Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

東京シティ・フィルの定期演奏会

2008年10月20日 | Music
旧聞に属するネタなのだが、書いておこうと思う。
去る9月27日に東京シティ・フィルによる定期演奏会があった。ありがたいことにチケットが回ってきたので聴いて参りました。そもフル・オーケストラの演奏会は久々で、ましてや初めてのホールのティアラこうとう・大ホールでの演奏会。
事前に曲目は調べておいたので、違和感はなかった。初曲は武満徹の「波の盆」。無調の現代音楽を聴かされるのかと内心はビクビクものだったが、なんのことはない日テレ系でのドラマに使われていた曲なのである。ゆえにとってもスムーズで楽しめる曲調だ。「ノベンバー・ステップス」みたいだったらどうしようというのは杞憂だった。実に聴きやすい名曲だと思う。それにしても楽器構成が実にユニークだ。弦5部は当たり前として、グロッケンシュピール、バイブ、チューブラベル、ハープにチェレスタ、そしてシンセサイザーまでが導入されている。これらの楽器がやたらに活躍するというわけではないのだが。いずれにせよ、1曲目から実に気持ちのいい音で堪能させていただいた。
2曲目はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第1番」。ピアニストは新進気鋭の尾崎有飛。クラシックを知らない僕にもテンポが走ったり遅れたりが感じられた。これはたぶん楽団側が悪いのではと思うのだ。もしかするとリハーサルが少なかったのかもしれないが、どうなのだろうか。曲はなかなかロマンティックな名曲である。それにしてもスタインウェイはいい音がする。まさに生ピアノ万歳であった。CDで聴くこの曲よりも非常に短く感じたのは、演奏が良かったからなのか、寝ていたからなのか、判然としないのだが(大爆)。なおピアノの尾崎は1989年(平成元年)生まれ。驚いたなぁ。
3曲目はドヴォルザークの「新世界より」。これは、演奏会の定番曲なので楽しく聴けたが、それでもリハ不足(消化不良)を感じたのは僕だけだろうか。まぁ我が家にあるのがシカゴ響の盤だから、比べてしまうからなのかもしれないけれどもね。パートによってはぎこちない挙動が随所に散見された。
それにしてもこのオケの配置が実に興味深い。バイオリン群の左右配置は良くある設定だがコントラバスが左にいるのだ。チェロも中央左側という配置で、見ていても聴いていて違和感がある。センターにコントラバスという盤は知っていたが、左というのは初めての経験。これを録音で聴いたら「インコネを左右を逆に繋いだ?」みたいな音で聴こえたからである。

SHM-CDサンプラーを試聴する

2008年10月19日 | Music

これは、本当に安い。2枚組で1000円とは。確かにサンプラーだけど、オムニバス盤を入手したと思えば、こんなに安い買い物はないなぁ。さて、購入したのは以下の2枚。
これがSHM-CDだ!: ジャズで聴き比べる体験サンプラー
これがSHM-CDだ!: クラシックで聴き比べる体験サンプラー
まずは、ジャズの方だが、田中さんのライナーのヨイショがきついのは商業としてしょうがないのだけれど、正直に言って比較CDとSHM-CDとの音の差に、驚くような差異は感じられない。ただし重要なのは、これらの名盤の初期CDを持っている場合、間違いなく新マスタリングが行われているものは、音の鮮度が格段に上がっているので、いい音になっているなのは間違いないと言うことだろう。それにしてもジャズ版での選曲がどうしても理解できません。ヴァーヴ中心というのはいいとして、もっといい音の盤はあったはずなのにというのが本音だ。このジャズ版サンプラーで、音源的に見直したのは、ケニー・バレル。このギル・エバンス編曲の精緻なまでの再現は、初期CDでは、全く無理だった。これなどは必聴。というわけで、2000年以降発売になったCDを現在持っているなら、ジャズは買い換えの必要は微塵もないと思うのだがいかがか。
さて一方のクラシックなのだが、これは、僕自身がオリジナルなCD群を持っていないせいか、非常に楽しめた。選曲もいい。それもいわゆる試聴会やオフ会で鳴らす試聴音源として全曲ともに聴き所があるゆえだが(ジャズ版はそういう観点はないと思う)。初っ端の<カルミナ・ブラーナ>からして凄すぎだ。67年録音とは思えない。自分の装置の弱点が晒されまくる優秀録音。コーラス、オーケストラの分離、奥行きがどこまで聴こえるのかが焦点かと。そういう意味ではモーツァルトの「レクイエム」、バッハの「マタイ受難曲」もシステム全体の解像度が問われる名演・名曲で、堪能させていただいた。それにしてもドイツ・グラムフォンによるORIGINAL-IMAGE-BIT-PROCESSING(OIBP)ってのは、なかなか素晴らしいマスタリング技術だと思う。ここを参照いただきたい。ただし、旧録音盤をアナログで聴いてきた人にとっては、やや不自然なマスタリングになっているような気もするのだが、どうでしょうか。
録音とは別のところで驚いたのはクライバー指揮のベートーヴェンの「交響曲第7番」。いやはやテンポがめちゃくちゃ速い。カラヤンとは別物でしたねぇ。知らないというのは、ある意味いいことなのかもね。なお、名曲「ます」は、いつ聴いても楽しくないのは、僕の感性がないということで。確かにストリングス・カルテットにベースを使用した斬新な所とピアノと言う編成は好録音を狙いやすい組合せだとは思うが、どうも聴いていていつもしっくりこない。
というわけで、うちのCDPのエソテリック君は、通常版とSHM-CDとの差異をしっかり(驚くほど)出してくれなかったという次第。残念無念。へへへ。


デジタル・ケーブル追記

2008年10月18日 | Audio
エージングを続けていたカルダスのLIGHTNING 15は、その後大変身を遂げていて、非常に滑らかで艶のあるシルキーな響きを身に纏ったようだ。派手な音ではないが、これは音楽を聴くという行為に集中出来る美音だといっていいまでに仕上がった。音のヌケも良く、導入直後と一番違うのは、各楽器の定位のシャープさがしっかり際立つようになったこと。これによりドラムやピアノの実体感が大きく改善されている。当初低域(超低域も)だけがやたらに目立つような挙動がなくなったというのも嬉しい限りだ。
さて、もう一本のワイヤーワールドのGOLD STARLIGHT IIIだが、これは、ほぼエージングが終わったと思われる状態においても大きな変化はない。物凄いセパレーション(微細定位!!)の良さがあるものの、盤によっては高域にややメタリックな質感を感じる時もある。良し悪しはあると思うのだが、クラシックのバイオリン群の高域がどうしてもリアル過ぎて、しなやかさに欠けているような響きが付き纏うことがある。しかしジャズを聴くということに関して言えば、音の安定感(全帯域)がなんとも好ましいものがあり、現在我が家のリファレンスな1本となった。ドラムスのブラッシュ、ハイハットやライド・シンバルなどの空気感は旧録音、新録音の区別無く素晴らしいパフォーマンスを示してくれている。
さて、このところ集中的にエージングに勤しんできたのは、新品となって帰ってきた(!)e-square製のLune Purete(1m)とSoleil Purete(70cm)。そしてオーディオ リプラスのALM500というご太いデジタル・ケーブル。そして最後にMuse cableのシルバープラグ付きの計3本をエージング中だ。
 
e-squareの2本だが、1本目のLuneは修理という名の新品返還(!)。もう1本のSoleilも新品ゆえにエージングが必要だった。最初から鳴ってくれたのはSoleilの方で尺が短い70cmなこともあってか、このケーブルが到着して直ぐに最初からいい音がしたのには驚いた。ジャズだけを聴くというなら、このケーブルで全てOKって感じの音が最初から出たのだ。しかしながらLuneのエージングが進むに連れて音的には追い抜かれていった。Soleilはハッキリクッキリ的美音で、Luneと質感は似ているのだが情報量は少ない。エージング開始時点でも情報量は圧倒的にLuneの方が多いのだが、音的にはLuneはまだエージングが必要な感触があった。しかし、流石に丸々1ヶ月間、これらの新参ケーブルを取っ替え引っ替えしてエージングすると、Luneは、その持てる真価を発揮し始めたようだ。やや籠ったような音だったのが、秋の空のように、クリアにヌケ始めている。音に鮮度があり、かつ音がとても熱いのだ。とても有機的な音がするケーブルとして重宝している。それにしても銀線の嫌な音がしないというのも特筆に値するものだと思う。
オーディオリプラスのケーブルは、中古だが、ほとんど使われていないかの様な音だった。当初はヌケが悪く、細かい音はするものの力感がなく、精彩に欠ける音だったが、これまた一変している。低域の質感も充実し、当初ピアノの音が実に情けない音がしていたが、ここへきて、しっかりとした重量感と高域の力感が出てきた。音場感はCable Linksのイエロー・デジタルと似ており、スピーカーの左右の軸上に音源群が定位するというもの。いわゆるスタジオで聴くモニター的な音がする。ハイエンダーが好きな音かもしれない。左右の音場は広いが、高さや奥行きがでない。逆説めくが情報量が少ないのかもしれない。あるいはもう少しエージングが必要なだけかもしれないのだが。現時点で、相当改善はされているが。
さてMuse Cableは、新品ゆえに一番エージングに時間が掛かった。e-squareのケーブルが新品なのによく鳴ってくれたのとは好対照で、ちょっとガックリしたのも事実。プラグは、銀にしたのが失敗したのかとやや落ち込んだが、これもエージングでヌケてきた。まぁ、かなり聴き込んで購入したケーブルなので、安心していたのがそれが逆に仇になったのかもしれない。ジャズを聴くというのならば、オリジナル通りの金のプラグの方が良かったかも知れないが、音場の広さを活かしてクラシックを聴くためのケーブルに仕上げたかったので銀プラグにした。なお、このケーブル自身は細いので、音圧による共振で音が濁ることがある。で、このラインの一ヶ所にテーピングをして共振を回避することで、音場が一回り深くなることを付け加えておこう。付ける場所で音が相当違うので、カットアンドトライが必要なのだが。
それにしても、この3ヶ月間デジタル・ケーブルを集中的に聴いてきた訳だが、どのケーブルにも聴き所があって「ザ・ベスト」を決めかねているというのも事実。
安心して聴けるのがワイヤーワールドで、コッテリとした音楽を聴きたい時にはe-squareのLune、サッパリとした質感でクラシックやアコースティック・ジャズを楽しむならMuse Cableというところか。なおオーディオリプラスのケーブルは、感触的にまだエージングが必要かもしれない。