Sugarのちょっとお寄りなさいよ

ジャズ、クラシック、オーディオ、そしてコーヒーの話題をお届け

オーディオ・ラックをIKEAで調達しようかと・・・

2006年04月24日 | Weblog
Imazeki's WorkshopさんのBlogを覗いたら、今日オープンしたIKEAのことを紹介されていた。
このイケア・ジャパンは、実は千葉県船橋の住人には馴染みで、1980年代後半に船橋ヘルスセンターの跡地に出来「たららぽーと」内にこの店は出店していた。ところがいつだったかは定かではないけれど、完全撤退してしまっていたのである。
で、本日、まさに再オープンとなったわけで、本当に喜ばしい限り。
ご存じの方も多いと思うが、IKEAは一言で言えば家具店である。ヨーロッパの家具を低料金で紹介するというお店で、機能的でデザインの優れたホームファニッシング製品を、幅広い品揃えで提供してくれるお店である。
で、私なのだが、Webを見ているとやっぱり購買意欲がかなりくすぐられるのだ。デザインがいいし、なにしろ安い。
まず一つ目は、オーディオ用のラックをこのIKEAで買えないかという企みである。
  
   
 これらが1万~4万以内で買える CD棚は3900円
アナログ・プレーヤー2台のスペースにアンプ、CDプレーヤーを配置出来るラックを探そうとWebページを見ていた。幾つかの候補が見つかった。安いのからややお値段の張るものまでいろいろある。現物を見ていないのでなんとも言えないが、値段も1万円弱から3万5千円ぐらいでかなり綺麗にまとまるのではと思う。
「テレビ&メディア用家具」というカテゴリーにあるものばかりで、パーティクルボードにバーチ材の突き板仕上げのものから、パイン無垢材を使ったものまでいろいろある。パイン材に至ってはあとでオイルフィニッシュが出来るので、無垢で買っておいて後で日曜大工が楽しめたりするのもいい。
さてもう一つは、CD棚である。現在800枚収納が3つあるが、当然ながら満杯。ただし隙間はあるので、この180枚入る棚も幾つか欲しくなったという次第。見ていればいるほど、欲しくなるものが増えるので今日はこの位に。

Prestige RVG Remasters Seriesは果たしてどうなのよ?

2006年04月20日 | Jazz

Web上で、ルディ・バン・ゲルダーのリマスターによるプレスティッジ・シリーズのネタを拾おうとするのですが、その音について言及してくれている人がほとんどいないのですねぇ。残念なことです。ブルーノートのRGVサウンドについての言及はあるのですけれどもね。
     
日本のジャズ・ファン、オーディオ・ファンは、今回のラインアップの諸作なぞはすでにお持ちな訳です。ですから新たに同じ盤にお金を投資して、果たしてそれだけの価値があるのか!とお思いの方も多いからなのでしょうか。僕も正直そう思います。でもいずれにしてもその真偽を見極めないといけません。というわけで、まさに百聞は一見(一聴)にしかずとの教えもあることだし、重い腰を上げて購入して参りました。
今回は様子見ということで『サキソフォン・コロッサス』と『ラッシュ・ライフ』のみ。しかし何枚持っているのだろう。『サキコロ』はアナログも入れて4枚、『ラッシュ』も3枚あるんですね。まぁ、コンプリートものを入れてですけれども。
さて結論から先に申し上げると「ゲルダー先生、盛大に弄り回しましたねぇ」ということになる。かなりアナログを意識されているのか、相当イコライズしまくりです。使えるイクイップメントをみんな試したんじゃないかな。海外サイトの会議室での発言にはスペアナを新旧で比べていました。まぁ、その弄りぶりは本当に激しいものです。海外のページではブルーノート盤でスペアナをやっていました。聴感上でもそれは感じられてとくに『サキコロ』は世情にあるCDとは物凄い違いです。高域拡張、低域拡張ですね。
まず音圧ががかなり違います。音の善し悪しとは別の次元ではありますが、ジャズ・ファンには受け入れやすい下地が音圧の違いにはあると思います。やっぱり迫力が違いますからね。『サキソフォン・コロッサス』に関してはアナログ的、それも非常にオリジナルに近いアナログ的な音に生まれ変わっています。過去いろいろなアナログ(盤の重さやカッティングを変えた)が出てきましたが、今回のリマスターCDは間違いなくオリジナル盤に近い、アナログ・ライクな音がしています。
そうそう一ノ関の『Royce』で聴かせていただいた『サキコロ』の感動が自宅で甦りました。これは本当に素晴らしいことで、諸手を挙げて喝采を送りたい仕様です。
ならば『ラッシュ・ライフ』も!と意気込んで聴いたのですが、確かにカッティング・レベルは上がっているものの、細部を聴くと、例えばアール・メイのベースは今回のものより、弦の震えなど、そのディテールについては普通の20ビット盤の方がクリアに聴こえます。ちょっと誇張しすぎの感があるアート・テイラーのドラムスの音も誇張されたが故の歪み感が感じられました。
ただし、なのですが、コルトレーンのサックスの音に関して言えば間違いなく今回のリマスター盤の方がリアルです。この点は、ロリンズのサックスも同様で、ジャズ・ファンの涙腺を刺激する音ですね。この辺はさすがにバン・ゲルダー先生ならではの作りかと思ったりします。
     
たった2枚しか聞き比べをしていませんので、全10枚をすべて聴いてみないとこればかりは分かりません。とは言っても、ホーキンス盤以外はすべて持っているしなぁ、これからこの盤に手を出すのも・・・。
ということで「俺はこの盤をこう聴いた!」と言う方や「ブルーノート盤はこうだった!」とか、ぜひぜひお知らせくださいませ。よろしくお願いいたします。
追記
『サキコロ』2曲目の2秒目、5秒目に「プチ」ノイズが聴こえますが、これは、ビクター音産時代の20ビットマスターCDにも入っていましたが、今回のRGVマスターでも入っているので同一マスターを使用していると思います。
では、旧のCDが悪いかというと、日本人的な感性からすると、旧盤の方がフラットに聴こえますので、悪くはないと思う人が多いと思います。
はてさて、皆様はどうお聴きになりましたでしょうか?


『エヴァンス』といっても自家焙煎珈琲店のお話し

2006年04月16日 | Coffee

「今、Tさんは自家焙煎珈琲専門店をやっているんだよ!」
私の先輩に当たる方で、在職中はそんなに長い期間をご一緒したわけではなかったのですが、非常にいい先輩で後輩の指導という点では特に親切な方でした。まさに「いい人」を地でいくお方。その会社を辞めた後は、あるレコード会社のディレクターに。その後、車のワックスかけの会社を興して、この仕事をされているとは聞いていましたが、まさか焙煎珈琲店の店主になっているとは想像もつかなかったのです。
で、上記の発言は、Tさんを知っているOさんになにげなく聞いたところ、こういう答えが返って来たわけです。いやーー、びっくりしました。
 
⇒エバンス店内 Evansコンプリート作と同じカラーが店の色なのかなぁ。
そのTさんが、開いているお店の名前は『エヴァンス』である。
うん? もしかして?と思われた方、正解です。僕も怖くて本人には聞けないんですが、どうもあの「ビル・エバンス」からであることは、間違いなさそう。
それにしてもTさんが、ビル・エバンスが好きだって知らなかったなぁ。もしかするとフュージョンがお好きでしたから、サックスのビル・エバンスだったりして。まぁ、そんなことは無いかと・・・。
で、そのお店なんですが、黒川郡富谷町明石台5-1-12にあります。宮城県は仙台からちょっと行ったところの泉中央の先のところですね。だいぶ開発が進んでベッドタウン化している場所の様です。ちなみにGoogleのローカルサーチで上記住所を入れていただければ、よくお分かりになるはず。『牛屋たん兵衛』のとなりです。
 
 ⇒ジャケットも飾られている。『ポートレイト』『処女航海』『ストラッティン』
先日、ご連絡をいれましたところ「あぁ、Sugarさんじゃないの?久しぶりだねぇ」という通常会話の後に「へぇー、そんなにコーヒー好きなんだ。じゃ、試供品を送ってあげるよ」とのことで、それが本日午前中に到着いたしました。
僕の好みを伝えてありましたので、ハイ・ロースト以上の豆を750gもお送りいただきました。電話はしてみるものです。
開店されて3年とのことで、本人曰く「まだまだ修行の身だよ」とのことでしたが、味はなかなかのものです。値段も店の顔とも言えるブレンドが200gで600円、モカを中心にしたスペシャルブレンドが810円、ロイヤルブレンドで920円とのこと。とにかく豆の種類の多さには驚きます。
煎り具合は、オーダーを頂ければ好みのローストにしてくださるとのことで、これはお勧めです。特に仙台近郊の方は、確実にお勧めいたします。
なにせお店では、店名通りにジャズが流れています。ジャズ・ファンには間違いなく堪えられませんよ。Tさん曰く「お店だと管が入っているのはどうもね・・・」。ということでピアノ中心の選曲の様です。僕は思わず「ジャズ喫茶にしちゃいなよ」って本気で思いました。

■自家焙煎珈琲専門店『エヴァンス』
〒981-3332
黒川郡富谷町明石台5-1-12
022-218-3223


スティープルチェイスのラリー・ウィリスにスポットを!

2006年04月16日 | Jazz

ラリー・ウィリス:Lawrence Elliott Willis (p)
1940年12月20日ニューヨーク生まれ。60年代頭にマンハッタン・スクール・オブ・ミュージックを出て、すぐにジャッキー・マクリーンのバンドに加入し、マクリーンのRight Now!等の作品で知られるピアニスト。ハービー・ハンコックの影響を受け、モーダルかつ知的なプレイで人気博した。70年代に入ると一転してエレピやシンセをプレイするようになり、キャノンボール・アダレイ、ジョー・ヘンダーソンらのバンドに参加、72年にはブラッド・スウェット&ティアーズに入団する。70年代半ば以降アルフォンソ・ムザーン、ソニー・フォーチュンらのバンドにも参加している。また80年代はデビッド・ニューマン、カーラ・ブレイ、ウディ・ショウらとの作品を残す。80年代半ばからは、テレサ、スティープルチェイス、オーディオクェストなどにリーダー作を残している。

このラリー・ウィリスが経歴的に面白いのは、17歳の時の初吹込み。音楽高校最後にレナード・バーンスタインのクラシック(CBSマスターワークス)で、声楽の一人として参加していること。半分冗談みたいなものだが・・・。
やはり本命はジャッキー・マクリーンのバンドへの参加だ。御歳19歳である。マクリーンはトニー・ウィリアムスの青田買いでも有名だが、このウィリスも同じような感じがとても臭うのは私だけ?
それ以上に奇しくも何かの縁があるといえば、キャノンボール・アダレイ・バンドへの参加だろう。なにせ飛ぶ鳥を落とす勢いのジョー・ザビヌルの後釜に選ばれたのだから、やはり只者じゃない。
またもう一つ驚くべきはブラッド・スウェット&ティアーズへの参加だが(よく聴いてはいたけれど、ウィリスには注目しなかったなぁ)、これもなんたってアル・クーパーの後釜に入ったということだから、これまた推して知るべしというわけだ。
ことほどさように、このウィリスというピアニスト、書いていくとなにやら魅力タップリのミュージシャンに思えてくるのだが、どうもジャズ界というところはそうはならないのが常らしい。やはりアンダーレイテッドなミュージシャンの一人なのだ。
今回ご紹介する盤を聴いていただければ分かるけれど、実に新鮮なフレーズを紡いでくれるピアニストだと思う。単純に言っちゃえばハービー・ハンコックの影響を受けたピアニストということで一件落着しちゃうんだろうけども。でも彼を彼たらしめているのは、黒人ピアニストなのだけれど、物凄く白人的なクールな面を持っているということ。つまり黒々っていう感じじゃないのが、今の時流に結構合うんじゃないかと思ったわけ。今回紹介するウィリスの作品を、今こそもう一度聴いてみる価値があるのではないかな、と思った次第。
本当のところはエンジニアのジム・アンダーソンのことを調べていて、ついついラリー・ウィリスの盤を探しちゃったというのが真相かも。

さて、今日ご紹介するのは①『Just In Time』 ②『Heavy Blue』 ③『How Do You Keep The Music Playing』(全てSteepleChase)。
    
まず①だ。この三枚に共通するのは、ドラマーが「全て最高」であるということ。まずはこの盤ではケニー・ワシントンのプレイに瞠目すべし。そして我フェイバリットの<ジ・アイランド>をやってくれていること。まぁここでのこの曲の演奏は普通ですけれど。アナログには入っていなかった自作曲<ソウル・サーチ>や<ティーズ・バッグ・ブルース>など自作曲に魅せる作曲家としての顔も見逃せないだろうと思う。また後年ハンコック・トリビュートを作るけれど、ここでも<ワン・フィンガー・スナップ>を演じてハンコックへの真摯なまでのオマージュを捧げている。で、たぶんこの盤はスティープルへの初リーダー作。
  
②は、2管編成のバンド。ここではジェフ・ワッツが凄い。5曲目の<ナイトフォール>(ウィリス自作曲:本当に名曲です)でのワッツ君、私、唸りました。この頃はウィントンのバンドにいたころだと思いますが、統制されたところから解き放たれた獅子の如き振る舞い(まさに獅子奮迅)で出しゃばっては居ないけれど、主張すべきは主張するという「いいドラマー」の香りがプンプンしております。
2管のジェリー・ゴンザレス(tp,flh)とジョー・フォード(as)はまぁ、まぁ。でもゴンザレスのミュートにはかなりハートを抉られました。特筆すべきはベースのドン・ペイト。こんなにいいベーシストだとは、ツユ知らずです。セッション系ベーシストとしか認識なかった(ギル・エバンスのバンドなどもある)ので、正当的ベース・プレイにただただ参りました。
  
③は、ご存じルイス・ナッシュが参加しているピアノ・トリオ。ウィリスというピアニスト、やっぱり知性派だと思わせるのはバラードでのプレイ。どう聴いても黒人に聴こえない。タッチも物凄くセンシティブだし。かといってガツンという風に弾けないかというとソウルフルに弾いてみせるから、やはり怖い人だ。
この盤でも自作曲が本当に素晴らしい。なおスコット・ラファロ作の<グロリア・ステップ>でのセンシビリティ、2曲目ルグラン表題曲のエスプリ。見事な物であります。

●問題は、やはり同じスティープルチェイス・レーベルでもデンマーク産の輸入盤である①と②、国内盤である③なんですが、圧倒的に輸入盤の勝ち。何がって? 音質です。鮮度が違いすぎですねぇ。どれもデジタル録音ですけども。
●1989年というのはスティープルチェイスにとっては特異年。NYでのレコーディングをまさに山のようにやっています。そのほとんどの録音をジム・アンダーソンが行っています。

ジム・アンダーソンが上記3枚すべて録音担当してます。この人は尊敬に値するエンジニアの一人です。やっぱり「巧い」。デビッド・ベイカーとは違う凄みがあります。すなわち正真正銘の正当派なんですね。一言で言えばナチュラル&フラット嗜好(志向)でしょうか。かといってdmpのトム・ジャングみたいにフラット志向一直線みたいなのとは違ってジャズ・オリエンテッドです。
例えばベースを録るとき、ミュージシャンによってちゃんと音が違うんです。何を当たり前のこと言っているんだ!って怒らないでください。なにが言いたいかというと、エンジニアによってはベースは単にベースの音でAさんが弾いているのを録ってもBさんが弾いているのを録っても同じ音に成っちゃうエンジニアがたくさんいるという意味です。アンダーソンはそうはならない。そのベーシストの持つ音色を明確に録ってくれるんですね。今回の3枚も①ボブ・クランショウ②ドン・ペイト③デビッド・ウィリアムスなんですが、腰の痛いのが分かるようなちょっと弱いベースの①。エレベも弾くだろうなぁと分かるマッシブな音色の②、そしてどうしても好きになれないモゴモゴ・ベースの③という具合。
このアンダーソンはボーカルを録らせるとたぶん凄いのではないかと密かに思っています。彼はデジタル革命以降(デジタル初期)に、デジタル録音に通暁しようと研鑽したエンジニアの一人だったのかもしれません。どうもそんな気がします。


君は胸キューンとなるか?:スティーブ・キューン・トリオの好録音盤

2006年04月13日 | Jazz

スコット・ラファロからビル・エバンス、そしてジョン・コルトレーンと続くと、やはり赤い糸で繋がれたもう一人のピアニストを聴かないと駄目なのかな。ということで、今日はスティーブ・キューン:Steve (Stephen Lewis) Kuhn
原さんところのヴィーナスで、キューンも嬉し恥ずかし吹込み数の増加と売上が大爆発とのことですが、僕はここ9年ばかりジャズから遠ざかっていましたので、キューンと原さんの今の関係をよく知りません。だから知っているのは80年代と90年代のスティーブ・キューンだし、聴いているのもこの時代のキューンなんです。なんのこっちゃ。
  
さて今日は1989年吹込みの『Oceans In The Sky』(OWL)と1990年吹込みの『Looking Back』(Concord)、そして1992年吹込みの『Year's Later』(Concord)を引っ張り出して聴いている。
  
まずはOWLの『Oceans』から。この頃のキューンのイメージはやっぱりECMアーチストっていう感じが僕には強いので、メンバーから見るとECM的な耽美的トリオ・ミュージックかと思っていた作品。でも実はその後のキューンの歩みの第1歩という感じがする秀作だと思う。イバン・リンスの<ジ・アイランド>に、ケニー・ドーハムの<ロータス・ブロッサム>という出だしですからねぇ、“今のキューンの端緒”という感じがお分かりいただけるかと。55分があっという間に終わるのも、やっぱりこの選曲の妙でしょう。
録音は、フランス録音界で今や重鎮となったLaurent Peyron(ローラン・ペイロン)。OWLの諸作やスティーブ・レイシー(ss)のフランスでの録音はほとんどをこの人が担当している。そういえば1972年のレス・マッキャンの『ライブ・アット・モントルー』ではアシスタント・エンジニアを務めていたから、この人の録音経歴も相当なものだ。
この盤でも非常にいいチューニングのピアノを使って素晴らしい録音に仕上げている。9曲目<ウラ>でのアルド・ロマーノのブラッシュのパースペクティブにルーム・エコーのみのピアノ、タイトなミロスラフ・ビトウスのベースの音像定位を聴けばお分かりになるはず。
ちなみにロマーノのOWL盤『To be Ornette to be』でのフランコ・ダンドレアのピアノの音、パウロ・フレスのトランペットの音などは、いわゆるジャズ録り系の音(それでもヨーロピアン・サウンドだけど)なので、この『Oceans In The Sky』は、ピアノ・トリオの時は「こういう風に録るんだよ」とのペイロン先生のご託宣に感じる次第。ちょっとベースが弱いけど。
さてさて次の2枚はどちらもコンコード盤で、どちらも大スタンダード大会。
長い付き合いになるデビッド・フィンクのベースに、ルイス・ナッシュのドラムス。長い付き合いだから安定感は抜群。どの曲も名演たる素晴らしいプレイの連続だが、『Looking Back』では2曲目の<ザ・デューク>、4曲目<星影のステラ>、カルロス・ジョビンの<ハウ・インセンシティブ><ジンガロ>はいいなぁ。そうそう、ECM盤でも取り上げていたミッシェル・コロンビエーの<エマニエル>なんかも米国コンコードなんだけど、とてもヨーロピアンしている。
『Year's Later』は、トミー・フラナガンの名プレイで知られる<UMMG>、スティーブ・スワローの知られざる名曲<レディーズ・イン・メルセデス>、4曲目の<イン・ア・センチメンタル・ムード>、<グッド・ベイト>に<ソウル・アイズ>だから、これでもか!の選曲。白人のキューンにしては、ちょい黒なムードがタップリだったりするのがこの盤の聞き所かと思う。
さてこの2枚は、名手デビッド・ベイカーが録音を務めている。ベイカーについてはいつか書くときがあるかと思うけれど、昔から聴いていると、好不調の波がある人だと思っている。駄目駄目な盤もあるしね。でもこの2枚は優秀録音。
前者はRPMサウンド・スタジオ(けっこう尖り音楽系録音の多いスタジオだが、広いんですねぇ、ここは)。後者はサウンド・オン・サウンド・スタジオでの収録。どちらもニューヨーク。ベイカーという人は、いわゆるエンスーなオーディオ録音も出来る人でかつ、ジャズのガッツも理解するエンジニアだと思う。中庸といえば中庸だし、日和見といえばそうなんだけれど、いい人なので許しちゃう。今回紹介した盤は、ベイカーの名手ぶりが聴くことが出来るのでお勧めしたい。この人のエコー処理は、現在のエンジニアにも見習って欲しいものだ。ナチュラル・エコー(ピアノの高域を聴いてください)がいいんですねぇ。
そういえば、同時期のジャズシティ盤もあったはずだなぁ(アナログ&CD)どこへいったのやら。

*ジャズ・ファンは今のキューンを嘆く無かれ。彼は軟派系がけっこう好きだとどれかのライナーにも書いてあったし、ハーバード大学のインテリだけに、知的な演奏をやり尽くしてのことだと僕は理解している。違う? あ、そう。
*イバン・リンスの<ジ・アイランド>。うっとりするいい曲です。実はこの曲をジャズ系で集めていたりする。うふふ。Royceと名乗る女性ジャズ歌手が生でこの曲をワシントンDCの『ブルース・アレイ』で歌っているのを聴いて以来です。歌詞が凄いんだなぁ。
*ミッシェル・コロンビエー、知ってます? 年季の入ったフュージョン・ファンの方はご存じのはず。好きですねぇ。なぜかCBS盤をしっかり2枚持ってたりするんですが。そういえばブランフォード・マルサリスのクラシック挑戦盤は確か一ノ関の『Royce』にあるはず。ロイスさん、渡してあるんだからちゃんと聴いてね。


今日はオスカー・ペティフォードを聴きながら

2006年04月10日 | Jazz

Oscar Pettiford (bass, cello)
1922年9月30日米国オクラホマ州オクムルジー生まれ。60年9月8日コペンハーゲンにて死去。ベーシスト、チェリスト。音楽一家に生まれ、家族10人でバンド活動し、米国中西部を中心に活躍。43年にチャーリー・バネット楽団をはじめ、ロイ・エルドリッチ、ディジー・ガレスピーらの楽団を経て1944年には自己のコンボを率いた。またデューク・エリントン楽団へ参加し名声を得ている。50年代に入るとサイドメンを含め多くのセッションに加わり、58年に渡欧し多くのベーシストに影響を与えた。モダン・ベース奏法の確立者の一人。

■OSCAR PETTIFORD INTRO : Hans-Joachim Schmidt氏のHP
http://themenschmidt.de/don.htm
2002年からこのページを作り始めて今も更新中。
正直ベーシストのディスコは作りたくはないけれど、このSchmidt(シュミット)さんは延々と作っておられる。それも精緻を極めておられる。頭が下がります。それも半端無いものなので、ぜひ一見をお勧めします。なお余談だが、ペティフォードの最初のディスコグラフィー本は1991年Coover Gazdar氏によって出版されている。その名も「First Bass. The Oscar Pettiford Discography」。なんとインドでの出版されたものだ。(ちょっと驚き)

  
さて上記のようにビッグ・バンド歴からコンボへと移り変わり、60年に死去するまでに数多くの作品に参加しているオスカー・ペティフォードですが、今日は、『Sessions 1958-60 Jazz Legacy Baden BadenRadio Tapes/Oscar Pettiford』(DELTA)をご紹介しましょう。
この作品は、タイトルにあるように58年から60年(3月20日)にドイツで録音されたもの。前回紹介した盤『Hello Baden-Baden』と同様に非常に面白い演奏が目白押しです。
      
ロルフ・キューン(cl)が素晴らしい音色でプレイする<プア・バタフライ>で始まるこの盤は、この盤のもう一つの特徴でもあるピアノレスによる演奏。和みのクラにウットリしていると、2曲目<バット・ナット・フォーミー>を、な、な、なんとダスコ・ゴイコビッチ(tp)とのデュオ(59年7月15日録音)で演るあたりは、どちらもただ者ではありません。この若き日のダスコ君は、この盤の中では3曲プレイしています。ダスコ・マニアの方は要チェックです。
ゴイコビッチで驚いていると、もう一つの衝撃が。前回の盤ではヘレン・メリルとのデュオでの<イエスタデイズ>が収録されていましたが、今回の盤ではモニカ・ゼタールンド嬢と<サマータイム>を演っております。うーん、これ本当に絶品です。当然ピアノレスで、ラッキー・トンプソンがソプラノ・サックスを吹いています。このソプラノでのオブリガード凄くいいですねぇ。トンプソンのソプラノは肝に銘じておきましょう。トンプソンは、11曲目に同じくソプラノで<ソフィスティケイテッド・レディ>をしんみりと演じて高得点。さてモニカ嬢ですが、第一声の「サーマターーイム」と来た瞬間から説得力ありありです。ストレートに歌い始めて最後はドスを利かせて迫ります。流石です。
その他、ドン・バイアス(ts)参加の<ブルース・イット><インティアナ>はいわゆるテナー・トリオですので、ぜひぜひコルトレーン、ロリンズと比べてください。あのバイアスがこの2人に影響もろ受けのプレイを聴かせます。
もちろんチェロの聴かせどころもこの盤ではしっかり作っておりました。10曲目の<ロウ・アイデア>。ビッグ・コンボでの演奏で、ペティフォードは、ベースとチェロの多重録音でその妙技を聴かせてくれます。なおギターのアッティラ・ゾラーは5曲目<ブルース・イン・ザ・クローセット>で透明感あるギターを弾いていて何気に嬉しくなります。
前回紹介した『Hello Baden-Baden』も今回の盤も、やはりヨアヒム・ベーレント教授の手引きがあるようです。この組合せの妙や選曲の妙はやはりベーレント先生ならでは。

オスカー・ペティフォードの名曲
■<ボヘミア・アフター・ダーク>
http://www.songtrellis.com/picture$3127
■<ブルース・イン・ザ・クローセット>http://digilander.libero.it/marsebass/blues.htm

*上記写真は、シュミットさんのページから。
それにしてもバイオには、彼はインディアンの血が流れているとの記述が。なるほどです。


Chasin' The Vanguard :ヴィレッジ・バンガードの伝説を追え

2006年04月08日 | Jazz

一昨日にやっと購入したこの『コンプリート1961ヴィレッジ・ヴァンガード・レコーディングス』だが、この盤はご存じのように『Live at Village Vanguard』『Impressions』『The Other Village Vanguard Tapes』『Trane's Mode』『from The Original master Tapes』に分散収録されてものに、新たに3曲の未発表を加えてクロノロジカルに収めたボックスセットだ。
   
イラスト仕上げの紙ジャケには、正直ちょっとがっかりしたが、演奏内容はまさに“ノン・ストップ・パワープレイ”の連続。ちょっとアバンギャルドなコルトレーン・バンドがこのボックスセットでやっと体験できる。いずれにしてもエリック・ドルフィーは助演男優賞クラスの力演ということが改めてはっきりしたのは嬉しい限り。
ところが過去の5作品を聴いていた時も、もやもやした感じが付き纏っていたし、今回この作品をすべて聴いてもやっぱりよく分からない(疑問に思う)ことがあった。それはベーシスト絡みで2つ、オウドという楽器について1つある。

このヴァンガードでのセッションにおいてベーシストは、ジミー・ギャリソンとレジー・ワークマンが務めている。実際にそう書かれているし、間違いはない。ジャズ本やライナーノートには「2ベースによる」とか「この曲はギャリソンがプレイしており、こちらの曲ではワークマンが弾いている」とまことしやかに書かれて一般化している。
まずはこのセッションでは本当に2ベースで弾いているのかという単純な疑問である。またジミー・ギャリソンがあたかもすべての曲でベースを弾いているかのような記述したものも過去にはあった。
今回のボックスの英文のライナーには、Discographyというページの下にマイケル・カスクーナがレジー・ワークマンに全トラックを聴かせて、その実態を探っている。これはなかなかの労作と高く評価していい仕事だと思う。各曲別のメンバー表(ベーシスト表)は、僕の聴いた感触とも一致して非常に嬉しい(ワークマンがメインだったと明確に分かるので)。
ますは2ベース問題だが、
Disc Oneの<インディア>が2ベースと表記(Nov.1)
Disc Twoの<インディア>が2ベースと表記(Nov.2)
Disc Fourの<インディア>が2ベースと表記(Nov.3)
Disc Fourの<マイルス・モード>が2ベースと表記(Nov.3)
Disc Fourの<インディア>が2ベースと表記(Nov.5)
以上の5曲で、まさにダブル・ベースとなっているとの記述がある。果たしてそれは本当なの?という単純な疑問である。
Disc Fourの<マイルス・モード>と<インディア>(Nov.3とNov.5)は明らかにベースが2本あるように聴こえる。前者はアルコとピチカートの区別、後者は分かりにくいが2人がともにピチカートで弾いているように聞こえる。
またDisk Oneの<インディア>はこれまた分かりにくいが、やはりアルコとピチカートで2人いるようだ。ポン、ポン、ポンポンと弾いているのがワークマンだと思う。オウドと被るようにアルコで弾いているのがギャリソンで、ドルフィーのソロぐらいのところからピチカートでも弾いているように感じる。どうだろうか?
もっとも分かりにくいのがDisc Twoの<インディア>である。ペペン、ペン、ペンと弾いて聴こえるのがワークマンであるのは分かる。かすかにであるがドルフィーのアルトになったときに、ギャリソンが居るようにも聞こえる。すなわち2人のピチカート・プレイという感じだが、少なくもギャリソンがビンビンに弾いているという風にはどれも聴こえてこない。というわけで、やはり2ベース参加は正しいのだろう。
ジミー・ギャリソンについて言えば、このボックスを聴いている限り、まだコルトレーン・バンドに慣れていないという感触だけが残る。ゆえに慎ましやかに弾いているという感じが大いにするのだ。このボックスでのたくさんあるワークマンという表記(=参加)を見れば、この時期のバンドのメイン・ベーシストはまだワークマンなのである。ギャリソンはまだ新参者にすぎない。
黄金のコルトレーン・カルテットといえばベース奏者はギャリソンという図式が頭から離れていないせいで、しっかりコルトレーン・バンド=ベース・ギャリソンと頭で置き換えてしまっているからだろう。いずれにしても分かりにくい。いずれにしてもレジー・ワークマンのベースは本当に屋台骨を支えていて好ましいほど図太いプレイが堪能できる。ワークマンというベーシストを見直しました。

もう一つの疑問は、昔から思っていたことでもやもやしていた。それはアーメット・アブダル・マリクの“oud”という楽器についてである。
昔々の本やライナーには、これを“吹く”と書かれているものが多い。サックスを吹く、トランペットを吹くの“吹く”である。明らかに間違いであることは、今のリスナーの方ならお分かりのはずである。オウドという楽器は、弦楽器であり、けして吹くものではない。
今回のライナーの中で小川さんがデビッド・ワイルドのライナーを訳しておられるが、7ページ下には、以下の様に記述している。
「ベーシストのアーメッド・アブダル・マリクは、中近東の楽器オウドを吹き、いくつかのヴァージョンが残された<インディア>に独特のドローン効果をもたらした」。
原文の英語では、
Bassist Ahmed Abudul-Malik(略)is heard on the oud, a Middle-Eastern lute which gives a distinctive drone flavor(略)」と書かれている。
リュートなのである。同じ弦楽器のギターを弾く小川さんらしくない翻訳ミスなのだ。しかし単純なミスかというと、上記のようにものの本などには吹くと書かれているものがあるし、現実的に僕も以前はそう思い込んでいた(これも刷り込みですね)。どうも僕らの世代はオウドは吹くと刷り込まれているようです。
というわけで僕なりの解釈だが、ブッシェルのコントラバスーンとオーボエ、ドルフィーのバスクラ、アルトなどリード奏者が目白押しの参加ゆえにこの間違いが出て来たものと推察している。
ちなみに一番分かり易いのは、Disc TwoとDisc Four4曲目の<インディア>の出だし1分までのところではっきり鳴っている音がオウドだ(日が違うので定位がセンターと右というように違うのだが)。シタールと同系の音である。
なおオウドに関しては以下のページを参照してください。
■アラブ古典音楽弦楽器オウド
http://www.musiqageet.com/profile/prof-page/prof-oud.htm

この『ヴィレッジ・ヴァンガード』のライブは、本当に素晴らしい4枚組であり、コルトレーン大好きという僕にとっては、まさにお宝という作品だと確認出来た。これが一番嬉しい。
それにしてもアナログ、CD、今回のボックスと持っていればいいっていう問題じゃ無いんだけど、以前から書いているように刷り込みによる曲順ってのが体に染み渡っているからアナログはやっぱり捨てられない。困ったものだ。

*当時この形でリリースしたら、やっぱり絶対に売れないだろうなぁ。会社の首脳陣(経営陣)もこんなにアグレッシブ&アバンギャルドなコルトレーンを売れないと判断して、すぐに『バラード』などの一連の作品を指示したのは明白だ。あの時代じゃまだ早すぎるんだな、やっぱり。
*ぞうさんのイビキのようなcontrabassoonの音が印象的な本作だが、今回の日本語ライナーには、ブッシェルの楽器はオーボエだけしか表記されていない。残念。
*Disc Twoの<チェイシン・アナザー・トレーン>でのロイ・ヘインズ。スネアでトトトトと入れるオカズと、特徴的なハイハット・ヒッティングが、まさにヘインズですね。それにしてもエルビンの太鼓を使ってこうも音が違うかなぁ。プロは余程のことじゃな限り最低でもシンバルとスネアは自前が原則。まぁ、今回は余程のことなのでしょうけれどね。

番外
「ジョン・コルトレーンは回転木馬の夢を見るか」を知ってますか?
http://www.ymck.net/j/family_music/01.html
<ジャイアント・ステップス>にインスパイヤーされた曲と認識しました。聴いてみてください。いわゆる“コルトレーン・チェンジ”というやつです。


お楽しみ行脚:四谷→お茶の水→秋葉原

2006年04月06日 | Audio

今日は朝から用事があり、四谷に行って参りました。
四谷の『いーぐる』にも行ったのですが残念ながら始業が11時30分だったのでまだ開いておりません。残念。無理に押しかけても後藤さんに睨まれそうだしね(シャッターは半分開いていた)。今日はその後にお茶の水に行く予定でしたので、通例となっている支那そば『こうや』(なんか改装しているのか、辞めたのかわからない状態に。Webで情報収集したら昨年11月に2階で火事があったらしいとのこと)での昼食予定も、たいやきの『わかば』でデザートというお決まりのコースもお預けでございました。

さて、お茶の水と言えば、行くところは決まっておりまして、まずはディスクユニオンでCD探し。
新録も面白そうなのが山のようにありましたが、今日はコルトレーンの『コンプリート1961ビレッジ・バンガード・レコーディングス』とガーランドの『コンプリート・アット・ザ・プレリュード』を購入。予定通りでした。安い!!
  
もちろん中古です。CD時代になって中古で何が良いって盤質を深く考えなくていいというのが本当にありがたいです。余程傷のインフォが書いてあれば別ですが(あるいはブックレットがないなんていうのも駄目ですけど)、それさえなければOK。基本的にCDで傷ってのは、かなり酷い人が使っていたはずで、これは最初からオミットですよね。
今回のコルトレーンは超綺麗な中古でしたのでいい感じです。またガーランドも指紋一つもない盤でした(聴いてない?もったいない)し、まさに言うことなしです(プレリュードには音質を期待してないけど)。
このディスクユニオンなのですけれど、ここのところ行ってなかったので、ちょっと驚きました。いわゆる客層のことなんです。僕らがよく行っていた頃というのは、学生、サラリーマン(30代、40代)中心で女性もちらほらなんていう状況だったんですが、今日行ってビックリ。50代、60代の方々なんですね(もしかすると70代)。今日は時間があったので、1時間ぐらいを費やしてエサ探し&チェックのついでに人間ウォッチもしてしまいました。
そしてなぜか浮かんだ言葉が「余暇の過ごし方」。今回いた人は好きな音楽を聴きながら余暇を過ごすっていう雰囲気をお持ちの方のように僕には感じられたんです。これから買ったディスクをいそいそと持って帰って自宅で楽しむ。当たり前ですけれど。現代の一般的な30代40代サラリーマンは、いま本当に音楽を楽しんでいるのでしょうか? 忙しくてそれどころではないというのが実情の様な気がしています。そう言う意味では、熟年になって趣味もなくて、熟年離婚なんてことになる前に、若いときに好きだったジャズを聴くというような趣味人になるのも良いことではないかなぁと思った次第。でも、こればかりは奥様に無理強いして聴かせるわけにもいかないなぁ(オーディオにお金を注ぐのもなかなか理解してもらえないだろうし)。
というわけで、これからは奥さんを少しずつオルグしていかないと駄目な時代なのかもしれないと・・・。

ディスクユニオンの後は、坂を下って『Refino&Anhelo (レフィーノ&アネーロ)』に行ってきました。
もちろん目の保養が目的ですが、本当はAutograph miniがどんな音で鳴るかを聴きに行ったわけです。先日ここにお邪魔したときは、2階の陳列だなの上に飾ってあり、結線されていなかったので聴けませんでした。
今日は、な、な、なんとタンノイGlenair[グレンエア]の隣に鎮座しているではありませんか! で、正直に言ってグレンエアが大きいのか(個人的にはスタイリッシュでそんなに大きくないと思う)、ミニが小さすぎるのか、遠近法みたいな形で見せられたので、ミニが以前に見たときよりも遙かに小さく見えました(実際に小さいんですけれど)。
グレンエアは、とにかく綺麗なエンクロージャーでした。チェリーの付き板の色がことのほかシックで仕上げが素晴らしい。モンクの付けようがありません。公称能率は95dbとのことですが、やや低めに感じました。面白いようにパワーが入るので、僕にとってこれが驚き。
エージングがあまり進んでいないのか、思ったよりも粗い音(ジャズにはこの感じの方が良い場合がありますが)でした。ボーカルでのサ行が目立ったのでそう思ったのかもしれません。1本50万弱。どうかなぁ? でも鳴らし込んで(慣らし込んで)行くと面白いスピーカーになるのかもしれません。でも強力なパワーアンプが必要な気がします。大きい音を出さなくてもです。このスピーカーをジャズに染め上げてやる!みたいな楽しみ方が間違いなくあるスピーカーですね。エージングの時間も掛かりそうな気がします。
さて、ミニ君です。最初はニアフィールドで聴きました。1mの三角形。あれ?音が小さい。なぜ? あぁ、と思ったのは能率が88dbということのようです。納得。これはパワー食いのスピーカーですね。こっちの方がかなりいいアンプを奢ってあげないといい音しないだろうと思われます。このミニ君はエージングが進んでいないのかもしれません。でも思った以上に音量を上げていってもクリップしないのは、伝統のなせる技なのかも。この状態で聴けるのは、ピアノ・トリオがベストかなぁ。
で、ちょいと離れて試聴。部屋が広いので音が拡散してしまうのだけれど、高域の粗さが消えてこれはかなりいい。音像もミニチュアから4分の3サイズになり、逆に迫力が感じられました。リアのバスレフ効果か、音がなかなか立体的に。ということは、あまり小さいからといってニアフィールドで聴くのは、相当エージングが進んだ先のことで、壁からやや離してポッと音が浮くようにして聴くのがいいかもしれません。
グレンエアを聴いた後なので、やっぱりスケール感は感じられませんけれど、これはこれで成立する世界として楽しいと思いました。
   この位の違いです
ただ一つ残念だったのは、この店の2階で“あの”高級スピーカー群をFMで鳴らしていたこと。ちょっと信じられません。スピーカーが泣きますよ。あれじゃ。かなり変調歪み出ていたなぁ。
店長はB&WのSPをJpopで朗々と鳴らされていました。ボーカルしっとり艶ツヤ。これはかなり素晴らしい。だけどなぁ。[長渕剛]
そうそう、このお店は高級アナログ・ディスクがビッシリ。高級CD(世評で音質最高と呼ばれる盤)もビッシリ。SACDもビッシリ。僕の感覚では、変なところで買うんだったらここで買って試聴させてもらって、家で確認という作業が、自分の耳の訓練になるなぁと思った次第。


ブラインド・フォールド・テストの思い出

2006年04月04日 | Jazz
今日はBGM風に聴こうということで「Smooth Jazz-WJJZ106.1」というページに来ています。
 
iPodの「ラジオ」カテゴリーやWindowsMediaPlayerの「ラジオ」でもこの局のジャズが聴ける訳なんですが、これらではフュージョン系のプログラムしか聴けません。きっとコアのジャズ・ファンからはNGが出るであろうことは間違いなしの内容なのでオミットしました。
しかし、同局のWebページからだと「HD(ハイ・ディフィニション)Digital Radio」というリンクがあってここからだと“4ビート・ジャズ”中心のプログラムを1日中聴いていることが出来ます。
 
BGMでジャズを聴くには、たぶん一番いいところかと思います。ここはCMが全くないというのもとても点数が高いですね。硬派・軟派を含めて選曲はとてもいいと感じました。
さて、実はこの放送では曲名やミュージシャン名がまったく出てきません。ですから思い切りブラインド・フォールド・テストになるんですね。
まさに「貴方のジャズ・ファン度を試される」っていう感じです。え? 私ですか? 9割当てられませんね。ブラインドといえば見富さんを思い出すなぁ。(閑話休題)
で、連想法で吉祥寺の近鉄の裏にあったジャズ喫茶『ファミリー』を思い出しました。この店、もうやっていないんですね。マスターは凄くいい人で、他の吉祥寺3人衆みたいに曲者じゃなくって(うーん、誰って書いてないからね)とてもナチュラルな人柄でした。そうそう、あそこのママ(お母様)も本当に優しかったなぁ。僕は常連というところまでには至らなかったけど、JBL D-130 + LE175DLHで鳴らしていた『ファミリー』へ行くと優しさで包まれて、ホッとする場所でした。きっと、このご母堂がいたからかもしれません。
実は1999年4月21日に亡くなられたいソノてルヲさん(68歳)を思い出したのです。いソノ先生は、ここ『ファミリー』で月1回ぐらいの定例レコード・コンサートをされていました。よくお邪魔したものです。そこでのいソノさんは、必ずレコード・コンサートの最後にブラインド・フォールド・テストをしてくれました。結構難しかったなぁ。
例えばブルーノートのスリー・サウンズをかけていて、「ハイ、スリー・サウンズですね。では、メンバーを全員当ててください!」という具合でしたから、結構難しい(フル・ネームで答えないと駄目だったなぁ、これが)。でも来ているお客のレベルを見て、ちゃんと易しい問題も出してくれるというのは、いソノさんらしくて、とても嬉しい配慮でした。そう言えばいソノさんからは、いろいろ貰いました。レコードも貰ったし、コンサート・チケットも貰った記憶があります。そういえばいソノさんがオーナーだった『5スポット』でビル・エバンスに会った話はまた改めて書くつもりです。
いずれにしても、自分のレベルを計るのはブラインド・フォールド・テストが一番だな、というのをヒシと感じた次第。

ミラー嬢、そのご衣装は? ハイ、これはテイラー・メイドですけど・・・

2006年04月03日 | Jazz

とっても唐突なんですが、
Maci Miller Official Web Siteをご紹介します。
http://www.macimiller.com/index.php
 
うーん、なんて言うのかな、そのボーカルはどう聴いても学芸会レベルって感じなんですけれど、ご覧の通り「美形」です。「ナイス・バディ」です。何を探していて彼女のページを見つけたのかもう忘れました。そんなことはどうでもいいわけです。美人ですから。
左薬指に指輪をしっかりしてますので独身ではなさそうです。まぁ叶姉妹って感じのお姉ぇさまボーカリストですので取り敢えずクリックしてしまいました。
彼女のWeb Siteの作りがとても綺麗なので思わず紹介なんちゃって。男性諸氏にはPhotoLoungeVideoページ(全6曲)をご堪能いただくとしましょう。
また本格的に彼女の歌を聴いてみたいという方は、Jukeboxをチェックしていただきたいと思います。
「いいじゃないか!」という方にはBoutiqueをご覧頂き、ご購入をお勧めします。直接ここで買うと2ドルばかり安いですから。
*ちなみに彼女の名前なんですが、カタカナ表記はどうなるんでしょう?
「マチ・ミラー」ですかねぇ。あの合唱団やクワイ河マーチで知られるミッチ・ミラー(Mitch Miller)とはどうも関係なさそうです。(バイオ読んでもわからん)
*彼女のページではCDBaby http://www.CDBaby.comというCD購入サイトを紹介しているんですが、これが大笑いです。サーチでMiles DavisやJohn Coltraneって入れて探してみてください。こんな分けの分からないCD購入サイトは初めて!!

 
さて今日の本命は、米国の評論家(Web&Video請負人として近年は知られていて、ジョー・ロバーノのHPも監修している)のBred Primackが制作監修したピアニストのビリー・テイラーのの「Billy Taylor: American Hero」と題された一篇のビデオ作品をご紹介いたします。
(Quicktimeですのでよろしく願いますね)
“貴重な写真、動画(footage)で綴るビリー・テイラー”といった趣のもので、約30分。パーカッション奏者キャンディドのカラー写真(!)やスタン・ゲッツの若き日の動画、ご存じチャーリー・パーカーの動画(これしかないのです)、エリントン・ソングを演るビッグ・バンド(バジル・ジョーンズ、カーティス・フラーetc.が居ますねぇ)、若き日のビリー・テイラーの動画(流石にドクターでラグタイムの講義:山下洋輔はこれを見た?!)など、見所が満載です。それにしてもジョン・ファディスが太ってディジー・ガレスピーにそっくりになっているのは驚きました。白眉はエリントン、ウィリー・ザ・ライオン・スミス、テイラーの3連弾で演奏される<パーディド>は圧倒的に楽しい1曲。いずれにしても楽しめます。
「ビリー・テイラーの弾く1音、1音に意味があるんだ」というファディスの言葉がとても印象的でした。
 ・フェイバリット・アルバム

■Billy Taylor Jazz HP
http://www.billytaylorjazz.com/
かなり良く出来たサイトです。ジャズ・ファンのお楽しみが満載。1時間以上は楽しめます
■Planet Bret HP
http://www.planetbret.com/index.htm
デニー・ザイトリン、ジョー・ロバーノらのWebVideoなども制作。ザイトリンは懐かしい人多いのでは
  
  名調子冴え渡るテイラー             プリマックのHPもシンプル・ビューティー


追憶のジャッキー・マクリーン

2006年04月02日 | Jazz

昨日、アルトの名手ジャッキー・マクリーン逝去との報を受け取った。
うーん、残念。ゴリゴリのバッパーがどんどん居なくなる。しょうがないことだけれど、本当に残念なことだ。
人間生きている限り、死はいつも隣にあるものだけれど、僕には親戚のおじさんが亡くなった様な気がしてしまうのはなぜなんだろう。
そんなマクリーンを追悼して今日はチャールス・ミンガス『直立猿人』の<ジャッキーの肖像>からしんみりと・・・。
  
そういえばこの盤は吉祥寺の『ファンキー』でも嫌と言うほど聴かされました。そう紫煙煙るマッキン・ルームでね。今聴いてもやっぱりかなり“フリー・ジャズ”だと思うんですけど、この盤は。これって時代錯誤でしょうかね? 1956年吹込みのこの盤を最初に聴いた人って、この演奏をどうゆう風にジャッジをしたんだろう? そんなことを思いながらこの盤をまた聴きました。
 
マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』、それに『カフェ・ボヘミアのジョージ・ウォーリントン』もマクリーンが参加した名盤で、これまたジャズ喫茶ではめちゃくちゃかけられた盤としての思い出があります。これらの盤をかけられると“またかよ~”って独りごちていたのがつい最近の様でとても懐かしいです。
それにしても<レフト・アローン>はいいですね。まさに名曲です。でも、今日はやっぱりしんみりしちゃうなぁ、これを聴くと・・・。
 
『ボヘミア』も終曲の<ボヘミア・アフター・ダーク>を最後に持ってくるのは旨い作り。名曲だものね。この曲の終わりにクロージング・テーマがちょっとだけ流れるんですれど、これマクリーンの<ザ・ペック>ですね。おお、アイラ・ギトラー先生もライナーに書いているな。この盤は熱気ムンムンのハードバッパー、ジャッキー・マクリーンと若きポール・チェンバースの素晴らしいプレイから生まれた名盤です。本当に熱い演奏です。おっと、うちのはジャケ写違いですね。まぁ、いいか。
 
さて若き日の僕の吉祥寺ジャズ喫茶通い歴で、一番聴かされた盤を紹介します。
スティープルチェイスの『ライブ・アット・モンマルトル』。マクリーンの盤です。今でこそスティープルチェイスというのは、盤の数も恐ろしいレーベルですけれど、これはこのレーベルの記念すべき第1作でした。懐かしいです、とっても。今回載せているのはCDのジャケ写。これはオリジナル・アナログも持っています。ペナペナの盤です。新興レーベルの最初のリリース盤ということですから、当然ですけれど。それにしてもケニー・ドリューのライナーノートがタイプ打ちですから、手作り感ありありで、ニルス・ウィンターの執念みたいなものがこの盤から立ち上っているようで、なぜか手放せません。

それにしてもCDの音はちょっと整いすぎているような気がする。あのアナログの熱気がなくなっちゃってますね。凄い綺麗な音になっているんですね。残念だなぁ。
*1976年3月末にケニー・ドリュー・トリオと来日、翌年77年にアート・ファーマーと双頭バンドで来日。この2つのライブを見に行きました。


Waltzing Is Hip:オスカー・ピーターソンが教えてくれる3拍子の極致

2006年04月01日 | Jazz
3月31日付の『Royce』さんのページに「ジャズ・イン・パリ」のジャケットが。このシリーズは何枚か出ていてなかなか渋いリリースだったと記憶しています。ステファン・グラッペリやピーターソンの盤もあったなぁ、と思いながら今、ヴァーブ・レーベルの『ロンドン・ハウスのオスカー・ピーターソン』(2枚を1枚にしたCD)を聴いているところ。2曲目の<アイ・リメンバー・クリフォード>は、レイ・ブラウンのベースが絶品です。でも倍テンになるとベースが後ノリで弾くというのはちょっと僕には面白くないですけれども。
さてオスカー・ピーターソンというのは、どうもコアなジャズ・ファンにはあまり評価されていません。残念ではありますが・・・。「弾きすぎて五月蠅い」だの「シャリコマだよ」とか酷評されるわけです。まぁ、一理はあります。僕もピーターソンがグイグイと弾き込むのを聴いていると正直辛いです。ましてやこの盤では77分27秒もありますしね。ましてや大音量でこれを聴き続けるというのは・・・。でも今日は土曜だからちょっと“BGM”という感じで聴くにはけっこう楽しかったりします。今日はそんな感じでピーターソンです。土曜の気怠い午後には、ピーターソンの弾くバラード<アイ・リメンバー・クリフォード>や<オールド・フォークス>では自然にボリュームも大きめに。
さて、ピーターソンと私というのが今日のお題なら『The Way I really Play』(MPS)が僕のフェイバリットです。大好きな盤です。それも正直言えば1曲目だけなんですけども。まぁ何度聴いたか分からないくらいに聴いています。
  
そう1曲目の<ワルツィング・イズ・ヒップ>なんですね。やっぱり。フル・コンサート・グラウンドのピアノをあのようにガーンっていう感じに弾かれると、凄さを超えて爽快ささえ感じられて結構好きなんです。ピアノ君が「私が悪かった、許してください」って言っている様な凄い弾き方。ベースはサム・ジョーンズに、ドラムはボビー・ダーハム。60年代末の定番トリオなんですが、この1曲ではサムもボビーもまったく関係なし。もう本当の「“怒濤”のピアノ」なわけです。
あの太い指でピーターソンが弾くピアノがとても可哀想に思えるくらいのダイナミズムがこの曲には込められています。
フル・レンジで鳴るピアノの録音というのは、ダイナミックレンジとかそういう次元では捉えられなくて、当時のハイエンドテープやレコーダーでさえも間違いなくクリップしてしまいます。で、普通はノイズゲートやコンプレッサーやリミッターをいれて、平板な音にしちゃうんですが、この盤ではピアノ録音の限界に挑戦しているわけです。それを可能にしたのは、これが自宅録音(プライベートスタジオとの表記が多いのですが・・・)だったからということになるかと思うわけです。ケーブルの引き回しが短いというのは、やはり最大のメリットだったのではないでしょうか(接点数が極端に少ないですし)。
さて、このMPSレーベルを作ったハンス・ゲオルグ・ブルナーシュアーは、当時西ドイツの大手電機メーカーSABA社の重役さんでした(オーディオマニアには、スピーカーや真空管、そしてsabaレーベルでもお馴染みかと思います)。もちろん録音エンジニアでもあった人なんですが三度の飯よりピアノが大好きという人でもありました。
こんなバックグラウンドもあって、録音に使った機材(マイク)も最高、ピアノも最高(ハンブルグ・スタインウェイかなぁ。非常にいいチューンがなされていますね)、これを録った部屋も最高(上記)、エンジニアも最高(上記)、ピーターソンもすごく歓待を受けて上機嫌となれば、好演奏かつ好録音になる、というわけです。
粒立ちが良く、やや硬質で抜けの良いピアノ。興が乗るとつい出てしまううなり声もとってもリアルで、ペダルの動きも鮮明です。定位的には、いわゆるお化けピアノですが、気持ちが良い優秀録音なので、許しちゃいます。ルーム・ボリュームもしっかり感じられる録音というのも、素晴らしいものです(マイク数はかなり少ないように思います)。
それにしても、僕の手持ちは、日本コロムビアのダブルジャケットのアナログ。それも相当古いものです。その後何度もCD化がなされていますが、なぜか今まで買いそびれている1枚なんです。

*ブルーノートやプレスティッジのバンゲルダーじゃないけれど、ハンスさんがリマスタリングをやり直してくれないかなぁ。無理だろうなぁ。(注:SACDが出てますね:リマスターが誰かは分かりません。ご教示くださいませ)
*CD化で凄い音になってますというインフォメーションがあれば、お教えください。
*しかしMPSとレーベル契約する前のレーベルはヴァーブ。エンジニア、バル・バレンティンさんも形無しだったろうなぁ。
*最近見直したのは、パブロの音(レコード)結構凄い音している。Thanks Royce


参考HP
●曲真会館:The Way I Really Play
http://kyokusin.cocolog-nifty.com/kaikan/2005/08/waltzing_is_hip.html
CDのPLAYボタン押して5秒間の勝負。そして、最初のインパクトが最後まで持続するような曲。そういう曲を聴いて、はじめて初心者は納得する。