今回はチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」(有希マヌエラ・ヤンケ)やドヴォルザークの「交響曲第9番 新世界より」という親しみやすいプログラム設定もあってか満員の盛況。
誤算は、指揮者がイジー・シュトルンツという予定がアイスランドの火山噴火によって来演できず、代役としてマイケル・フランシスが指揮を行ったこと。しかし、これが素晴らしかった。彼はロンドン交響楽団のコントラバス奏者で、この4年ぐらいはなんと指揮者に転身している。手持ちのLSOの盤を調べると、我が家にも彼がコントラバス奏者として演奏しているCDがゴロゴロありました。そんなマイケル・フランシスは「代演、代役」のスペシャリストとして知られているようで、ご存じゲルギエフやプレビンの代役などをこなしてきているようです。彼の場合の代演というは、もう本当に切羽詰まった状況での代演がほとんどで、その数多い代演の全てで成功を収めているという猛者でもあるようです。今回はムターと一緒に来ていたところだったようですが・・・。
で、実際の指揮ぶりはというと、決してスマートな指揮とは言えませんが、これが本当にスコアの細部を熟知している様でアインザッツの的確さは、見ていてとても気持ちがいいものでした。ちょっとフォルテになる部分では、がに股になっちゃいましたけどね。
出てくる音がまた凄い。「これ、東京シティフィルの音?」って感じです。出てくる音がエッジの効いた音なんです。まさに海外のオケを聴いている感じ。彼のエネルギッシュな指揮ぶりにシティフィルも乗せられた感じでした。それにしてもこのマイケル・フランシスという指揮者、間違いなく注目に値する若手指揮者の一人と聴きました。