閉鎖空間の病理:あるいは金銭的余裕が病理を温存させるケースについて

2024-09-28 09:44:45 | 生活




すすきの事件についてはその猟奇性もあって様々言われているが、背景としての家族病理の説明は極めて興味深いものだった。


すなわち、個人としては学力や社会的思考ができたとしても、身内をケアせねばと閉鎖空間の中で何とか処理しようとすると、「最も困っている存在」による、言わば弱者権力のようなものに屈服し、かえって病理を長期化・深刻化させてしまうという話である(前回の性的虐待とその隠蔽のケースもそうだが、こういう病的構造・環境に対しては普段「まとも」な人間が同じように適切な対処ができるとは限らない)。


その意味で、今回指摘のあった金銭的余裕がかえって病的環境の延命を可能にしてしまう危険性がある、という点は重要だろう(社会的地位があるために、周囲が隠蔽を勧めるベクトルに向かいやすい、という部分も見逃せない)。


これは丸山ゴンザレスが不適切にも話を自分のフィールドに引き付けようとして中断させてしまっているが、「引きこもりはそれを可能にする金銭的余裕と支援する周囲の存在によりかえって長期化することがありえる」という話だ(ただただ寄り添えば解決するような単純な事ではない)。


もちろん「引きこもり」と一言で言っても、そこに発達障害や精神疾患が絡んでいるケースなど様々なため、十把一からげで対処できるわけではないし、するべきでもない。また、そういった人々が猟奇的殺人に走るという話でも無論ない。


しかしながら「やさしい」人たちが陥りがちな落とし穴を論理的に説明し、そこに金銭的余裕がかえってマイナスの材料となりうることを指摘した点、つまり貧困層でもないし子供に寄り添うリベラルな指導方針だからうちは大丈夫と考えている家庭に対しても、「明日は我が身かもしれない」と認識してもらえる内容になっている点で、非常に有益な動画なのではないだろうか(もちろん、不安を、煽るということではなく、どこに連絡をしたり、どんな対処が有効なのかまで触れている点にも注意を喚起したい)。


以上。

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