[あらまし] 同居母86歳要介護2パーキンソン病認知症状少々。
午後3時近くなって、風が強まった。
窓ガラスが揺れる。
庭木がざわめく。
里帰りした家が間違って出していった空き缶が、転げていく。
その家は私の家から北西の方向に在るので、空き缶はウチの前を音を立てて駆け抜ける。
そんな音の向こうから、機械の音がする。
聞き覚えの有るこの音は、
ウチの洗濯機に違いない。
ああしかし我が耳を信じたくない。
洗濯物は私がする。
そういうことにして、2年以上は経つ。
母の歩行はおぼつかないので、
洗濯物を抱えて外の物干し場に出る、なんてことは困難だからだ。
今日、私は洗濯をしていない。
今年の分の洗濯は済ませて、次は正月二日にやりゃあいいや、
と、考えていた。
今日明日は、洗いたいものが有っても気にしないで休む。
そういうふうに決めて休まないと、休めないからだ。
なのに、洗濯機の音がする。
母"ぁ、やりゃあがったな。
※
もともと母は洗濯上手ではない。
洗濯機に洗濯物と洗剤を入れればいいと思っている。
いや、それは言い過ぎだな。
「汚れは素早くつまみ洗いをすべし」とも思っている。
間違っちゃいないけれど、それでは落ちない汚れは有る。
母は、洗濯機から洗濯物を出して、丁寧に畳んで洗濯かごに入れる。
(そこ、どうでもいい!)
そして、すぐには干さないのだ。
きちんと畳んであることがあだになって、却って蒸されて洗濯物はカビる。
洗濯機を回すタイミングに考えはまるで無く、
雨だろうが夜だろうが、回す。
この度も、突風の吹く夕方に洗濯機を回したわけだ。
※
木枯らしの騒々しさを越えて洗濯機の音が二階にいる私の耳に届いた。
それはすすぎの段階に入った音であり、
また、それだけ音が響くのは、洗濯槽に洗濯物があまりたくさん入っていないからだ。
開けてみると、案の定、少しの自分の服だけが入っていた。
「洗濯物が多くて、悪いと思って。」
いや、少ないじゃないか。洗った分、少ないじゃないか。
風呂場には下洗いや浸け置きの必要な物が有り、
洗濯機を回すなら入れたいマットやタイルカーペットはいくらでも有る。
のに。
いやしかしそもそも今日は風が強いしっていうか既に日暮れ時だし
干せないじゃないかなんでこんな時に洗濯するかねって言ったって
ムカシっからこうだったから言っても無理よね
※
でもまあ、勝手にするがいい。
こちらとしては、自分のタイミングで干せる明後日に洗い直して干すだけのことだ。
それに、自分の洗濯物は別にしてあるから、いい。
私は、自分の洗濯物は大体、自分のものだけで洗っている。
母の洗濯物は、失禁に対応するため、「消臭ストロング」というものを使っているが、
この洗剤の残り香が、私は嫌いなのだ。
だから、慎重に分けてきたのだが、これも結構面倒なことだ。
それに、自分の物をタイミング良く洗えなかったりもする。
こんなことで神経を使ったりイライラしたりするのは馬鹿々々しいと思ったので、
ちょうど先週、自分の洗濯機を別に買ったばかりなのだ。
今度くわしく書くつもりだが、
母に見つかって使われると元も子もないので、
ちょっとなんなのだが、家の裏手に設置した。
そのために、水道管を分岐して水を引いたのだが、
それは塩ビ管を買ってきて自分で工事した。
9月の終わりのショートステイ中に物置の上の屋根の波板を張り直したが、
その下が雨にかからないスペースなので、そこに新しい洗濯機を置いたのだ。
そこは物干しとして使っているので、たいへん作業効率が良い。ふっふっふ。
だから、母"がアホなことをしても、この度は腹も立たないってことよ。
※
新品の洗濯機が嬉しいので、新年早々に洗濯した。
朝7時、初日の出と同時に干した。
気分良い。
好きなタイミングで洗濯物ができるのは、いい。
あと二つ、好きなタイミングでトイレに入りたいということと、
好きなタイミングで風呂に入りたいという欲求もかなえるべく、
水道メーターの話ばかり書く裏で、実は着々と動いていたのだ。
つづく
午後3時近くなって、風が強まった。
窓ガラスが揺れる。
庭木がざわめく。
里帰りした家が間違って出していった空き缶が、転げていく。
その家は私の家から北西の方向に在るので、空き缶はウチの前を音を立てて駆け抜ける。
そんな音の向こうから、機械の音がする。
聞き覚えの有るこの音は、
ウチの洗濯機に違いない。
ああしかし我が耳を信じたくない。
洗濯物は私がする。
そういうことにして、2年以上は経つ。
母の歩行はおぼつかないので、
洗濯物を抱えて外の物干し場に出る、なんてことは困難だからだ。
今日、私は洗濯をしていない。
今年の分の洗濯は済ませて、次は正月二日にやりゃあいいや、
と、考えていた。
今日明日は、洗いたいものが有っても気にしないで休む。
そういうふうに決めて休まないと、休めないからだ。
なのに、洗濯機の音がする。
母"ぁ、やりゃあがったな。
※
もともと母は洗濯上手ではない。
洗濯機に洗濯物と洗剤を入れればいいと思っている。
いや、それは言い過ぎだな。
「汚れは素早くつまみ洗いをすべし」とも思っている。
間違っちゃいないけれど、それでは落ちない汚れは有る。
母は、洗濯機から洗濯物を出して、丁寧に畳んで洗濯かごに入れる。
(そこ、どうでもいい!)
そして、すぐには干さないのだ。
きちんと畳んであることがあだになって、却って蒸されて洗濯物はカビる。
洗濯機を回すタイミングに考えはまるで無く、
雨だろうが夜だろうが、回す。
この度も、突風の吹く夕方に洗濯機を回したわけだ。
※
木枯らしの騒々しさを越えて洗濯機の音が二階にいる私の耳に届いた。
それはすすぎの段階に入った音であり、
また、それだけ音が響くのは、洗濯槽に洗濯物があまりたくさん入っていないからだ。
開けてみると、案の定、少しの自分の服だけが入っていた。
「洗濯物が多くて、悪いと思って。」
いや、少ないじゃないか。洗った分、少ないじゃないか。
風呂場には下洗いや浸け置きの必要な物が有り、
洗濯機を回すなら入れたいマットやタイルカーペットはいくらでも有る。
のに。
いやしかしそもそも今日は風が強いしっていうか既に日暮れ時だし
干せないじゃないかなんでこんな時に洗濯するかねって言ったって
ムカシっからこうだったから言っても無理よね
※
でもまあ、勝手にするがいい。
こちらとしては、自分のタイミングで干せる明後日に洗い直して干すだけのことだ。
それに、自分の洗濯物は別にしてあるから、いい。
私は、自分の洗濯物は大体、自分のものだけで洗っている。
母の洗濯物は、失禁に対応するため、「消臭ストロング」というものを使っているが、
この洗剤の残り香が、私は嫌いなのだ。
だから、慎重に分けてきたのだが、これも結構面倒なことだ。
それに、自分の物をタイミング良く洗えなかったりもする。
こんなことで神経を使ったりイライラしたりするのは馬鹿々々しいと思ったので、
ちょうど先週、自分の洗濯機を別に買ったばかりなのだ。
今度くわしく書くつもりだが、
母に見つかって使われると元も子もないので、
ちょっとなんなのだが、家の裏手に設置した。
そのために、水道管を分岐して水を引いたのだが、
それは塩ビ管を買ってきて自分で工事した。
9月の終わりのショートステイ中に物置の上の屋根の波板を張り直したが、
その下が雨にかからないスペースなので、そこに新しい洗濯機を置いたのだ。
そこは物干しとして使っているので、たいへん作業効率が良い。ふっふっふ。
だから、母"がアホなことをしても、この度は腹も立たないってことよ。
※
新品の洗濯機が嬉しいので、新年早々に洗濯した。
朝7時、初日の出と同時に干した。
気分良い。
好きなタイミングで洗濯物ができるのは、いい。
あと二つ、好きなタイミングでトイレに入りたいということと、
好きなタイミングで風呂に入りたいという欲求もかなえるべく、
水道メーターの話ばかり書く裏で、実は着々と動いていたのだ。
つづく