犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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奔流

2023年12月01日 | 毎月馬鹿

まず、シンクに溜まっていた洗い物を片付ける。

ついつい、食器を溜めてしまう。
自分の食事で使う食器など、昼なら丼一つ鍋一つ箸一膳、
夜も鉢一つ鍋一つ箸一膳程度だ。
こまめに洗うにもなんの負担も無い。

なのに、溜める。

非常にきれいに食べるということも
理由の一つと言いたい。

子どもの頃、私がカレーを食べた後の皿を、
洗ってあるものと誤解して母が食器棚に片付けてしまったことが有る。
それくらい、私はきれいに食べる。
舐めずともきれいに食べる。

ご飯も、もちもちと炊くよりも、パリッと炊くほうが好きだ。
だから余計に茶碗にくっ付かない。
残さず食べやすい。

食器棚に片付けてしまいそうなくらいきれいな器をシンクに置いて、
そのまま放置したところで、さほど不潔なことにならない。
だもんだから、洗い物を溜めがちになる。
というわけ。

まあ、
ダメなのじゃ。



飯を炊いた釜も一粒残さずきれいに取る。
とは言え、
乾いてしまうとこびり付きが洗い落としにくくなるから、
水に浸けておく。



「ポタリ」

シンクの方から水音が聞こえた。


積み重ねた食器が傾いて、水がこぼれたのだろうか。
何も触っていない食器が、今になって傾くか?

ちょっとおかしいなと思っているとまた
「ポタリ」
と聞こえる。

やっぱり水が落ちている。
シンクに置いた食器を見てみる。
しばらく待つと、
「ポタリ」と聞こえた。
おや。
壁のほうから聞こえた気がする。

水栓の根元の壁を見つめて、待つ。すると
「ポタリ」
音は視線の先の壁の中からしているようだ。

水が漏れているのか。



この水栓は、3年半前に自分で取り付けたものだ。
https://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/4264acfbe9140656fb2d5f86cafe76e6

やはり、自力では及ばなかったか。
継ぎ目のところから漏れてしまうようになったか。
水道屋さんを呼んで、修繕してもらうことにするか。

「ポタ、ポタ、ポタ、」

15分前より、水音のテンポが速くなってきている。

水漏れ箇所は、急激に悪化したりする。
今朝の冷え込みも関係有るだろうか。

「ポタポタポタポタ」
あり?
まさに今、急激に悪化している?

「チチチチチチチチチ」
「チョロロロロロロロ」
「チョーーーーーーー」
わわわわわ

と思ったら、
音が止んだ。



どして?どした?
止まった?
止まるわけないか。
どうなってる?

壁の中で起きていることだから、見えやしないけれど、
それでもよく見ようと思って、ちょっと屈んで蛇口を覗き込んだ、
その刹那、
「バーーーーン!」

違うなー。
「ジャーーーー!!」
じゃないなー。
「ドシャーーーー!!!」
でもないしなー。

とにかく、水が噴き出て私の顔面にぶつかってきた。
いやー。ビックリした。

おそらく、
少しづつ漏れている間はポタポタと垂れて溜まっていったが、
その溜まった水が満タンになったので落ちる音が消えて、
かと言って漏れるのが止まったわけではなく、
むしろ勢いが増して、
満杯が満杯を超えて、壁が破裂して噴き出たのだろう。

と、
噴き出る水を顔面に浴びながら思った。
と同時に、とにかく止めなきゃ、と思って、
水が噴き出ている箇所を手で抑えようと近付いて手を伸ばす。

しかし、水の勢いが私の手の力より強く、弾き返されてしまう。
クソッ!

後になって思えば、現場を諦めて、
走って外に出て元栓を締めれば良いのだ。
しかし、眼前で水が噴き出ていると、とにかくそこを止めなければ、
と思ってしまう。

水はまるで生き物のように荒れ狂い、ほとばしっている。

何か布で押さえよう。
取りに行っている暇は無い。
私は着ていた厚手のシャツを脱いで、蛇口にかぶせようとした。

水は更に勢いを増し、立ち上がってうねっている。
うねっている?

その時、何かが割れるような裂けるような音に叩き付けるような音が続いた。
「カリカリパリパリバリバリガツン!!!!」
同時になんだか分からない衝撃が全身を襲った。
叩かれたのでもなく痺れるというのとも違うし痛いと言えば痛い。
目から火花が飛ぶ。
周囲もチカチカと閃光を放っている。

うねる水は螺旋状になって、窓から外へと舞い上がる。

はああ?窓開けてたっけ?

何がなんだか分からない。
寒い。
シャツを脱いだし、ずぶ濡れだし、窓は開いているし。

とにかく身体を拭こうと、洗面所に行ってバスタオルで頭を拭き、
濡れた服を脱いで身体を拭いて乾いた服を着た。
それから台所に戻って、部屋を拭こうと見ると、
どこも濡れていない。

ただ、私の立っていた足元には水溜まりが有り、
洗面所へとビシャビシャの足跡が付いている。
これではまるで、私がおもらしをしたみたいじゃないか。

蛇口の根元の壁は割れている。
しかし辺りは濡れていない。
噴き出た水は、窓から天に昇って行ったようだ。

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