすい面もある。
インドネシアでインフラ輸出再開
Jパワーと伊藤忠商事が、低コストで二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられる高効率の石炭火力発電所の建設をインドネシアで受注する見通しになった。
受注額はプラントの建設と運営の合計で3200億円規模。日本政府が国際協力銀行 (JBIC)の融資などで支援する。官民が一体となったインフラ輸出の実現は東日本大震災の発生後初めて。
日本の技術を売り物にしたインフラ輸出戦略が再始動する。
Jパワー・伊藤忠の受注が確実になったのは、同国ジャワ島中部のセントラルジャワ石炭火力発電所に100万キロワット級のプラント2基を建設する事業。現地の石炭大手企業も参加し、2017年の運転開始を目指す。
両社はインドネシアの国営電力会社による国際競争入札で、「超々臨界圧」と呼ばれるエネルギー効率の高い石炭火力発電プラントを提案。石炭を燃やして発生させる蒸気を従来より高温・高圧にして発電効率を高める仕組みで、CO2発生量を抑えられるメリットもある。
国内では導入が進んでいるが、途上国では旧式の石炭火力が主流。中国なども「超々臨界圧」の技術で追い上げているが、耐久性などで日本が先行しているという。