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瓢箪から駒が出るか?:Benchmark DAC1を試聴する

2007年05月21日 | Audio
成田邸での試聴の際に、敢えて動かしていない機器の一つにBenchmarkのDAコンバーターであるDAC1があった。「思うような音がしない」とのご託宣であった。そりゃ、もったいないなぁ、と言うことでお借りすることに。
このDAC1は、2チャンネル、24ビット、192kHz対応のDAコンバーターである。DAC1は192KHz対応で、数値上は52kHzまでのアナログ帯域再生を可能にしていると、Webには書いてある。
その日、持ち帰ってすぐに自宅でセッティング。
CDP→平方謹製デジタルケーブル(RCA-BNC)→DAC1→オーグライン(RCA-RCA)→SD05→Across2000+カブトン線(クロスWire接続)→Acustik-lab OPUS
これって実際は、SD05のアナログ入力へ入れているわけですけれど、ダブルDAC接続って感じですねぇ。(^^ゞ
成田さんが言う「思うような音」にならないというのは、一聴して分かった。
クリアで解像度も物凄くあり、かつスピード感がてんこ盛りの音なのだ。聴き方(書き方)を換えてみると、耳が痛いサウンドなのかもしれない。
DAC1の音はまさにヴェールを一枚はいだようなという音が確かにする。余りに情報量が多くて鮮烈な音がするので、いわゆる耳が付いて来ないという現象が起こる。たぶんこれを言っていたのだなぁ、と勝手に推察してみた。高域の輪郭がかなり強調されて聴こえるのでCDによってはかなりキツく感じる。実際にマンハッタン・ジャズ・クインテットの新作は、あまりの五月蠅さに思わず、CDから引きずり出したくらいである。
ただし低域の質感は、このDACは期待度大で、最低域の不足もなく、かなり引き締まった高解像度の低域であり、中高域の癖(なのか?)を取ってあげれば、絶対に鳴るぞ、との確信みたいなものを最初の試聴で聴き取ることが出来た。
実は、けっこうあっけなく良い結果も出た。まずデジタルケーブルをケンブリッジオーディオのものに変更。これだけでも中高域の癖みたいなものが取れた。これにより音場の広がりが明確になり、柔らかい音が出た。しかし、当初から定位が平板であり、各楽器がフロントに一直線に並んで音が出るという感じは、この処置だけでは駄目だった。そうなのだ、写真にあるように足にカーボンブロックを敷いて(3点支持は、駄目でした)、その上に重しとして「花瓶」を載せたのである。
これだけで、いきなり音場感、特に奥行き表現が向上してしまった。これをやっている僕自身も驚いたが、愚妻が「とってもいい音になったじゃないの。最初とは別物の音ね」との発言もあり、こちとらもビックリ。これを「花瓶のプラシーボ効果」と命名。うそうそ。
しかし、音源の持つダイレクト感はやや薄れたものの、この「音」は捨てがたい。もし僕がSD05を持っていなかったら、このDACはプライオリティが高いなぁ。デジタル出力のあるCDPをお持ちでアナログ・アンプをお持ちの方こそ、このDACを聴いてみる価値は大いにあると感じた。DACで音が変わって額から汗がダックダックという落ちで許してください・・・・。
PS
たぶんこのDAC1はプロ用(スタジオ用)ということもあって、かのマスタリング・エンジニアのダグ・サックスもしっかり導入しているとのことだ(映像音源作成と聞いているけれど)。今回のものは、ラックマウント仕様ではないものなので、どうしても「置く」という形になる。この「ラックマウントで固定する」というのが、鍵なような気がしている。つまり振動させないで使うのがこの機器を最も最上に使うノウハウだと思った。
少し長くお借り出来るとのことなので、アンプのマランツ君にも繋いで聴いてみよう。