犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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20年古酒

2022年12月29日 | たべもののみもの
年末に宴会が集中する。

私のような者にもお誘いが来る。
一つも断らないもんね。
胃腸肝臓の能うる限り。



お招きにあずかった。

友人Dの最初の子が生まれて、次の正月にお招きにあずかったのは、
もう19年も前のことになる。

その頃に、私はお祝いに酒を買った。
保存して熟成させて、子どもが成人した時に一緒に楽しもう、
という趣向である。

沖縄では、赤ん坊が生まれると、泡盛の甕を海に沈めると言う。
どうやって目印するのだろう。
その子が大人になったら引き揚げて飲むのだとか。

この年末、また友人Dのお招きにあずかった。
やっと、件の酒を持参した。

箱に入っているのを、一度も(たぶん)開いていない。
どんな様子か、見ていない。

焼酎じゃなくて日本酒なんだね、飴色なのかなあ
とかなんとか、みんなでああだこうだ言いながら開いてみて、
びっくりした。

そうか、中国の老酒もこんな色だ。
「コーラみたい」
と、全員が思ったけど言わないでいたことを誰かが言って笑い合った。

スクリューキャップを開け、コルク栓を抜き、
香りを嗅いだ。
甘くて濃い。

グラスに注ぐと、とろりと滑らかである。
香りがさらに濃く立ちあがる。

味は実に本当に見事にまろやかであった。
20年。

人間にとっても、20年は長い。
赤ん坊を囲んでいた家族の状況はずいぶん変化した。
父親との関係は決裂している。
それでも彼は生き延びた。
自分を責めても生きてきた。

この酒を、祝いの酒として開けることができて、
本当に嬉しい。



ペットボトルに入れて、少し分けてもらった。

やばい。
コーラではないと言いきれないくらいコーラらしい。
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