犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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プレバト俳句での犬山紙子

2022年07月27日 | よみものみもの
7、8年前に、友人Gが奨めてくれて、テレビ番組の「プレバト!!」を観るようになった。

名物先生による俳句の指導が面白い。
駄句は駄句であると、歯に衣を着せぬ講評が痛快である。

まずほめどころを見付けてほめる。
それから、改善すべき所を指摘する。
この手順は、作品を評価する時のみならず、
ひとさまの為すことについて意見する際には
共通の手順と言える。
いきなりクサしちゃ、何も伝わらないんである。

この手順を逆手に取って、面白く見せている。
ほめているようなのに、よくよく聞いていると
ずいぶんツッコミが入って、点数は低い。
先生の口調も前半と後半でガラリと変わる。
なんてのが、共演者のフジモン曰く「バラエティをよく理解してらっしゃる」
ということになる。



一方で、
「こんなもん直すだけ時間の無駄」など、
箸にも棒にも掛からない作品も、たまに有る。

そういう時の夏井先生のお顔は、
表情筋の軋む音が聞こえてくるようだ。



犬山紙子の最初の作品はひどかった。

女性の心情を現実的な言葉で描いた作品だったように記憶している。
調べればどんな句だったか分かるだろうけれど、
わざわざ不名誉なものを発掘するでもないだろう。

こてんぱんにこき下ろされた。
そして、次に出演した時、犬山は明らかに勉強してきた。
良い句を詠んだのだ。

こういうのが、プレバトを見ている醍醐味だ。

そして、油断したのか、
その次の句はまたひどかった。
なんと人間味のある人なのか。



番組が年月を重ねるごとに、
「特待生」という枠が設けられ、そこからさらに「名人」、
そして「永世名人」なる者も出てきた。

また、年に4回、季節ごとに、タイトル戦を開催している。
ここでは、特待生や名人以外の人も交えて、王座の争奪戦となる。

なんと、犬山は昨年の夏、特待生にもなっていないのに、
優勝したのだ。

特待生になれないのだ。
素晴らしい句を詠んだかと思うと、
初期のような駄句を持ってくるからだ。

そんなアップダウン俳人だからこそ、タイトル戦という一点で
勝つことができた、という面も有るだろう。



そして今年。
犬山はやっと特待生5級。最下級ぎりぎり。
そして炎帝戦。
お題は「メール」で、
犬山の2位となった句はこう。

恋を終わらせ平日の海月見る

これは、並み居る名人たちをうならせた。
「平日だもんね」
「平日はすごい」
「うらやましい。こういうのを出したかった」
などの声があがる。

別れを告げるメールを送信したのだろう。
返事はまだ無い。
平日のことだ。仕事中の相手は、そのメールを読んだかどうかも分からない。
仕事に出る気にもなれない。
水族館に足を運ぶ。
気持ちもふわふわ。クラゲもふわふわ。

先生も
「水族館のひややかさ、うすぐらさ」が
舞台として的確な選択である、と褒める。



これで安心できないのが犬山紙子である。

まだまだ秀句も駄句も見せてくれそうで、
楽しみでならない。

すき。
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