Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

チューバホーンさん宅での比較試聴会 Part2

2008年02月24日 | Audio
17日にチューバホーンさん宅でランカスターを聴かせていただいた。うーん、やっぱりいい、タンノイは。近年の新しいタンノイの音は、一生懸命に今の音(新録もの)を追いかけすぎて、何か大切な音を忘れてきているのではないかと思わせる音がすると感じていただけに、このランカスターからは、いい意味で古き良き時代のタンノイの音が迸り出ていたのがとても印象的でございました。
さて、SD05とトラポの相性といえば、今回はいい体験をさせていただきました。ソニーのMS-1(改)、同じくXA55ES(改)、そしてSoulNoteのsc1.0SE-D(これまた改)の3機種を揃い踏みで聴かせていただいたのです。なかなか有り得そうでこんなチャンスは滅多に無いのですから。
で、まずはMS-1。これはSD05の純正組合せでもあり、定評があるところ。このトラポを使った時の音の滑らかさ、清らかさは別格のものがあります。極論になるかもしれませんが、MS-1はやはりクラシック専用機かと聞かせていただいて再認識いたしました。大編成のクラシックからピアノ・ソナタまで、クラシックという範疇に収まる物なら、この組合せがベストと断言できます。しかし、ジャズを含めたポピュラーをMS-1で聴くとなると、少なくとも私には不満がありました。「やはりタンノイでジャズは鳴らないのでは」と本気で思っちゃいましたから。そうなんです。躍動感みたいなものが無いのです。
ところが、これをXA55ESに変えた途端に、「お!、なかなか行けるじゃん」となりました。そう言う意味でこのXA55ESはその存在感がなくなるということはないでしょう。しかし、です。音の粒立ちも、そして音のキレも格段に良くなって、次から次へと持参したCDをかけて行くと、このCDPにもやはり欠落しているものを感じ取りました。それはMS-1が持っていた奥行き感という音場情報がかなり消えてしまっていることでした。定位や音色といった点では不満はありません。しかし音が非常に平板な定位となってしまうわけです。実際に左右の音場はかなり広い方なのですが。実は今回のXA55ESは、チューバホーンさんから借りて自宅で10日間ほど試聴したもので、その際も感じていた音の薄さ、平板な定位というのが、かなりケーブルを換えたりしていろいろトライはしたのですが、改善しなかったものなのです。これがこのトラポの個性だと言えば聞こえはいいのですが、MS-1の音場と比較試聴してしまっているだけに気になり出すと止まらないということになりました。
そしてSoulNoteの登場です。これが、正直良かったのですよ。ジャズを聴くという命題なら迷い無くこのCDPがベスト。音的には、各楽器のエッジの立て方が実にリアルで、ランカスターでもジャズは完璧に鳴るというのを実証してみせてくれました。強音と弱音というCDに入った情報の正確な出力という点でも出色の出来かと。今回は吉田苑の試聴機でしたので、どの程度D-Clockのエージングが終わっているのかが分からない状態でしたが、音が突っ張るところもなく意外にもしなやかな表現もこなしてくれていたように思います。ただし、このトラポには最大の弱点である、天板と側板の泣きは、どうにかして欲しいと思います。ペナペナな仕様なのです。
そしてもう一つの弱点は読み込みの遅さ。これはドライブがパソコンの物ではないかという位に遅い。かなり焦らされているという感じが濃厚です。音に関してはもう少しエージングしてあげれば間違いなくクラシックもゆったりとそして柔らかい音が出てくるような感じがしていました。ましてや今回は、スパイクを使用していませんでしたので、スパイクを噛ませればもっと音場情報が出てくる予感があります。そういう意味では、大いに可能性がありそうな機種ではあります(爆)。そう言えば、吉田苑のHT01 Ver2.0というトラポとサウンドデザインのSD05の組合せで聴いた音が僕にはベストです。あぁ、もう一つ47研のピットレーサーも凄かったのですけれど。
というわけで、チューバホーン様、長時間の試聴をさせていただき、本当にありがとうございました。そしてITUNIRE様にも初めてお会いいたしましたが、お疲れ様でございました。これからも宜しくお願いいたします。

チューバホーンさん宅での比較試聴会 Part1

2008年02月18日 | Audio
昨日(日曜日)は、SD05ユーザーでもあるチューバホーンさんのご自宅にお邪魔してきました。
タンノイ・ランカスター
根っからのタンノイ・フリークであるチューバホーンさんが近頃手に入れたのはタンノイ・ランカスター。小さい筐体にもかかわらず15インチ経のスピーカーが収まっているのは、なかなか小気味良いものです。筐体の木がすでに枯れているので、シックかつウッディーな響きを身に纏った英国紳士然としたこのスピーカーの立ち振る舞いは、素晴らしいモノがありました。
今回は、都合良くCableLinksのインコネ多数と、某銀線で作られたデジタル・ケーブルなどの試聴に加えてなぜかCDPも3種(Sony製MS-1, 55ES,そしてSoulNote sc1.0SE-D)も揃い踏みしているという素晴らしいタイミング。入れ替わり立ち替わり、そして取っ替え引っ替えして楽しませていただきました。
ランカスターを部屋の短辺方向のコーナーに入れて聴かれているというのがレギュラー定位置のようで、このまま試聴を開始。お決まりのMS-1とSD05にランカスターという組合せは、これはもうクラシックをかけたら鬼に金棒的良さがあることを再確認いたしました。広大な音場、奥行き表現も素晴らしく、聴かせていただいたサン・サーンスの交響曲第3番でのオルガンの響きも、あたかもホールにいるが如し。素晴らしいプレイバックぶりにしばしウットリといたしました。しかし、ことジャズということになると話は別。MS-1でジャズも聴くとなれば、やはりデジタル・ケーブルを持参のCable Links製のYellow Precision 改(特注)に変更です。エッジがしっかり立って、ピアノもクッキリ。左右の音場も広く、これで良いんじゃないの!という位に音の彫りが深くなり、各楽器のスケールも良い感じに。欲を言えば弱音部分のナイーブな表現という部分では、持参した銀線に一日の長があるようなないような。
実はもっとも驚いて欲しかったのは、実はCableLinksのインコネをデジタル・ケーブルとして使うことでした。今回はRed Crater1種(コネクターはゾアラ製)とBlue Lagoonを2種の計3種のインコネを持参し、聴いていただきました。当然デジタル・ケーブルとしてです。Blue Lagoon2種は、コネクターの違いもあり、公正を期する為にRed Craterと同じゾアラ製のものが使われたBlue Lagoonを使って比較試聴しました。
ちなみにBlueの方はノイトリックのPro-Fiコネクターを使ったモノがレギュラーコネクターの様で、私は両方持参しましたが、Pro-Fiは自宅では音が細いので、今回チューバホーンさん宅ではパス。ゾアラコネクター付きのBlueとRedを試聴して貰いました。
  
 ▲レッド(左)とイエロー(これはコネクターが違うモノ)
結論から言えば、チューバホーンさんは、Redをお気に召していただいたようです。低域の再現力は明らかにRedの勝ちという再現を示していました。15インチの低域というのは、伊達じゃないのが良く分かります。有り難いことにチューバホーンさん宅では、低域が飽和するという感じが余りしませんでした(そんなに大音量にはしませんでしたけれども)。なかなかいい響きの部屋です。いずれにしてもこのCableLinksのインコネは、デジタル・ケーブルとして使っても十二分にその魅力を発揮してくれたようです。予定調和で嬉しさひとしおです。
ちなみに私のところにあるCableLinksのケーブルは、この作者のHPにあるものとは、少しずつ違っているよう(試作なのかも)なので、実際に売られているものとは違う挙動(音)なのかもしれません。
今日はここまで。次回は眼目であるCDPの比較試聴です。

美しき青のラグーン、Cable Linksのインコネを聴く

2008年02月09日 | Audio
事の発端となったのは、ヤフー・オークションのケーブルの項を覗いていた時に、そこで1本の美しいケーブルが目に留まったことから始まりました。このケーブルの仕上げの美しさ、値段の安さ、作りの丁寧さで、自作系ケーブルの中でも群を抜く出来映えのケーブルを出品をしている会社を見つけてしまったのわけです。会社名は「Cable Links」。ひと目見て惚れてしましたねぇ。いやはや本当に素晴らしく美しい。見ただけで絶対にいい音がしそうなケーブルだったわけです。
で、4週間ほど前に、その会社のインターコネクト・ケーブルをしっかり落札しました。そのケーブルの名称は「Blue Lagoon」と呼称されていました。導体にはMogamiのNEGLEX2534というマイク・ケーブルを使用しているケーブルです。通常このケーブルが市販されている時には、プラグとしてNEUTRIKのNF2C-B-2 Pro-Fiを使用しているようですが、私が購入したのは、ZAOLLA RCG1を使った物でした。
このケーブルがやって来て1週間は、やはり「アレ? やっぱり駄目なのか!」という感じの音でした。後で作者の方に伺ったところ、エージングは1、2時間しか行っていないとのことで、お客様のさじ加減でどうぞということらしいのです。まぁ、当然の話です。
で、実際に約2週間ほど、じっくりとエージングしてやると素晴らしい音で鳴り出しました。当初鳴らし始めすぐのこのケーブルは低域に芯がしっかりある音作りで、ジャズのゴリッとする質感描写は得意とするような鳴り方ではありましたが、それ以上にシンバルのヌケやエコーの分離などがイマイチで、音楽全体の響きがあまりに硬質で無機的に鳴っているような挙動のケーブルでした。
こりゃヤバイなぁ、と思ったわけですが、このケーブルの芯線がモガミのNEGLEX2534(マイク・ケーブルなので)であることを思い出して丁寧にエージングを行っていきました。これまた本当に少しずつ良くなっていくという仕様(本来プロ用)ゆえに思い描いていたような音になるには、実際にはまるまる20日かかりました。本当に少しずつ良くなるという挙動だったわけです。
現行アンプであるサウンドデザインのSD05でアナログ受けという形で接続するのでは、このケーブルのあまり美味しいところが聴けないと判断し(1週間ぐらいをSD05でエージングしましたが)、サブ機のアナログ・アンプ、マランツPM-15S1でエージングを続行しました。これが結果的に非常にいい方向に向かって行きました。まさにこのアンプの弱みを補強するような鳴り方へ切り替わって行ったのです。
少なくとも今まで聴いたことのあるMogamiのインコネの音でないのは明らかで、Cable Links社が施した数々のテクニックが功を奏しているのが良く分かります。ここを見ていただけると良く分かると思いますが、細部に亘るまで非常に良く考え抜かれたテクニックでこのケーブルが製作されているのが良く分かると思います。
エージング機に使ったマランツPM-15S1というアンプの弱みは、音の鮮度や瞬発力、そしてエッジの立て方といった部分が今ひとつなことでした。音場感も素晴らしいですし、非常に細かい音がするのはいいのですが、どうもエッジの立ち方が弱いわけです。低域もかなり下の方まで伸びているのはいいのですが、非常に「緩い」低域であるのは否めません。このアンプにいままでレギュラーで使っていたのは、オヤイデのインターコネクトであるACROSS 750RR。このケーブルは近年のインコネの中でも屈指の良品(安いですしね)だと思っていますが、このケーブルの鮮度に勝るとも劣らない音がしたわけです。もちろんエージング後なのですが・・・。
まずは定位の良さが際立っています。特にボーカルを聴くと良く分かるのですが、センター定位で音像がぶれないのです。このぶれるという現象は、オーディオ好きな方は結構経験されているのではないかと思うのですが、これが皆無。ましてや口元の小ささは、過去経験比でベストです。またベースやバスドラといった低域の表現力も素晴らしい物があります。ヨーロッパ出身のベーシスト(例えばパレ・ダニエルソンなど)の開放弦のベースの響きなど、「ここまで収録されているのか!」と思い知らされるような鳴り方をしてくれています。キース・トリオのゲイリー・ピーコックも同様で、どうにか及第点が貰えそうな音になりました。
また管楽器類のブリリアントな響きというのも特筆に値するもので、ワン・ホーンでも2管、3管編成のバンドでの収録物を聴いても、バックのトリオとの距離感も正確に描き出してくれています。ビッグ・バンドの作品など、定位感の良さで、気味が悪いくらいにパースペクティブが再現されるのです。いやはや実に気持ちいいのですけれど・・・。
ただし、これはあくまで私感なのですが、このケーブル、帯域は意外と狭いのではないか、と思わせることがありました。伝送帯域が狭いということよりも、ある意味情報を巧く処理しているような聴こえ方をするのです。例えばシンバルの打音後の音の広がりや、バスドラやグランカッサの重低音など、超高域、超低域といった情報がフィルタリングされて整理されて聴こえる部分があるという感じです。音楽が持っている美味しい帯域を美味しく聴かせるという表現といったところでしょうか。
さて、そんな時に、このケーブルの作者からメールを頂きました。試聴用に数本のケーブルを送付してくださるとのことです。実は、上記ブルーラグーン・ケーブルを購入した時にこの会社のページを見ていた際に「デジタル・ケーブル」を製作されているのを知りました。で、製作依頼をお願いしたわけです。すでに注文したこのデジタル・ケーブルは手元に到着しており、エージング中。また遅れて数組みのインターコネクトも到着していて、これらのケーブルはまた改めてご報告いたします。