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四日間の奇蹟 [またつまらぬものを観てしまった・・・]

2005-06-24 00:57:07 | 映評 2003~2005
テンション下がった。期待もしてなかったけど、ここまでつまんないとは思わなかった。
純粋にストーリー性だけで考えた場合、「マリコさん、災難だったね」以上の感想が出てこない。

ヒロインが不幸でさえあれば「純愛もの」と定義可能なのだろうか?(だいたい純愛ものって何よ?)
「ヒロインを不幸にしたのは自分の責任だ」、とか、「不幸なヒロインをただ見守るしかできなかった」、といった設定ならまだしも感情移入可能だが、本作のストーリーは・・・
昔、ヒロインが自分に恋していたらしいが、その想いに気づくことは不可能なくらい交流がなく、再会しても誰か判らず・・・
そんな事実上初対面の人間が、私のつらい過去を聞いて下さいと、如月(主人公・・・吉岡秀隆)の人生と一切無関係なことを話す。
如月はきっとこう思っただろう
「ふーん」
・・・しかも、話す内容が別にあのような状況でないと話せないことではない。
事故による人格入れ替わりがこの物語に必要だったのか?初めから真理子(ヒロイン・・・石田ゆり子)は不治の病かなんかに設定しておけばいいのに、それでもあんなストーリーにしたのは、如月が千織(もう一人のヒロイン・・・尾高杏奈)を、体はって助けた事は無駄じゃなかった・・・と思わせるため?それだけのために死んだの?真理子さん!!?だとすると、真理子さん浮かばれない。
ベストセラーらしいけど、こんな話をどう解釈すれば感動できるっていうんだ?

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序盤や中盤で眠くなるならまだいいが、クライマックスの感動させようとしていたらしいシーンが一番退屈だから手に負えない。
佐々部清という監督については、実は初体験である。
非凡さを感じさせはするのだが・・・・
俳優の表情を活き活きと描き出し、会話劇を展開するのが上手いのかもしれないが、そういう演出はやめた方がいいのでは。
むしろ、台詞を今の半分くらいにそぎ落として、カットを少なくするほうが、より良い映画になりそう。
広い空間の中に配置される三人の人間。それぞれのキャラ同士の心の距離と、物理的な距離感がマッチしていて、台詞や音響を廃しても、鑑賞に耐えうる映像が素晴らしい・・・のに、無駄な切り返しで顔のアップがやたら挿入され、物語が求めている、わびしさが途切れる。
やたらに説明的な台詞。説明のためのフラッシュバック。ストーリーを語る事しか考えていない。それよりも絵を作ることを考えてはどうか?いや、それは既にできているのに・・・・
クライマックスがつまらない理由は、おそらくその舞台が狭い室内だからだ。屋外の映像の美しさ(完璧なロケハン)で中盤までは保っていたが、それすら無くなったクライマックスが退屈になるのは仕方なかろう。

二人一役というアイデアは悪くもなかったが、むしろ事故後俳優を石田ゆり子に統一した方が面白かったのでは?
ベッドでめざめた時のシーンで女優を石田ゆり子にすれば良かった。真理子相手にみんなが「千織ちゃん、千織ちゃん」と呼び、キョトンとして、そしてトイレで鏡を見ると尾高杏奈が写り、愕然とする。・・・この方がいいんでは・・・。千織扱いされる真理子のサスペンスを、真理子と観客が分かち合うことができたじゃないか。

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吉岡秀隆が手を怪我するエピソードが、突っ込みポイント。
吉岡秀隆、ピアノの演奏会をしている。天才ピアニストという設定に説得力を持たすためか、観客は白人ばっか。ただし少ない!!会場狭い!!(広い設定だったのかもしれんが、前2~3列の客しか映さないカット割りのためそう思える)
演奏後、白人客たちに握手を求められる吉岡。
と、その時、背後で銃声治安悪っ!!ガードマンもなし?!!
で、大ピンチの千織ちゃんを助けて指を撃たれる吉岡。優柔不断で弱気な青年役が得意(っていうか、それしかやったことない?)な吉岡秀隆君、この時ばかりは香港映画の熱い男たちのような行動をとる(「狼 男たちの挽歌最終章」のユンファをふと思い出した)
客の入りの悪さ、警備体制のずさんさから、あまり金のかかっていない、ごく内輪の演奏会だったと推測するが・・・彼は、はたしてほんとに天才ピアニストだったのか?
「しょうがねえだろ、予算ねーんだよ!!」という声が聞こえてきそうだが



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3 コメント

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いれかわり (kimion20002000)
2005-11-27 11:20:27
TBありがとう。

僕も、一人二役の描写に疑問でしたね。



あんな街角で、強盗が(怨恨じゃなく)、いきなりピストル使うか?という疑問は、小説読んでも、残りました。
返信する
コメントどうもっす (しん)
2005-07-14 00:23:26
>海音さま

あるいはピアノですよね

コーラスに対抗して

音楽あれば喋らなくたって感動できたのに
返信する
TB&コメント有り難うございました (海音)
2005-07-04 23:03:44
 原作の小説の内容をぜんぶ描こうとしたのか。読んだことがないので分からないが、説明セリフが多かったですね。もっと、喋らずに美しい自然とそれを見て幸せになっているところを見つけるようなそんなのがよかったなぁ。

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