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犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

引き

2019年08月26日 | よみものみもの
たまにしか小説を読まないわりには、こういう引きが多いと感じている。
まあ、当たりの時には強く感じて、当たっていない時には気にかけないものだから、
当たることが多いと感じるものかもしれない。
それを割り引いて勘定できているかどうか分からないが。

8月23日(金)に図書館で借りて、しばしほったらかし、
25日(日)に読み始め、26日(月)に読み終えた。

物語の始まりの日付は、8月12日(火)だという。
これはいい。
警察ものだ。
作中の人物たちが捜査に動き回る、
その夏の空気感を、リアルに感じられる。
想像力すら必要としない。
今、現に重苦しい暑さに包まれながら読むのだから。

作品のラストシーンは27日だが、これは事件解決後であり、
捜査のフィナーレは26日だ。
まるで、今起きているかのような気分で読める。



久しぶりにミステリーを読んだ。
前に読んだのは春で、そのとき図書館でたまたま手に取って借りた作品は
やはり春、こぶしの咲く、しかも地元深大寺が舞台であった。

こういう引きが楽しい。
ただの偶然だと言えば言ってしまえるが、
引きだと思えば引きの力を高められる。

ぼんやりしないこと。しかし意識しないこと。



誉田哲也作『ストロベリー・ナイト』(2006)の文庫版(2008)を読んだ。

有隣堂の梅原氏が、解説の中で「自分なりのキャスティング」を
勝手にしているのが面白い。
わかるわかる。やりたくなるよね。

そのうちのいくつかだけ挙げると、
姫川:松嶋菜々子
菊田:坂口憲二
大塚/北見:妻夫木聡/オダギリジョー
勝俣:青木義朗
などなど。

納得したり、同意したり、いやそこは××さんだろうと思ったり。
なんせ想像するだけなんだから、無責任に遊べる。



なぜこの本を手に取ったかというと、
この春、テレビドラマで『ストロベリー・ナイト・サーガ』というのを
観ていたのだ。

サーガってなんじゃ。
伝説、歴史ってとこか。

弱冠27歳にして警視庁捜査一課主任になった主人公、姫川玲子。
殺人犯の気持ちに"同調"してひらめき、捜査が進展する、
というのが物語の軸になっている。

この春のテレビドラマではその姫川を二階堂ふみさんが演じた。
私はテレビドラマを見慣れないので、
演出がそうしたのか、俳優さんの特性なのか、分からないのだが、
非常に抑制の利いた表現で、そこがまたたまらなく良かった。



シリーズ第4作の『インビジブル・レイン』の中で、
姫川は被疑者である"不動産屋"と名乗る暴力団幹部と接触する。
男は、姫川の中にある殺人者と共通する感覚を敏感に察知する。
そうして二人は惹かれ合う。

ある日、男は車で姫川を誘い出す。
そして唇を奪う。
姫川は最初は抵抗していたが、ある瞬間から受け入れる。
しかし、携帯電話が鳴って中断される。

ここんとこの演技と演出が良くって、私は3回も観た。あほか

ただ、これは賛否両論有るのだろうな、とは思う。



その後、同じ『インビジブル・レイン』がずっと前に映画化されていたことを知る。
姫川役主演は竹内結子さんだ。

姫川は警察組織という男の縦社会の中で、
自分の意見しかも勘としか見なされない"殺人者との同調"を根拠に
主張する。

その表現が、抑制的な二階堂版とまったく違う。
竹内さんは、ぎゃんぎゃん喚くように主張する。
まあ、そのほうが小娘っぽさが出る。

そして、件の暴力団の男とのシーンは、
車の中で関係を持つところまで至る。

演出によってこうも違うものか。
二人の関係がまるで違うではないか。
原作はどうなっているのか。



と思っていたところ、図書館で背表紙がふと視界に入ったのだ。

だったら『インビジブル・レイン』だけ読みゃあ解決するのだが、
姫川というやつの性格を知るにはシリーズ一作目から読まねばならないだろう、
と考えたのだ。
残虐な殺人シーンなんか読むのは好きではないのに。やれやれ

しかたないからシリーズ2作目も読む、のかな。忘れた頃に。そうまでするか?

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