はてさて、3月某日、ダイナミックオーディオ5555の2階で密かに繰り広げられたスピーカー選びの謀議の内容をお伝えしましょう。
このお店は午前11時にオープン。当日ちょっとした予定が入っていたので、どうにか11時に滑り込みセーフという感じで到着いたしました。すでに2階奥には、今回試聴させていただくスピーカー君たちが、ズラリと顔を揃えています。壮観です。
「アンプ類は30分前から、ウォーミング・アップさせておきました」と田中さん、流石に一流店です。芸が細かい。SPの置き方も田中さんがしっかり考えて置いていてくれたようです。
SPケーブルは、コンダクトの上田さんが取り扱っているノードスト社のFlatline Gold Mark IIが使われていました。あれ?田中さん僕の好み分かっているじゃないですか、え? いつもコレなの、あ、そう。というわけ(爆)。うーむ。
アンプ及びプレイヤーは、「プリメインで、凄くないヤツを設置しておいてください」とお願いしてありましたので、田中さんは気を利かせてくれたのか、DenonのプリメインアンプのPMA-CX3とCDプレーヤーのDCD-CX3をペアにしてセッティングしてくれていました。世評通りのなかなか憎いチョイスです。そうそう、アンプ以上にこのCDPが素晴らしいです。小さい個体なのに7kgもあって、デジタル系とアナログ系が別立ての2トランス構成の電源部というのに痺れます。アンプの方ですが、ボリュームの触り心地が最高です。セカンド・システムには、躊躇無くこれですね。まぁ、今回は購入しませんですが(大爆)。
さて、舞台は揃いました。まずは、全スピーカーを1曲ずつ鳴らして(馴らして)行きました。試聴盤は、ブルーノート盤『スターダスト/ビル・チャーラップ』。この3曲目<ロッキン・チェアー>。フランク・ウエスのテナーが弱々しく聴こえたら、そのスピーカーは、駄目駄目。そしてリーダーなのにサイドマン的にピアノが聴こえたら駄目、駄目。というこちらの勝手な判断基準です。変ですか? 変ですよねぇ。
まずはウィーンアコースティクT3Gから。すっくと摩天楼のように立ち上がるその容姿は、流石に一目惚れしてしまうだけのことはあります。しかし一聴して「??」となりました。そうなんです。T3Gユーザーの方から使いこなしが大変だよと聞いておりました。一言で言ってしまえば「低音しか聴こえない」。それも「モワモワ」系。まさに「え~っ!なに?」って感じです。試聴を1ラウンドさせた後に、ケーブルの接続を見るとスピーカー側への取付けがいわゆる「襷掛け」にしてありました。ほとんどのスピーカーで成功するこの襷掛け接続なのですが、残念ながらT3Gには、全く不向き。プラス、マイナスともに高域側へ接続するのが正しいので、2ラウンド目にはこれで試聴、とても良くはなりましたが・・・・。
次は、エラックFS210Aです。小さい。可愛い。そして綺麗なフィニッシュ。なんていうのでしょうか、「スリスリ」したくなります。現にしっかり触って来ちゃいましたけれど。期待は高域。やっぱりこのツィーターがどう鳴るかが勝負。で、聴いたのですが、これが端正で音離れのいい鳴り方なんです。本当に過不足のない鳴り方というのが字義通りになってます。美音系なのでしょう。でもジャズのスケール感、楽器の大きさが出ないのです。別にドシンバシンと鳴りなさいと言っていないのですが、やはりちんまり鳴るんです。
次は、この試聴前から何度か聴いているモニターオーディオGS60。フェアの時も音離れが良くて、ミュージック・ラバー(音楽愛好者)には、絶対にいいなぁと思っていたスピーカーです。ところが、どうもちぐはぐな音がして低域から高域へと滑らかに繋がって聴こえない。ましてや音にスピードがないのです。実は、このスピーカーも「襷掛け」接続をしていました。2ラウンド目にはこれも高域側へ繋いで、超スムーズな音の出方となりました。そう、この音ですよ、これ。音場も超広いです。音の粒もいきなり微粒子になりましたし。
次はダリのメントール6。ヘリコンを見慣れているせいなのかとても可愛い。このスピーカーは、IKONとヘリコンのいいとこ取りをしたような音で、なかなか説得力の有る音です。ジャズもクラシックも最大級にエンジョイ出来るスピーカーかもしれません。このスピーカー最大の利点は、ベースの出方がとてもいいんです。弾力のあるベース・ラインが実に美音。弾む低域、ピアノのスケールもこのサイズとは思えないものでした。どうもデンオンのアンプと相性が一番良い感じでありました。
というわけで、1ラウンドした後、2ラウンド目は、3361ブラック・レーベルの『パリ1256/チェロ・アコースティック』。ワン・ポイント録音による超美音・超奥行き定位のCDで試聴です。
この試聴によって、4台から2台へ絞り込むことができました(うわー、はしょったなぁ)。残ったのは、GS60とメントール6となりました。T3Gは、上記のように高域接続で、相当よく鳴るようにはなりましたが、こりゃうちのエアーボリュームでは、鳴らせませんです。またエラックFS210Aは、いかんせんスケールが出ません。ベースが薄いのは許せる範囲でしたが、ピアノにスケールを感じさせません。ガツンと弾いているピアノはガツンと鳴って欲しいのです。
というわけで、GS60とメントール6が最終選考に。
そして隠し球である5555の5階にあった『とあるスピーカー』が誤解されるのを覚悟でここに登場してきます。
というわけで、今日はここまで。次回で最終回にしたいと思います。
長いよなぁ。ちょっと反省モード。
FS210Aは案外クラシックの小ホール的なスピーカーです。箱庭的美音と音場感、音楽的表現が身上。モニターオーディオは特に文句なし。良いスピーカーです。傾向としては現代的で音楽の彫りが浅め。
DALIは個人的にスリムなロイヤルタワーがベストバランスであると思っています。デノンは自社の試聴会(こないだ行ってきた)でもヘリコンを使っていますので相性は比較的良いのではと思います。
さて、T-3Gの復権(?)の為に私も申しますと、あれを良い形で馴らしてやるためにどうしてもリスニング・ルームが大きくないと。あと、端子の取付であれだけ変わるのですから、氏素性はとてもいいかと。いずれにしても12畳はないとあの低音は楽しめません。
モニオさんは、かなりいいと思います。
ダリちゃんは、音楽がなかなかしっかり弾んで、音楽が聴こえて来るSPでした。
というわけで、最終はもう少し待ってください。
実は自分もクラ専用SP構想の中で、T3Gが第2候補なんです。
明日、秋葉原行くんで視聴に行こうと思ってたところです。
12畳必要ですか・・・
うちは10畳だしな~・・・
10畳なら。アンプによるかも。クレルにジェフなら心配無用。低音に筋金が入りますから。へへ。
T3Gのすっくと立つ、御姿が最高に凛々しいです。
高さが相当ありますから、試聴位置は重要でしょうね。(PS 立って聴くと凄いんですよ。音場が)
当日は、高域がマスキングされていました。
何故なんだろう。たぶんですが、試聴機なので、ツィーターやミッドのネジが緩かったからなのかもしれませんが。本当は床からのカブリだったと思います。そんな感じの音でした。