Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

東京シティフィル定期演奏会と火山噴火の余波

2010年04月22日 | Music
21日(水)は、今年の定期演奏会には皆勤賞という東京シティフィルの演奏会に行ってきました。前回(第237回)の演奏会形式で行われたバルトークの歌劇『青ひげ公の城』は青ひげ公役の小鉄和広さんが本当に素晴らしい歌唱を披露してくれて感動的ですらありました。なにしろ全曲暗譜(!)でしたし。まさに青ひげ公が乗り移ったかの様な歌唱に完全にノックアウトされました。そんな余韻を引きずっての演奏会でした。
今回はチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」(有希マヌエラ・ヤンケ)やドヴォルザークの「交響曲第9番 新世界より」という親しみやすいプログラム設定もあってか満員の盛況。
誤算は、指揮者がイジー・シュトルンツという予定がアイスランドの火山噴火によって来演できず、代役としてマイケル・フランシスが指揮を行ったこと。しかし、これが素晴らしかった。彼はロンドン交響楽団のコントラバス奏者で、この4年ぐらいはなんと指揮者に転身している。手持ちのLSOの盤を調べると、我が家にも彼がコントラバス奏者として演奏しているCDがゴロゴロありました。そんなマイケル・フランシスは「代演、代役」のスペシャリストとして知られているようで、ご存じゲルギエフやプレビンの代役などをこなしてきているようです。彼の場合の代演というは、もう本当に切羽詰まった状況での代演がほとんどで、その数多い代演の全てで成功を収めているという猛者でもあるようです。今回はムターと一緒に来ていたところだったようですが・・・。
で、実際の指揮ぶりはというと、決してスマートな指揮とは言えませんが、これが本当にスコアの細部を熟知している様でアインザッツの的確さは、見ていてとても気持ちがいいものでした。ちょっとフォルテになる部分では、がに股になっちゃいましたけどね。
出てくる音がまた凄い。「これ、東京シティフィルの音?」って感じです。出てくる音がエッジの効いた音なんです。まさに海外のオケを聴いている感じ。彼のエネルギッシュな指揮ぶりにシティフィルも乗せられた感じでした。それにしてもこのマイケル・フランシスという指揮者、間違いなく注目に値する若手指揮者の一人と聴きました。

エソテリックX-05を持ち上げてみた

2010年04月18日 | Audio

我が家のプレイヤーであるエソテリックのX-05は、微細な音もすんなり出してくれるCDPとして大変お気に入りですが、どうしても気になるところが2つありました。
一つはSACDの読み込みとプレイ中の回転音。つまり相当な振動音が出るわけです。購入当初からだったですので、もう慣れっこではあるのですが、やはり鬱陶しいものは鬱陶しい。とはいいつつ、このプレイヤーには個体差が大分あるとWebで書き込みも見つけ、うちのは「まだいい方なのだ」と判断しました。やや諦めモード突入中ではありますが(爆)。
そしてもう一つは足回りの問題で、付属のインシュ(フット:足)を、ずーと最初から使い続けていたわけです。やっぱり普通はそうですよねぇ。先日messaさん宅でX-01を聴かせていただいた時に、物凄い「足」のインシュによって3点支持(前1つ、後2つ)で持ち上げられていました。これを見てピーンと来ました。これしかない。このやり方をすぐに導入せねば・・・と。
で、取り敢えず左右45mmx45mmで、高さが30mmのウェット・カーボン・ブロックと、その上にサンシャイン製のマグネシウム・インシュを載せて、CDPを3点支持(前はドライブ真下に1つ、後ろは2つ)にしてみました。あくまで暫定処置なのですが・・・。
これは驚きました。物凄い効果。いままでの音は何だったんだ? それにしても、単純に音離れの良さという部分だけでも大改善されちゃったのです。
このX-05が我が家にやってきて2年。足回りに関してはインシュなどで「改善すれば良くなるだろう」とは常々思っていましたが「開発者によるオリジナルの足がそんなに悪いはずは無い」とも思い込んでいた部分もあって、いままで全くの手付かず状態でした。それが思いつきだけ(messaさんに感謝)で導入した後の音が、ここまで良くなるとは思ってもいませんでした。
オリジナルの足で聴いていた時の音は、楽音が細かい粒子状の音になって広がる、と書けば良い感じですが、それが実際は顕微鏡で覗いたような、神経質な音(ある意味ノイジーな音かも)だったのが今回良くわかりました。導入後は音離れがいい音になって楽音自体が楽々と鳴っている感じで、音にキレがあり、音の飛び方がまるで違います。もう伸び伸び鳴っているのが良くわかるのです。ピアノの音は明らかに艶、分離、迫力と思いつく単語を並べてもその違いは明らか。スケール感が一段とアップしてしまいました。この音がジャズを聴くだけのためにある音なのかと当初は思っていましたが、これがクラシックにも凄い効果があるんです。弦楽5部の各パートのハーモニーが一層明瞭になって、オーケストラのスケール感がいままで以上になりました。ピアノ協奏曲なんて楽しいったらありゃしない。ベートーヴェンのチェロ・ソナタを聴きましたが、うーん、素晴らしい。弦の震えがダイレクトに伝わってきます。「オーディオはセッティングだ」と改めて思いました。機器やケーブルを換えるより、激変なんですから。

JAZZと呼ばれた電源ケーブル(Black Rhodium)

2010年04月11日 | Audio
Star Bright~ジャズとオーディオここ)というブログを書かれているじょんびさんとひょんな事から知り合いになりました。なんとお住まいもご近所です。で、先月はじょんびさんのお宅にお邪魔させていただいて、その主義一貫したシステムを試聴させていただきました。
なんと入り口から出口まで、オール・リン・システムで構築されているのです。ケーブルは違いますけど・・。そしてお聴きになるのが50年代、60年代のメインストリームなジャズが中心。そう、いわゆる“ジャズ特化システム”なんです。ジャズの持つ質感を大切にしたその音は、じょんびさんのお人柄を表しているような、とてもしなやかで熱いというジャズ・ファンが最も魅了されるであろう「美味しい音」で鳴っていました。それにしてもCDPのないオール・リンというのは、凄い。
で、そのじょんびさんが昨日のブログでアップされておりましたが、英国のBlack Rhodium社の切り売り電源ケーブル“JAZZ”を使った電源ケーブルを作成され、そのパフォーマンスの良さを自宅でも聴いて欲しいとの申し入れがありました。もちろん二つ返事です。

実は2週間前からこのケーブルをお借りして試聴しておりました(爆)。
非常に綺麗なブルーの被覆が印象的です。そして柔らかいケーブルで取り回しが楽というのがこのケーブルのファースト・インプレッション。
で、実際の音ですが、結論を先に述べますと、これは「いい」です。うちの場合では上流であるCDPに使うと、いままで常勝であったチクマの電源をぶっちぎりで追い越して行きました。これは驚きでした。
我が家に到着した“JAZZ”ケーブルは、エージング2時間程度のランニングのみだったようで、当初の1,2日は、左右の音場、奥行きともに狭かったのですが、1週間後には大変身しました。左右、奥行きとも見通しの良い物に変化していきました。刻一刻変化していく様がこれだけハッキリ聴こえた電源ケーブルは初めて。
このケーブルはネーミング通り、ジャズを聴くという点で、まず音の鮮度と切れ味が抜群ですこれは特筆出来るものでした。ピアノの打鍵後の音の出方が実に「生っぽい」わけです。ましてやシンバルのヌケも高域までしっかり倍音が乗っている。そしてジャズ好きに堪らないのがドラムスのスネアやタムのアタックや質感の表現の見事さで、快感度満点です。当然のようにトランペットやサックスなど管楽器群の粒立ちも、超リアルで聴いていて本当に気持ちのいい音なのです。音場的には、各音像が前に前にと定位していくので、音楽を聴く楽しさが倍増します。
もう一つ特筆すべきは、楽音がないところの(バックグラウンド)の静けさ、まさに漆黒のバックグラウンドが出現します。これは初めての体験。本当にあるんですね。こういう聴こえ方が。
というわけで、このケーブル、単体でメーター8000円、Wattgateのプラグとコネクター(クライオ済み)を付けてのケーブルの出来ですが、これはなかなか丁寧な仕上がりでした。うーん、これは欲しいです。戻れませんなぁ。
興味のある方は、上記URLで確認してみてください。一聴の価値があります。試聴用の貸し出しもしてくれるようです。
追伸
・昨日、拙宅へじょんびさんが来てくださいました。電源ケーブルJAZZ、うまくなっていましたでしょうか?
・調子に乗ってじょんびさんが帰られた後もクラシックで大試聴大会を夜まで挙行しちゃいました。60年代のクラシック録音が・・・。そして新譜のクラシックも凄い音で鳴っています。うーーむ。こりゃ、ホントに良い感じだ。