Sugarのちょっとお寄りなさいよ

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PANORAMA/サン=サーンス作品集を聴く

2008年06月25日 | Music
なにげなくレコード店をぶらぶらしていたら、なぜかジャズ・コーナーへは行かずにクラシック・コーナーへ。そこでサン=サーンスという人名と交響曲第3番と曲目が思わず目に止まった。もちろん購入。1500円也。ましてや2枚組なのだ。正直ビックリの安価盤。
いわゆる作曲家別オムニバスという位置づけの盤なのだろう。聴いていてサン=サーンスの曲作り、なかんずくそのメロディ・ラインが実に気持ちいい。まさに僕の好みなのだ。
クラシック門外漢である僕が書くのも僭越至極だが、この2枚組は素晴らしいコンピレーション盤だと思う。その全曲が名曲揃いと言って良いのではないか。どういうわけだが、このところしっかりと聴きまくっている。
1曲目の<交響曲3番オルガン付き>と言う曲は、サウンドデザインの石田さんが、お好きな(デモ効果有り盤)曲として、過去2~3回聴いている。でもこの盤の演奏はちょっと違うのだ。この盤ではオルガンの重低音が聴こえないのである。あの風圧にも似たオルガンの音は、石田さんがかけた盤だけなんだというのが良く分かる。バレンボイム指揮シカゴ響というわけだから、違って当然なのかもしれないが。しかし、本作の演奏は、これ見よがしなオルガンの音がない分、交響曲として、あるいは音楽そのものに浸りきれるような気がする。音は、サッパリとした風味って感じだろうか。でも悪くない。
2曲目の<ピアノ協奏曲第2番>は、パスカル・ロジェのピアノによる演奏。それにしてもこのピアノの音がなんとも素晴らしい。出だしの部分の音を聴くと「あれ?ワウフラッター出てる?」という感じだが、聴き進むに連れて倍音を伴った左手の低弦の音は、本物である。コンサート・グランドの音がしているのだ。クラシックのピアノ・コンチェルトってみんなこういう音で収録されているというなら、クラシックに転向しようかな、と思わせるほど。
<動物の謝肉祭>なんか、クラシックを知らない私でも知っている曲の連続なのだから、恐れ入る。メンバーでさえもマルタ・アルゲリッチ、ネルソン・フレイレ、ミッシャ・マイスキー、ギドン・クレーメルなんかは、私でさえ名前だけでも知っているほどだ。中でも<白鳥>は、名曲ですねぇ。それにしても全14曲を聴いているとなぜか、僕にはオールスター・ジャム・セッションという風に聴こえてしまったのは、なぜかしらん? 各ミュージシャンがそれぞれ嬉々として音楽を楽しんでいる風情がこの演奏から聴こえて来るのだが。いかがなものだろう。
イツァーク・パールマンが弾く<序奏とロンド・カプリチオーソ>は、実はYouTubeでハイフェッツとスターンの演奏を聴いて(見て)いたので、このパールマンの演奏は、僕には若干軟弱な演奏に聴こえた。僕の駄耳の所為なのかもしれないが。その位ハイフェッツ&スターンの演奏は素晴らしいと思う。しかし、曲そのものの素晴らしさ、その構成力なんていうのは、パールマンの演奏からも十二分に楽しめる。
歌劇《サムソンとデリラ》から2曲が収録されている。<バッカナール>は、これまた名曲だと思う。パリ管の演奏(バレンボイム指揮)で、ウキウキしてしまうほどリズム処理が素晴らしい。もう一曲の<あなたの声に心も開く>は、緊張感のあるメゾ・ソプラノの歌声に釘付けになってしまった。声量が凄いなぁ。ビックリである。
この盤を聴いて、サン=サーンスっていう作曲家が好きになりそうな気配だ。というのも、僕にはなぜかだか分からないが、とてもジャズを感じたのだが。どうなんだろう。
ディスク:1
1. 交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン付き」
2. ピアノ協奏曲第2番ト短調op.22
3. 交響詩「死の舞踏」op.40
ディスク:2
1. 組曲「動物の謝肉祭」
2. ハバネラop.83
3. 序奏とロンド・カプリチオーソop.28
4. 歌劇「サムソンとデリラ」op.47~バッカナール
5. 歌劇「サムソンとデリラ」op.47~あなたの声に心も開く
6. 交響詩「オンファールの糸車」op.31

またもや機器選びの旅に出た:CDプレイヤー編 Part4

2008年06月15日 | Audio
Esoteric X-05の音が良い方向へ急変しだしたのは、この1ヶ月(5月中旬から)のこと。どのデジタルケーブルを使ってもその音の違いがかなりしっかりと分かるようになってきた。しかしそれ以上に音にしっかりとした「艶」と、各楽器のヌケの良さが体感できるようになってきている。ただし音の高さ(定位の高さ)という点で、やはり「天上にまで到達していない」かも。もう少し使ってやらないと駄目かもしれませんね。(この2週間で大変貌中なのですが)。
ここ丸々1ヶ月くらいは、デジタル・ケーブル、電源ケーブルの取っ替え引っ替え大会でした。予想外に良く鳴るようになってくれたのは、サウンドデザイン謹製のデジタルケーブル。以前は、これが私のリファレンスという位置にあったケーブル。X-05がエージングが済んでいない状態では、どうもナロウでイマイチという感じの表現に終始していました。ところがこのトラポのデジタル側のエージングが進むに連れて、今回もバイオリンなどの高域、ピアノの右手のブリリアントな表現が、予定調和のように鳴り出してくれています。これは流石かも。しかし最低域での質感は薄く、かつ量感が少ない。ベースなどのエッジがしっかり立ってくれないのだ。そう言う意味でも広帯域なケーブルではないが、音楽の持つ情報を過不足無く表現してくれる一本かも。
そしてやっぱり私との相性がいいLune Pureteは、ここに来て俄然実力の程を垣間見せてくれている。物凄く空間(空気感)の無色透明なところがお気に入りなのだ。非常に位相が合ったような音の出方で、左右の広がり感・奥行き感の表現は特に素晴らしい。また、最低域から、最高音に至る帯域の広さも特筆して良い点だ。それ以上にピアノの艶とスケール感が何とも気持ちのいい音である。このデジタル・ケーブルはどうも我が家の定位置を獲得したように思う。
そしてCableLinksのイエロー・デジタルも、導入当初は正座して音楽を聴かされるような気配だったのだが、今は大分抜けてきて、良い感じに鳴るようになった。ただしあまりの優等生ぶりで、あまりに音楽をそつなく聴かせるという風情は、そのニュートラルな音質とともに、オフ会向け、あるいはリファレンスという位置づけになりそうな1本。いい意味でも悪い意味でも無色透明なケーブル。しかし音の粒立ちは、鳥肌ものである。しかしこのケーブルは、オフ会でかけると好き嫌いが分かれそうかも。
またオヤイデのDR-510は、以前だとちょっと派手じゃないの?というケーブルだったのだが、エージングが進んだせいか、これまたオキニ入りな一本となっている。ただし、ある意味作られた(加工臭)みたいな一面も見せるので(高域と低域)、音楽をスダンドプレイという感じで鳴らすには最高の1本。音にややギミックな風情があるが、低域表現は素晴らしい。ただし、シンバルなど過剰な反応の音が感じられる盤もあったりする。
さらにこのところ2本のデジタル・ケーブルが加わった。1本は前述のSA/LabのハイエンドホースにWBTを付けたもの。これは、素晴らしい(?)定位と艶を聴かせてくれるケーブルなのだが、前述のようにどうも定位感がおかしい。当家では、キワモノ的ケーブル。非常に逆相の音が誇張されたかのような音が出る。ある意味珍品かもしれない。
そしてもう一本は、ワイヤーワールドのスターライト5。これは、中古を購入したのだが、どうも新古品だったようで、エージングに意外と時間を取られた。実にニュートラルな音質を持っている。そして実に音楽的に鳴るケーブルだ。やや音を整理して、音楽の美味しいところだけを聴かせるというケーブル。というわけで、今日現在我が家では、Lune PureteとCableLinksのイエローがリファレンスとなっている。
さて、アナログ接続である。これまた色々なケーブルを試してみたが、現在は、CableLinksのレッドで決まりだ。これは、インコネとしてうちのSD05にはベストフィットのようだ。
当初からX-05のアナログ端子側での接続は、ある意味、文句の付けようがない音が出た。X-05でジャズを聴くということなら、かなり最初からいい音が出ていた。しかし流石に1ヶ月のエージングを経て、変貌著しいという感じではある。
いままで、マランツのSA-15S1でSACD盤を聴いても、なんの咸興も湧かない音だった。そう、聴いてもその違いが分からなかったのである。単にSACDが聴けるだけみたいなプレイヤーだったわけだが(ちょっと悲しい)、X-05で聴くSACDにちょっと驚かされている。つまり「ここまでの音が収録されていたわけなのね」という感動である。
CDで聴く音とは、別物ということが分かるというのが驚きだった。やはりSACDは違うのである。正直に言えば、X-05でもSACDの音はきっと駄目だろうなぁと思っていたのだが。それが我が駄耳にも違いがわかるのである。きっと耳の良い人にはそれ以上に違いがわかるであろう。単純にプレイヤーが良くなったからなのか、2年間の技術が進歩したからなのかは、よく分からない。

出水電器の新作、ALLION UltimateT-125を聴く!

2008年06月15日 | Audio
発売以来、価格破壊とも言える値段と度胆を抜く高音質なアンプとしてハイエンドなオーディオ・フリーク達を唸らせた出水電器のALLION UltimateT-100が進化を遂げて登場してきました。いやはや島元社長のどん欲なまでのバイタリティ(追求心)には頭が下がります。「更なる理想の音をとことんに追求し、T-100の細部を完全にリコンストラクトして、遂に完成したのがALLION UltimateT-125だ」とのことですので、聴く前からこちらのテンションも上がりっぱなしです。見かけはブラックとシルバー仕上げという違いなのですが、その音たるや、度肝を抜かれる音の連続でした。とはいいつつあくまでもT-100と新作のT-125を比較して試聴しての話です。
 
というわけで、本日はAVAC Grand新宿店での試聴会に参加してきました。当日の試聴ラインアップは以下の通り。プリメインアンプ:ALLIONの新作UltimateT-125にT-100、そしてCDプレーヤーはデノンDCDSA1、スピーカーはDALIのヘリコン400MKIIという組合せです。
なお、イベンテーター(司会進行)としてオーディオ評論家の村井裕弥氏が狂言回しを務めておられました。ジャズ評論家の成田正氏、そしてスペシャル・ゲストとしてギタリストの荒谷みつるさんも参加されていました(生ギターが聴きたかったです)。また今回の試聴にお見えになった方々もなかなかの強者ども揃いです。皆さんの耳の確かさは、抜群でございました。(^.^)
さて、実際の音なのですが、これが上記の通りで、これまた前回成田宅での試聴同様に驚かされました。(事前にプリヒートをしてあったわけですが、最初の30分はやはりちょっと眠たい音がしていたのはご愛敬です)。
村井さんが試聴用にかけた盤は、旧録のクラシックをメインに、ジャズもビル・エバンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』やコルトレーンなど、旧作からが中心。盤のほとんどがSACDであったのも含めて、なかなか意味深であると拝聴いたしました。
T-125自体をずーーと聴いていると気がつかないことがT-100との比較試聴でしっかりと浮き彫りになりました。情報量はT-100の1.5倍を優に超えています。情報量が多くなると、音が滲んで聴こえるのは、私の駄耳の特性ですが、それでも、30分を越えた途端から、信じられないような音に変身して行きます。奥行き、左右の音場ともに広大そのものでした。まさにハイエンドな音なんです。こうなると良くあるのが、音が薄くなってしまう現象ですが、このT-125では、音場内に音がビッシリ詰まっているという聴こえ方をします。ハイエンドなお宅にお邪魔したときに遭遇する音なのですが、チマチマした音ではなく、音(音楽)がなんというか、威風堂々という風に聴こえるのが、今回のT-125の最大の魅力かもと思いました。こうなるとT-100にはもう戻れない音を聴いてしまったなぁというのが正直なところ。パワーも上がった所為(125W)もあるでしょうが、アンプとしてのパワーハンドリングも素晴らしく、音量を上げていった時の破綻が微塵もありません。ドライバビリティも秀逸なものでした。また弱音部での繊細なまでの切れ込みの良さは数百万のアンプでしか味わえないものの様な気がします。実体感のある楽音一つ一つのリアリティ、その楽器を取り囲む空気感の精緻な表現など、特筆に値する素晴らしさでありました。
ちなみに今回のT-125は200Vと100Vを可変出来るスイッチが付き、自宅での電源環境が整うまで100Vで使えるというのがなんとも嬉しい仕様です。今回のAVACでは、残念ながら200Vの環境が無かったため100Vオペレーション。しかし100Vで、この音が出てしまっているのですから、200Vになったときは末恐ろしい事になることは間違いのないでしょう(島元さんによれば、これで7割方の音だとか)。このブログで100万言を費やすよりも、新宿のAVACでこのAllionは常設展示されるとのことですから、試聴出来る場所がしっかり確保されたことになりますので、この驚きを追体験出来る環境がしっかり整ったことになります。ぜひ、AVACで試聴されることをお勧めします。「百聞は一聴にしかず」ですから。
今回持参したギタリストFerenc Snetbergerの『ノマド』(ENJA)を聴くチャンスがあったのですが、9曲目の<ムーブ>のバスドラが思った以上に聴こえてこないのです。ECMの諸作で知られるヤン・エリックの録音中でも屈指の名録音盤なのですが、どうも50Hz以下の音の減衰が早すぎて聴こえ無いのか、実際に出てないのか、どうなんでしょう。これはアンプの問題ではなくて、どうもスピーカーのヘリコン400MkIIの問題のような気がしています。というのも、ダイナ5555でこのスピーカーを試聴したときも全く同じ経験をしましたので・・・。このヘリコンは、どうも100Hz以上400Hzぐらいの低域の表現は超お得意のようですが、最低域の表現というのは、弱いのかもしれません。
もう一つ、デノンのプレイヤーなのですが、音的にちょっと器が小さいのかもという感じかと。中域の表現はいいとしても、最高域に弱点あり(粗い)と聴きました(CDプレイヤーとして)。SACDに特化したような鳴り方をするプレイヤーの様な気がします。ちなみにT-100なのですが、ビバルディの協奏曲を聴いた感じは、私的にはT-100が好きでした。というのもT-125では、音数が多すぎでしたから(爆)。そういう意味からもタンノイやJBLなどの古めのスピーカーをお持ちで、かつクラシックだけでなく、ポピュラーも聴くという方にはT-100という選択肢は充分にあると聴きました。