今振り返って、欝状態だったと思う時期が二度ある。
一度目は、二十歳の頃だた。
せっかく滑り込んだオモシロい学校にも行く気が無くなり、
何にも意欲を無くして、ただ家にいた。
卒業した高校のオーケストラに、週に一度行くのだけは行っていたが、
それだけだった。
その頃は「ひきこもり」という言葉はまだ無かった。
私はひきこもりだっただろうか。
ちょいと思い出してみよう。
きっかけは、恋愛の問題だったと言えるか。
ただ失恋というよりは、相手の親がこちらに乗り込んで来るような
トラブルになった。
セクシュアリティの問題もあり、私の中でこじれた。
家をまったく出なくなった。
ただ無為に過ごした。
絵も描かなくなったし、音楽もやらなくなったし、
本も読めなかった。
何をしていたかと言うと、ただひたすら、トランプのひとり遊びをしていた。
一枚ずつカードをめくり、8列に置いて行く。
1の倍数の列、2の倍数の列、3の倍数の列、4の倍数の列、
そして残りの4列は予備で、すぐに並べられないものを重ねていく。
1列目は「1,2,3,4,5…」2列目は「2,4,6,8,10…」
3列目は「3,6,9,Q,2,5…」4列目は「4,8,Q,3,7,J,2…」
といった具合だ。
ソリテアの中でも、なかなか上がれない、難易度の高いものだ。
これを延々とやって、上がれた時上がれなかった時で正の字を付けていく。
ただそれだけ。
ファミコンでも持っていれば、さぞかしハマッたことだろう。
幸か不幸かゲーム機は持っていなかった。
トランプは2セットくらいがボロボロになった。
そうは言っても、二十代を注ぎ込むことになるバンドも、この頃に始めている。
大学の友人に、なぜやめるのかと聞かれて、バンドを理由に返事したことを
思い出す。
大学での勉強にあまり魅力を感じられなかった。
胃がキリキリと痛む。
ウイスキーをひとくち飲む。
あたたかさが広がり、痛みが引く。
数十分後、胃がキリキリと痛む。
ウイスキーをひとくち飲む。
あたたかさが…。
1年か、2年か、そうしていたか。
その間に、友達に会いに行くことも数少ないが、有った。
ある旧友は、バイトに呼んでくれた。
雑誌の編集部で、メッセンジャーをやった。
原稿を受け取りに行ったり、資料を借りたり返しに行ったりする役だ。
業界の符丁で、「少年」と呼ばれた。
少年ぽい私が少年と呼ばれる。
元々はあちこちへ出かけるのが好きなので、これは良かった。
古参の編集者に、「今何をやっているんだ。学生か、学校へ行っていないのか。
あたら青春を食い潰しているのか。」と言われた。
もっともだが、どうしようもなかった。
きっかけは何だったか、思い出せない。
ただ、明大前のハナムラ楽器に3日通って、ツキモノが落ちたようになったことは
憶えている。
からりとした店主と好きな話をし、
出入りするいづれ変わり者の客たちの奏でる楽の音を聴き、
永く感じていた時から脱け出した。
十年後ハナさんが欝状態になるとは予想だにしていなかった。
一度目は、二十歳の頃だた。
せっかく滑り込んだオモシロい学校にも行く気が無くなり、
何にも意欲を無くして、ただ家にいた。
卒業した高校のオーケストラに、週に一度行くのだけは行っていたが、
それだけだった。
その頃は「ひきこもり」という言葉はまだ無かった。
私はひきこもりだっただろうか。
ちょいと思い出してみよう。
きっかけは、恋愛の問題だったと言えるか。
ただ失恋というよりは、相手の親がこちらに乗り込んで来るような
トラブルになった。
セクシュアリティの問題もあり、私の中でこじれた。
家をまったく出なくなった。
ただ無為に過ごした。
絵も描かなくなったし、音楽もやらなくなったし、
本も読めなかった。
何をしていたかと言うと、ただひたすら、トランプのひとり遊びをしていた。
一枚ずつカードをめくり、8列に置いて行く。
1の倍数の列、2の倍数の列、3の倍数の列、4の倍数の列、
そして残りの4列は予備で、すぐに並べられないものを重ねていく。
1列目は「1,2,3,4,5…」2列目は「2,4,6,8,10…」
3列目は「3,6,9,Q,2,5…」4列目は「4,8,Q,3,7,J,2…」
といった具合だ。
ソリテアの中でも、なかなか上がれない、難易度の高いものだ。
これを延々とやって、上がれた時上がれなかった時で正の字を付けていく。
ただそれだけ。
ファミコンでも持っていれば、さぞかしハマッたことだろう。
幸か不幸かゲーム機は持っていなかった。
トランプは2セットくらいがボロボロになった。
そうは言っても、二十代を注ぎ込むことになるバンドも、この頃に始めている。
大学の友人に、なぜやめるのかと聞かれて、バンドを理由に返事したことを
思い出す。
大学での勉強にあまり魅力を感じられなかった。
胃がキリキリと痛む。
ウイスキーをひとくち飲む。
あたたかさが広がり、痛みが引く。
数十分後、胃がキリキリと痛む。
ウイスキーをひとくち飲む。
あたたかさが…。
1年か、2年か、そうしていたか。
その間に、友達に会いに行くことも数少ないが、有った。
ある旧友は、バイトに呼んでくれた。
雑誌の編集部で、メッセンジャーをやった。
原稿を受け取りに行ったり、資料を借りたり返しに行ったりする役だ。
業界の符丁で、「少年」と呼ばれた。
少年ぽい私が少年と呼ばれる。
元々はあちこちへ出かけるのが好きなので、これは良かった。
古参の編集者に、「今何をやっているんだ。学生か、学校へ行っていないのか。
あたら青春を食い潰しているのか。」と言われた。
もっともだが、どうしようもなかった。
きっかけは何だったか、思い出せない。
ただ、明大前のハナムラ楽器に3日通って、ツキモノが落ちたようになったことは
憶えている。
からりとした店主と好きな話をし、
出入りするいづれ変わり者の客たちの奏でる楽の音を聴き、
永く感じていた時から脱け出した。
十年後ハナさんが欝状態になるとは予想だにしていなかった。
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