Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

地上の楽園、GRFのある部屋さん宅をご訪問

2006年10月25日 | Audio

22日(日曜)は、GRFのある部屋さんのご自宅にお邪魔してきました。
都内某所にあるGRFのある部屋さんのリスニングルームは3階にあった。通されて、その広さに怯んだが、床といい天上といい実にしっかりとした作りがなされていて驚かされた。部屋の広さは20畳超(やや長方形)あって、置かれているのは多くのオーディオ装置とCD&アナログ盤のみで、広々としてとても居心地がいいものだった。
その部屋に置かれたスピーカーは言うまでもなくタンノイのGRFである。CDプレーヤーはソニー製のCDP-MS1でサウンドデザイン社によってカスタマイズされたもの。アンプはサウンドデザイン社の旗艦SD05というラインで構成されている。このシステム以外にもマッキンの弩級パワー・アンプやエソテリックのトランスポートなどハイエンドな機器がずらりと鎮座しておりました。そうそう、涎が出そうなアナログ・プレイヤーもしっかりとございました。そしてこれらの機器は、当然ながら「以前は」使われていたシステム達である。そのメイン・システムの座をSD05が完全に奪ったということなのだから、もうこれは聴かせていただくしかないだろう。
実際、拙ブログでもサウンドデザイン社のSD05というアンプの「驚愕の音」についてはすでに書いている。しかし、イベントやホールで聴かせていただいただけであり、いわゆる普通の家でどの様に鳴っているかが知りたいと思っていた。そんな矢先にGRFのある部屋さんからお誘いのメールを頂いたわけで、まさに聴く前から天にも昇る心地だったわけではある。
ハンコックさんも訪問されて「私の知る限りでこれ以上の音楽を聴いたことがなかった」と述べられているし、AcousticTaoさんも「音は確かに衝撃的であった。その生命感の次元の高さは圧倒的であった」と書かれている。私の書くことがない。お二人の評がまさに的を射ているのである。
まずはGRFのある部屋さんの十八番であるクラシックから聴かせていただいた。馥郁たる響きがジワジワと僕を責め立ててくる。あまりの凄さに呆然とした。まさにクラシックのコンサート会場の一等席で聴く音なのだ。蕩々と繰り出されるホール・トーン。各楽器の一つ一つが見えるような音場感、そしてオーケストラの奥行きとパースペクティブ、どれもが驚愕である。マジで「この部屋に居着いてしまおう」と思ったくらいだ。ストリングスの艶、これである。グランカッサの「ドシン」、これである。クラシックを聴くための最高の舞台がここに揃っていた。
「あまり持っていないけれど」というジャズも聴かせていただいた。まずGRFのある部屋さんが聴かせてくれたのは、マンハッタン・ジャズ・クインテットの初期のもの。チャーネット・モフェットがベースで、スティーブ・ガッドがドラムスのものである。ここでも驚かされた。ガッドのドラミングが原寸大なのだ。バスドラ、タムなどが超リアルで、ルー・ソロフのトランペットの響きは、ジャズ喫茶や自宅では鳴り得ない音がしていた。これはSD05も凄いのだろうが、GRFというスピーカーの底力を見せつけられた瞬間だった。タンノイを聴いて本当に驚かされたのは、一ノ関の『Royce』とGRFのある部屋さんで、まさに双璧だと思う。
次々にジャズを聴かせていただいたが、おもむろに出された盤に二度驚いた。ウォルター・デイビスのスティープルチェイス盤『スコーピオ・ライジング』だったからである。GRFのある部屋さんの部屋(?)で、デイビスのトリオ盤が聴けるとは思わなかったのだ。これがまたとてつもなくいい音でピアノが“鳴る”のである。ラルフ・ピーターソンのドラムは聴いていて怖くなるほどで本当にリアルなのだ。
褒めちぎるばかりでは嘘に聴こえるので、気がついたことを書いてみたい。
まずは、やはりポピュラー系(今回はジャズ)で低域の被りがあり、ブーミーに響く瞬間があったこと。これは、GRFの部屋さんも承知しておられた。クラシックに合うようにチューニングされているのだから、これはしょうがないことだ。
もう一つ、スピーカーに近い左壁の反射音が右壁とは違っていて盤によっては音像が乱れること。たぶんこれもお気づきの筈と思う。この部分にタペストリー(そんなに大きくない)を1枚垂らすだけで改善されるような気がする。いずれにしても、大音量でのプレイバック時であるので、日常で聴かれている際は、まったく気にならないものだと思う。
いずれにしてもハイエンドな機器を使われて培われてきたGRFのある部屋さんならではの匠の技がいろいろなところに附されていた。その一つ一つを実際に錬磨されてきた方ならではの音の豊かさがここにはあった。「オーディオは人を写す鏡」とはまさにこのことなのである。温故知新、時空を超えた音が鳴っていたのだ。
また言葉の端々から経験と実証ということを繰り返されてきたことが伺えて、たった半日お邪魔しただけで、物凄く勉強させていただきました。ましてや音楽を聴いて「疲労感」が皆無というのは、なかったこと。いかに歪みが少なかったかの左証でもある。本当に良い経験をさせていただきました。心からの御礼を申し上げます。


早起きは三文の得? 東京インターナショナルオーディオショウ

2006年10月23日 | Audio

先週末は、20日(金曜)がピアノとマリンバのデュオ・コンサート(既出)、21日は「2006東京インターナショナルオーディオショウ」(本稿)、そして22日(日曜)は、GRFの部屋さんのご自宅にお邪魔してきました(別稿)。この数年の中では最も有意義で最も充実した3日間でした。
さて、国際フォーラムで行われたオーディオショウは、早朝から入場したせいか、良い感じでお目当てのものを聴くことが出来て大満足。大学時代の友人にはバッタリ会うし、何人もの知り合いの方にご挨拶が出来て大変有意義でした。
今回、気になったマシーンを箇条書きに。
  
まずはやはりJBL。エベレストの音をじっくり聴かせていただきました。想像以上に中高域は滑らかな質感を持っていて、これは嬉しい驚き。ただあくまで個人的な私見を述べますと、低域(中低域及び最低域)でちょっと違和感を感じました。音が遅れるという感覚でしょうか。色々な曲を聴いてそう感じましたから、特定の盤だけという感じではないと思います。また相応な部屋がないと駄目だろうという感じも受けました。値段問題以上に「部屋問題」が発生しそうな予感がします。
一方、B&W40周年を記念した新スピーカー「Signature Diamond」は、選曲がイマイチだったこともあると思うのですが、意外と「暴れん坊」の感じを受けました。じゃじゃ馬という感じでしょうか。値段も高いとのことなのですが、この風貌を納める部屋が相当お洒落じゃないと、駄目だろうなぁと聴きながら思ったのは僕だけでしょうか。でも、けっこう好きだったりしますけれどもね。
また、意外や意外に良かったのがTAOCのLC800。リジッドでタイトな音。これを聴くとジャズ・ファンはいちころだろうなぁという音が出ていました。まぁ、すんなりとは鳴ってはくれないでしょうけれど、値段やスペース・ファクターなどをいろいろと勘案すると、これはジャズ・ファン、音楽ファンにはオススメできますね。そういえばSonus faberもやっぱりいいです。ちょっと帯域が狭いかなと感じましたが、それは、もうこの艶音を聴いちゃえばどうでも良いことですね。
 
その他、ユキムのnoteは、艶々な音をエラックのスピーカーから聴かせてくれました。その場に立ち止まらせるだけの魅力がこの音にはありました。残念ながらまともに聴けなかったのですが、本命の聴きたいアンプNo.1のLuxmanのL-509uも存在感を感じて良かったです。お顔はちょっと好きではありませんけれど、シャーシ内部を見て「こりゃ物量大作戦だ!」と思わず呟いてしまいました。なお、とても興味深かったのはCECのAMP53。コンセプトがいいですねぇ。APM71というのも参考展示でしたが、その風貌、スペックを見るとウズウズしてしまうような魅力がタップリでありました。
というわけで、意外にもじっくり聴かせて貰うことが出来たのは最大の収穫。それにしても各社が音響チューニング・ボードを大量に配置しているのは、トレンドとはいえちょっと壮観でしたが、果たして効果があったかは???です。


スタインウェイを鳴らすということ

2006年10月21日 | Music

10月20日は、再び杉並公会堂小ホールを訪ねて来ました。
ここで行われたピアノとマリンバのデュオを聴きに行ってきたわけです。
コンサート自体はとても家族的な雰囲気で、詰めかけたお客様もそうでしたし、コンサート自身の構成も、そして演奏自体もまさにアット・ホームな暖かさに満たされたものでした。馬場祥子(ピアノ)、古徳景子(マリンバ)という美人2人によるデュオだけに一層咸興も湧くというものです。閑話休題。
この杉並公会堂の小ホールは、本当に素晴らしい響きを持っています。前回のCDコンサートでもその片鱗を垣間見せてくれましたが、今回は「ナマ」。各楽器の持つソノリティがダイレクトに伝わってきます。とても感動いたしました。
実はそれ以上に、ここで弾かれたピアノがスタインウェイなのですが、驚くほど程度がいいんです。特に低弦の響きは絶品で、高域側の10鍵ぐらいがちょっと弾き込んでいない分、ブリリアントさには欠けましたが、そんなのは瑕瑾です。また調律の方が相当いい耳をお持ちだろうことは、鳴っているピアノの音を聴いた瞬間に分かりました。というわけで、古徳さんには悪いのですが、耳がどうしてもピアノに行ってしまいました。このシリーズ・コンサートは、クラシック・ファンはもとより、オーディオ・ファンの方にこそ、聴いて欲しいコンサートです。ここでの音をリファレンスにして、ステレオをチューンする楽しみは、もう堪えられないもの。いい経験になりました。
さて、このコンサートで思ったことを箇条書きに。(主催者の方へ)
「日本の唱歌シリーズ」「アメリカン・メドレー」など選曲はとても良かったのですが、子供さん達も参加出来るプログラムが必要だと思いました。例えば、<シンコペーテッド・クロック>で知られるルロイ・アンダーソン曲集とか、ディズニー・ソング集なんかは、このデュオで奏でられれば相当なインパクトがあると思います。是非このお二人にお伝えください。
さて、スタインウェイに鼓舞されたわけでもありませんが、タイミングの良いことに
ジャズオーディオ通信さんがスタインウェイで演奏された21枚組のボックス・セット、その名も「Steinway Legends - Grand Edition」を紹介されています。これは、見た瞬間に欲しくなりました。詳しくはjazzaudiofanさんのブログを参照いただくことにして、一流揃いのプレイヤーにドイツ・グラムフォンと来れば、触手は動きますねぇ。ましてや「スタインウェイのグランドピアノの形をした箱に収められているらしい!」とのことで、ますます楽しみなボックス・セットであります。買うぞ!
ジャズ・ファンとしては、スタインウェイにぞっこんラブなのがキース・ジャレットであるというのはご存じの通り。そのキースの日本での調律を一手に行われている方が真鍋さん。この方とはなぜかお話しをさせていただいたことがあります。本当に素晴らしい方で、こんな耳の良い音楽好きの、そして当たり前ですがスタインウェイ命の方を知りません。思い出すのは雨の日。真鍋さんは、除湿剤と布団乾燥機を導入されていたのを見て、僕は倒れそうになりましたが、ピアノへの愛情がその動作一つ一つに感じられたのを覚えています。ある一言が僕をもっと驚かせました。「このピアノはもう使い物にならないと思います。(一体幾らなんだ!!と私)でも、ケアしてあげればまたいい音を奏で始めるかもしれませんから、僕が今やるべきことは必死でやります」と。こんな素晴らしいチューナーが調律したスタインウェイを僕は他人事ながら羨ましいと思いました。というわけで、そんな真鍋さんが鯉沼ミュージックのHPに綴った秘話をご覧ください。
調律師 真鍋 要さんのキース用スタインウェイ調律秘話
http://www.koinumamusic.com/concert/trio/making/manabe.html
http://www.koinumamusic.com/concert/making/keith/1.html
http://www.koinumamusic.com/concert/making/keith/6.html
音響チーフデザイナー  菊地 徹さんのコメント
http://www.koinumamusic.com/concert/trio/making/kikuchi.html


罪作りなケーブルだぜAcross2000

2006年10月15日 | Audio

シンバルが「シャーーン」、バスドラが「ドシーン」というような“うん?”と思わせる変な鳴り方が影を潜めて、フラットなレスポンスでスピーカーが歌い出すという感じが得られるようになってきました。このケーブルの持つハイスピードな反応というのは、ここにウダウダと書くより、一聴してすぐに分かるものです。
我が家で何年間も他のケーブルを蹴落としてきたパイオニア製の極太ケーブルでも管楽器などの演奏で「音が重くて飛んでこない」という瞬間がよくありました。しかしこのAcross2000してからはこれが一気に解消してしまったわけです。いわゆる“音離れがいい状態”になったということでしょうか。
それに伴ってかなり細かい音も聴こえるようになりました。僕が“音のタペストリー”と勝手に呼んでいるデビッド・フォスター盤でも、音を何層にも積み重ねているのがマスキングされずに出てきます。もう聴いていて怖いくらいですね。ここまでオーバーダブしていると、普通は鮮度が落ちて平坦な音になってしまうのが常ですが、そうならずに聴こえるというのがこのケーブルからしっかり伝わってきます。
そうそう、このケーブル、ミュート・トランペットとドラムスのブラッシュは、聴き応えありますよ。プレスティッジのマイルスと、ロリンズと一緒にやっているマックス・ローチの演奏、凄すぎです。
同様にクラシックでも各セクション(例えばバイオリンやチェロやベース)などが団子状態で聴こえていたものが、その人数までが把握できるのではというくらいに一人一人の演奏がちゃんと聴こえてきます。普通ここまでクリティカルに聴こえてしまうと楽器同士のハーモニーが聴こえなくなったりするわけですが、そんなことは全くなくて、杞憂にすぎないということがこれまた一聴で理解できる鳴りっぷりです。
レイ・ブライアントのシグネチャー原盤の『プレイズ』を聴いてぶっ飛びました。こんなにいい音の盤だとは、今の今まで思いもしませんでしたから。たぶんこの年代(確か58年か59年)のピアノとしては別格のキレのあるジャジーなピアノの音がしています。ましてやベースもドラムスもいい音なんだなぁ、これが。正直シグネチャー盤は音が悪いはずだという固定概念がそうさせていたのかもしれませんが、この盤を一気に聴き通してしまったのは初めての経験でした。恐るべしAcross2000。
褒めちぎりばかりではいけないので、幾つか気になる点を。
どういうわけだかボーカルが物凄く平らに聴こえるのです。音の濁りやくすみが取れてしまったからなのでしょうけれど、何となく実在感が希薄になったような感じ。ボーカリストは気迫で歌えというのが持論ですが、ちょっと力が抜けたような感じもします。凛とした歌声といえば誉め言葉ですが、ちょっと淡泊で色気(男性ボーカルだって必要)がなくなってしまっているような部分もあります。
また奥行き表現は本当に凄くて、ドラムなど各太鼓やシンバルの位置関係まで見通せる感じがなんとも素晴らしいのですが、反面綺麗に聴かせすぎじゃないの?と思わせるところもあったりします。同様にベースでも「ドスが利いた」音ってのがあるんですが、これが結構綺麗に聴かせちゃうために、粘りや迫力みたいなものが多少欠落している感もあります。そうそう、一番良いところと悪いところを書き忘れました。それは物凄くセッティングにクリティカルという所です。スピーカーの頭を振って見ると分かるのですが、物凄くシビア。ごろりと音が変わります。良いのか悪いのか難しいところではありますけれども、それがしっかり聴こえてくるのはとてもいいことなのかもしれませんが。今日は何度も首振りをやっての試聴でしたから、疲れました。本当に。
そういう訳ですから、最新のテクノロジーのアンプやCDPやスピーカーなどを使用している方で「音場再生派」の方には、絶大な効果を発揮するケーブルです。またどうも音が濁るんだよなぁとか、あと一息の立ち上がりの良さを求めているというようなビンテージ・オーディオの方にも間違いなく福音となるケーブルだと思います。そう、音がいきなりリフレッシュしちゃうんですから。
欲を言えば、芯線が倍の太さ(値段が倍でもいいです。キッパリ)になってくれたら、言うことはありません。触ってみるとわかるんですが、やっぱりちょっと細い(芯線が)のです。すでに相当堅いケーブルがもっと堅くなってハンドリングしにくくなるでしょうけれども、それはそれでしょうがないことですね、皆様。


聴いてビックリのディズニーCDの2枚

2006年10月10日 | Music
昨日(日曜)は、恒例のディズニーランド詣でへ行って参りました。月一回は遊びに行っていますが、飽きませんねぇ。精神年齢が低いのかな?
さてそのディズニーですが、あの園内ではとてもいいBGMが鳴っています。五月蠅くなくてなかなかいい音です。米国ディズニーでは、きっとJBLやアルティックなどが鳴っているのだと思いますが、日本ではどこのPAスピーカーを鳴らしているのでしょうか? テクニクスだったりして。分かりませんが。
さて、今回はいつもと趣を変えて、ディズニーのCD2枚をご紹介しましょう。
1枚目は、ディズニーランドの入り口から入って右側にあるショーベースというところで演じられているミュージカル仕立ての『ワン・マンズ・ドリームII』のCD。この作品内容については、ご存じの方も多いと思うのですが、ディズニー・キャラクター総出演のミュージカルです。ミッキーなどのキャラクターを全体的に俯瞰できる構成で、涙あり笑いありで何度見ても飽きません。ちなみにこのショーだけを見に来るというフリークの方もそうとういらっしゃるようです。
音盤に話を絞って書いてみると、そもそもフル・オーケストラやバンド演奏部分は米国で録音され、日本語の歌の部分のみアフレコしてあるというもののようです。因みに米国録音部分は、な・な・なんとトム・ビカーリがエンジニアをしています。もちろん最終ミックスも彼が手がけています。オーケストラならびにサウンド・エフェクト部分は、とてもHi-Fiな音に仕上がっていてオーディオ・ファンも泣いて喜ぶ1枚となっています。なにが一番驚くかというと2チャンネル再生をしても4チャンネルかと思うくらいの音が、この盤の中に散りばめられています。例えば蜂が飛ぶ音が入っていますが、完全に頭の上を飛び捲るのです。思わず蜂を避ける動作が味わえます(爆)。また、歌手の移動に伴う定位とか、コーラスなどは、スピーカーの外側にしっかり定位するなど、聴いていて気持ち悪いくらいの仕上がりです。
弱点は日本語の歌手がちょっと弱いかな。声にヌケがありません。たぶんこの音源をほとんど使ってディズニーでのショーは演じられているので、PAに回した時にちょうどよく聴こえるように制作されている感じもします。いずれにしても「侮れない」盤といえそうです。
さて、もう一枚は、これはもうシリーズになっている『ディズニー・オン・クラシック』の2006年度版です。ブラッド・ケリー指揮による東京フィルハーモニー交響楽団による演奏で、変なクラシックを聴くよりよっぽど凄い音がしています。選曲良し、演奏良し、録音良しのこの作品も、ディズニーがお好きならオススメです。とにかく音がいいんです。各セクションの音の分離も素晴らしく、ホールトーンなどのアンビエンスもちょっと信じがたい位の好録音。難点も若干あります。この中に収録されているある曲で実はジャジーな演奏が収録されています。ピアノ・トリオがフィーチャーされるのですが、その際にピアニストがどうも変な演奏をするんですね、これが。どういうことかと言うと、たぶんアドリブが譜面に書かれているような感じが僕にはします。で、ピアニストが弾くわけですが、字余りになったり字足らずになったりするのですよ。最初は???と思いました。でもベーシストはとても太い音を聴かせてくれますし、ドラマーも悪くない。もしこれで本物のジャズマンだったら、謝りますが、その位変なアドリブです。ご愛敬ではすまされないものがありますが、まぁ、ディズニーなので許しちゃうんですけれども。
この秋から冬にかけては、このバンド、このCD内容での全国公演が行われます(毎年ですが)ので、近くにこのバンドが行った際にはナマのコンサートを聴きに行かれることをオススメ。僕は東京国際フォーラムかサントリーホールへ行こうと思っています。

アクオスではなくてACROSS 2000なのだ

2006年10月08日 | Audio

9月中旬にオヤイデ電気のホームページを見ていたら、以下の記事が載っていました。

2006年09月14日  高品質マテリアルと最新のテクノロジーの融合
スピーカーケーブル「ACROSS 2000」登場
古河電工の高品質導体(PCOCC-A)と新素材(オーディオ専用ハロゲンフリーシース)、新構造(Cross insulated stabilizer)をフューチャリングした「ACROSS 2000」。先進性と創造性を併せ持つテクノロジー、更に素材、構造のすべてに妥協を許さない強い意志とスピリットから生まれるオリジナルな世界観と魅力。 2006年秋、オヤイデ電気の新たな挑戦が始まります。
発売予定日 2006年09月25日
「ACROSS 2000」定価 3,780円/m(税込)

 
この記事自体にはそんなに驚かなかったのですが、このスピーカーケーブルの構造を写真で見て「むむむ、これは!」となってしまいました。紹介されている美辞麗句にはまるで心を動かされなかったわけですが、この構造と素材(シース)を見て、ピンと来るものがありました。「よし、発売日には買おう!」。そう決心はしたものの残念ながら時間が無く、オヤイデには行くことが出来ない日々。そんな折、7日のハイエンドショウでオヤイデがブースを出していました。そこで初めてこのケーブルとご対面したわけ。見た瞬間にケーブル君が「僕を買ってね」と言うではないか。その瞬間から「コレを買わなくちゃ!」と妙にそわそわし出してしまった。もうこうなると止まらない。同行のお二人を無理矢理に秋葉原へ同行願ってオヤイデに買いに走ったのである。

ElekingさんのBlogでオヤイデのこのスピーカーケーブルであるACROSS 2000の試聴記が掲載されている。
ACROSS 2000の特徴
① 位相特性がよい。
② 平坦なバランスである。
③ 附帯音がとても少ない。
④ 全体帯域で歪がとても少ない。
⑤ ワイドレンジである。
⑥ 伝送スピードは速い。(SPの反応が早く感じる。)

まさにその通りのケーブルである。誇張も嘘もない。なにしろCD1枚目からビックリさせられたのだ。いままでこの数ヶ月、俺はいったい何をやってきたのか、まさに時間の無駄をしていたな、という感じだった。
Elekingさんの記述には“ジャズは合わないのでは”ないかとも記されている。ところがどっこいそうじゃないのですよ。今日は朝からステレオに張り付いて、CDを取っ替え引っ替えしつつ聴いているのですが、これが“Great”なのだ。
なにしろ最初からこんな音がしていいの?というのが正直なところで、一聴してバーンインが済んでいるかの音がした。これには本当に驚いた。最新技術のケーブルっていうのはそうゆうものなのかしらん?
長くなりそうなので、驚いた点を私的にいつくかを綴っておく。
まず、SACDの音の違いが初めて明確に分かったこと。『オスカー・ピーターソンの世界』でまさに別の世界が出現した。ビックリしたなぁ。ほんと。
50年代末のジャズ盤が超楽しい。これは盤自身がすでに音の誇張(凸凹)を最初から作られているのが単にストレートに再生されたからだと思っている。つまりゲルダーの意図、ロイ・デュナンの意図した音がそのまま再生されると認識している。つまりとってもジャズにもいいのだ。たまりませしぇーーん。
最後にちょっと反語的にはなるのだけれど、実はクラシックが凄くいい。いままでのスピーカー・ケーブルで、ここまで音場が再生出来たことが無かった。弦楽器の艶、金管、木管の音色、なによりもホールの空気感の再現が素晴らしい。思わず本日3枚のCDを聴いてしまった(クラシック3枚連続は新記録だ)。
というわけで、いつもリファレンスに使っているCD群は悉くクリアーしてしまった。それもほとんどフル・マーク付き(折紙付)の再生であったことをここに記しておきたい。音楽を聴くというのは、こうでなくっちゃね。実に楽しい。ちょっと至福の時間という感じだ。


HI-END SHOW TOKYO 2006で思ったこと

2006年10月07日 | Audio
昨日7日(土曜日)は、有楽町の交通会館で行われた「ハイエンド・ショウ東京2006」に行って参りました。昔はオーディオ・フェアーに欠かさず行っていたのにここのところまるで行っていなかったので、先日の「AVフェスタ」同様にちょっとした驚きは隠せませんでした。
とにかく昔は盛大だったんだよなぁ。大手は挙って大きいブースを立ち上げて、壮観だった。良いか悪いかは別問題なのだけれど、そのパワーたるや凄かったものなぁ。でも、今回久々にお邪魔してみて感じたのは、どの企業もいい意味で手作り感が満載で、各ブースの方々にも音楽好きの人が多かったことがとても嬉しかった。これはとても重要なことだと思いますね、これからのオーディオには。とにかく機能や外観や売らんかなが丸見えの大手がいないのが僕にはとても良かったです。まさに“アット・ホーム”でありました。
回顧談はこのくらいにして、今回もやはりサウンドデザインさんがお目当て。会場は時間帯別の持ち回り試聴なので、各ブースの音が混ざるということは無かったわけですが、やはり人の騒めきからは逃れられません。サウンドデザインさんのところは、実音も凄いけれどそれ以上にアンビエンスが重要だったから果たしてどうなのかなぁ?とは思いました。それでもしっかりデモを行っておられましたが、先日のホールでの試聴会に比べればその真価が10分の1も出ていなかったのはとても残念。
残念といえば、試聴のCDにポピュラー系が全くないこと。あのアンプこそ、ジャズ好きの人に聴いて欲しいと僕なんかは思ってしまうだけにちょっともったいない気がしました。大山さん、ジャズにもいい録音・演奏の盤はたくさんあります。次回はお願いしたいと思います。よろしくです。
さて、今回の私的なベスト3は、まずはサウンドデザイン。次は村田製作所のスーパーツイーター。そしてPMCの弩級スピーカー。
SDさんは、もう言うことがない素晴らしさ。50万のアンプを安い!と思わせた初めての機器。PSDさんには申し訳ないけれど、他のスピーカーに繋いで聴いてみたいと思うこの頃ではあります。
村田製作所のスーパーツィーターを真面目に聴いたのは初めて。有るのと無いのではこうも違うか!というのが実感できました(あのS/Nが悪いところでです)。まぁ、ツィーターで大型スピーカーが買える値段ですけれど、これはこれで有りかと。
そしてPMC。無骨なデザイン、ましてやバックロード。あまり信用していなかったのですが、鋼のような音が実際に出ていたのにはビックリ。ましてや弱音の表現もとてもいいのですから、二度ビックリしました。まぁ、200万という値段で私なぞはすでにギブアップですけれど。
今回はフォトショ、イラレの達人(というか、プロですけれど)のミヤモトさんと、大阪の(=゜ω゜)ノ!!さんとの3人旅。各々好みが違うのでとても楽しい時間を過ごさせていただきました。そうそう、ばったりとハンコックさんにもお逢いしましたね。大事そうにお持ちになっていたCDをぜひ聴かせてください。

温故知新の体験「CDレコード演奏会」

2006年10月01日 | Audio

昨日(29日)は、サウンド・デザイン・ファン・クラブ主催のCDレコード・コンサートにお邪魔してきました。先日のAVフェスタで聴いてびっくりのこのアンプスピーカーを使ってクラシックCD聴きまくり大会なのです。
いわゆる「レコード・コンサート」形式のこの手の催しを、2006年に聴けるというのがとても嬉しいものです。この企画をなさった方々に心から拍手を送りたいと思います。午後6時30分スタートで終了したのは9時過ぎでしたから2時間30分超の長丁場。でもアッと言う間でした。時の経つのはとても早い。ありがとうございました。
さて結論を。「素晴らしい」の一言。僕の思い込みも含めて綴ってみると、まずはセッティング。ステージの3分の1ぐらいの所にスピーカー(PSD-T2)をセッティング。試聴が始まった。聴く作品、聴く作品どれもが「素晴らしい」という言葉しか浮かびません。音場なんか、本当にナマのコンサートを素晴らしい席で聴かせていただいたという感じ。まぁ、かけられた盤もより抜きだったと思われるので、逆に悪い録音盤がどう聴けるのか?なんていうことも想像してしまいましたけれど。
印象的だったのは、後半でスピーカーの位置をステージの前面へ持ってきたこと。残念ながら僕は、楽音がペタッと一列に並んでしまって、楽しくなかったのですが、そこへこのアンプ制作者である石田さんが登場して「私が制作したアンプ(FOB-SD05)は、音場をどれだけ出すかに主眼を置いています。そういう観点からは前者のセッティングがベストだと思います」と述べられたこと。我が意を得たりだと思いました。石田さんのご説明前には、6割方の方はフロントにスピーカーを持ってきた方が良いとの判断をくだされていました。オーディオ好きな人というのはそうなるんだなぁ、やっぱり。と、いい経験をさせていただきました。また「信頼の置けるオーディオ人(耳の良いオーディオ人)」としての石田さんをしっかり確認できたことが、もしかすると今回最大の収穫だったような気がしています。
リクエストでキース・ジャレットのカーネギー・ホールでのソロからパート2をかけていただきました。低弦の響きは圧倒的でした。もちろんホールのアンビエンス、そしてスタインウェイの鳴りっぷりもしっかりと再現されて、思わず。うん、うんと頷いてしまいましたねぇ。ちなみにこの盤でシャカシャカと微細な音が収録されてしまっています。まさかキースが「仁丹」なんかポケットに入れていないとは思うのですが。あの音はいったい何なのだろう。自宅でも完璧に再生できるので、皆様も確認してみてくださいませ。

PS
初めてお逢いしたハンコックさんとこのコンサート終了後も2時間もおしゃべりさせていただきました。ハンコックさん本当にありがとうございました。