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スタインウェイを鳴らすということ

2006年10月21日 | Music

10月20日は、再び杉並公会堂小ホールを訪ねて来ました。
ここで行われたピアノとマリンバのデュオを聴きに行ってきたわけです。
コンサート自体はとても家族的な雰囲気で、詰めかけたお客様もそうでしたし、コンサート自身の構成も、そして演奏自体もまさにアット・ホームな暖かさに満たされたものでした。馬場祥子(ピアノ)、古徳景子(マリンバ)という美人2人によるデュオだけに一層咸興も湧くというものです。閑話休題。
この杉並公会堂の小ホールは、本当に素晴らしい響きを持っています。前回のCDコンサートでもその片鱗を垣間見せてくれましたが、今回は「ナマ」。各楽器の持つソノリティがダイレクトに伝わってきます。とても感動いたしました。
実はそれ以上に、ここで弾かれたピアノがスタインウェイなのですが、驚くほど程度がいいんです。特に低弦の響きは絶品で、高域側の10鍵ぐらいがちょっと弾き込んでいない分、ブリリアントさには欠けましたが、そんなのは瑕瑾です。また調律の方が相当いい耳をお持ちだろうことは、鳴っているピアノの音を聴いた瞬間に分かりました。というわけで、古徳さんには悪いのですが、耳がどうしてもピアノに行ってしまいました。このシリーズ・コンサートは、クラシック・ファンはもとより、オーディオ・ファンの方にこそ、聴いて欲しいコンサートです。ここでの音をリファレンスにして、ステレオをチューンする楽しみは、もう堪えられないもの。いい経験になりました。
さて、このコンサートで思ったことを箇条書きに。(主催者の方へ)
「日本の唱歌シリーズ」「アメリカン・メドレー」など選曲はとても良かったのですが、子供さん達も参加出来るプログラムが必要だと思いました。例えば、<シンコペーテッド・クロック>で知られるルロイ・アンダーソン曲集とか、ディズニー・ソング集なんかは、このデュオで奏でられれば相当なインパクトがあると思います。是非このお二人にお伝えください。
さて、スタインウェイに鼓舞されたわけでもありませんが、タイミングの良いことに
ジャズオーディオ通信さんがスタインウェイで演奏された21枚組のボックス・セット、その名も「Steinway Legends - Grand Edition」を紹介されています。これは、見た瞬間に欲しくなりました。詳しくはjazzaudiofanさんのブログを参照いただくことにして、一流揃いのプレイヤーにドイツ・グラムフォンと来れば、触手は動きますねぇ。ましてや「スタインウェイのグランドピアノの形をした箱に収められているらしい!」とのことで、ますます楽しみなボックス・セットであります。買うぞ!
ジャズ・ファンとしては、スタインウェイにぞっこんラブなのがキース・ジャレットであるというのはご存じの通り。そのキースの日本での調律を一手に行われている方が真鍋さん。この方とはなぜかお話しをさせていただいたことがあります。本当に素晴らしい方で、こんな耳の良い音楽好きの、そして当たり前ですがスタインウェイ命の方を知りません。思い出すのは雨の日。真鍋さんは、除湿剤と布団乾燥機を導入されていたのを見て、僕は倒れそうになりましたが、ピアノへの愛情がその動作一つ一つに感じられたのを覚えています。ある一言が僕をもっと驚かせました。「このピアノはもう使い物にならないと思います。(一体幾らなんだ!!と私)でも、ケアしてあげればまたいい音を奏で始めるかもしれませんから、僕が今やるべきことは必死でやります」と。こんな素晴らしいチューナーが調律したスタインウェイを僕は他人事ながら羨ましいと思いました。というわけで、そんな真鍋さんが鯉沼ミュージックのHPに綴った秘話をご覧ください。
調律師 真鍋 要さんのキース用スタインウェイ調律秘話
http://www.koinumamusic.com/concert/trio/making/manabe.html
http://www.koinumamusic.com/concert/making/keith/1.html
http://www.koinumamusic.com/concert/making/keith/6.html
音響チーフデザイナー  菊地 徹さんのコメント
http://www.koinumamusic.com/concert/trio/making/kikuchi.html