犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

慰める犬

2023年02月25日 | 犬と暮らす
毎朝、近所のドッグランに行っている。

我が犬ウーゴくんは、わりと臆病な犬である。
こういう犬は、毎日の習慣を変えたがらない。
散歩も、決まったコースを決まった方向に周る。



2年あまり前に保護団体から引き取って最初の数日は、
排便しなかった。

ウンチしたいわけではないので、
道端を嗅いで嗅いで嗅いでいるのだが、
排便体勢に入らない。

行ったり来たり行ったり来たり。
ちょっと気に入った場所なのだろう。
行ったり来たりすることはするのだけど、
何度も何度も往復した末、排便体勢に入らずに去る。

三日目にようやく脱糞とあいなった次第である。



ドッグランには、誰も来ない時間帯に何日も通った。
誰も来ないうちに帰った。

そして、何日目か忘れてしまったが、
後から犬を2頭連れた人がやって来た。
この2頭が穏やかで、良かった。

何度目かに会った時に、やっとウーゴは撫でてもらうことができた。



そうしていつしか、
朝ドッグランでウンチする、という習慣になった。

夕方の散歩は落ち着かないので、排便などできない。



ドッグランに着くと、丹念に丹念にフェンス際を嗅いで周る。
とにかく一周嗅ぐ。
そして、ある一ヶ所を選んで、排便する。

ウンチが出て軽くなると、ダーッと走る。
一人で走る。
2、3回走ると、満足するようだった。



そのうち、犬の友達もできた。
駆けっこもできるようになった。

しかしある時、オヤツの利権をめぐって、
そのお友達犬にドヤされた。

そうしたらウーゴはもう怖くなってしまった。
他の犬と一緒に走ることはしなくなってしまった。



引き取ったのが4歳過ぎで、
今はもう6歳半だ。
そろそろあんまり遊ばなくなる年齢ではある。

走ったりはしゃいだり犬相撲を取ったりする姿は
見ていてかわいらしく思うので、まだまだ遊んで欲しいものだが。
成犬を引き取ったのだから、そこは半ばあきらめてはいた。

ところが、ここ最近1ヶ月くらいのことだが、
たまに他の犬と走ることが有るようになった。

前足を上げて組み合ったり、
あちこちに咬み付いてみたり、
端から端まで走ってみたり。

「ウーゴくんがこんな動くの初めて見た」と言われる。



犬たちの主な遊びは、お相撲と駆けっこである。
私は犬相撲と呼んでいるけれど、正確に言うと相撲ではないと思う。
土が付くことは特に負けでもないからだ。

まあとにかく楽しそうに、飽きずに
組んづ解れつやっている。

追い駆けっこして、追い付けば食らい付く。
追われるほうは、後ろを振り返りながら走る。
人間はよく「前を見て!」と叫んでいる。
そんなことを言われて前を見る犬などいない。



油断した。
立っていたら、犬のかたまりが激突してきた。

ほぼ正面から、左の膝にぶつかってきた。
「ドガッ!」と音がした。

ぐあっ!と叫んで、それから声も出ないくらい痛い。
後ろを振り返りながら先頭を走っていた犬の飼い主さんが
「大丈夫?」といたわって私の背に手をかけてくれるが、
その手が苦しいくらい、膝が痛い。
膝が逆に曲がってるんじゃないかと思うくらいだ。

私は鍼灸師で、特に脚の痛みを治めるのは得意という意識が有る。
自分の手ですぐに治す。
呻きながら屈み込んで、左膝周辺を触る。

周りの他の飼い主さんが、
「ウーゴくんが心配してくれてる。」と言う。
見ると、屈み込んだ私の目の前にウーゴが来てオスワリして、
私の顔を覗き込んでいる。
私が気付いて顔を上げると、顔を寄せて、ペロリと舐めてくれた。

おや。やさしいじゃないか。
「いいとこあるな。」



まあ、私が大声を上げるのを初めて聞いて驚いて、
なだめようとしているのかもしれない。



思い出す。
こういう、寄り添う行動は、犬によって違う。

子どもの頃、初めて飼った犬は、
私が転んで泣いていたりすると、そばに寄って来て舐めてくれた。

20代前半に飼っていた犬は、
私が何かツラいことが有って泣いていると、
そっとそばに来てくっ付いて座った。

30代後半から飼った犬は、そんな行動は無かった。
内弁慶で喧嘩上等の雌犬と、彼女に踏みつけにされている雄犬のきょうだいだったが、
どちらの犬も、私を慰めるような行動は無かった。

だから、犬のこういう行動のことを私は忘れていた。
久々に犬に慰められた。
ウーゴはやさしかった。



今日も風が強かった。
ウーゴは落ち着かず、鼻を鳴らす。
私は自分のやらねばならない事も中断して、
犬のそばに付いてやる。
そうするとウーゴはとりあえず安心したように、横になる。

ちょっと世話の焼ける犬だと思っていたけれど、
こちらの苦しい時にあんな行動を見せられたら、
「お互い様」という気にもなる。

実に犬は群れのいきものなのだと
あらためて思う。
だからこそ、太古の昔から人間と一緒に暮らしてきたのだろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ストーブファンを買った | トップ | 畳みかける伏線回収~ブラッ... »

コメントを投稿

犬と暮らす」カテゴリの最新記事