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アニメの感想『ハコヅメ 交番女子の逆襲』

2023-08-20 21:45:00 | アニメ

交番勤務の新人女性警官川合麻依は警察官のあまりの激務さと働けば働くほど市民に嫌われていくようなやりがいのなさにモチベだだ下がり。今日こそ辞めてやると辞表を書いて出勤したその日…ペア長が突然の交代になると告げられ、新しいペア長として美人で凄腕だが「部下へのパワハラ」で降格になったと噂される藤聖子が交番に転属してくる。
スーパー婦警の藤と、ダメダメ警官の川合のコンビの愚痴まじりつつ治安を守る交番勤務の日々が描かれる。

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電子版コミックで実は相当ハマっていた漫画で、アニメもあると最近知って一気見。
そんでやっぱり面白い
原作に極めて忠実なのは最近のアニメみんなそうだけど、ハコヅメは独特の語り口が魅力でありアニメに向いてないのでは?とも思っていた。
なにしろアクション的な見せ場はほぼ無くて、ゆるめのトークが主体の原作なのだ。
それでもキャラクター同士の会話が心地よいのと、ストーリーの良さだけで十分楽しい。

ただし…第一話の最初のナレーション
「私はそれからの人生でこの日の出会いを何度も後悔することになる」には、誰が言っているかを明確にせざるを得ないアニメの弱点というか、誰が言ってるのかを明確にしなくてもいいコミックの特性を突いた原作の演出のうまさを思い知る。
原作が一番盛り上がるのは単行本だと12巻くらいの「同期の桜編」で、それまでのおちゃらけた展開の全てが(タイトルですら)伏線回収されていく物凄さがあった。そして「同期の桜編」まで読んでから改めて第1巻を読み返して最初のあのセリフは川合が言ったものとばかり思っていたが、あれはむしろ藤の発言だったのでは無いか?むしろそう考えないと辻褄が合わない…と思ってしまう。
しかし、アニメは第一話の時点でそこまでの伏線張りをするわけにいかず、ごく普通に川合にそのナレーションを喋らせている。
アニメシリーズの第一シーズンは単行本で言うとまだ3巻くらい。「同期の桜編」は第4シーズンくらいか…先は長いがそこまでやって欲しい
※観てないがドラマ版だと全9話で同期の桜編まで描いたらしい。それは駆け足すぎないか…

とはいえこの第一シーズンだけでも、終盤の川合と山田と牧高の3人が女子高生連続暴行犯を追う展開は相当胸アツで、川合の辞めてやるから始まったストーリーのとりあえずの帰結点として実に爽やか。

アニメ化において作品に魂を入れたのは川合を演じた若山詩音ではないかと思う。川合を演じるために生まれてきたのかと思うほどのハマりよう。キャピ声ではなく、ややハスキーで透明感でなく雑味のある声が、ビビリでめんどくさがりでアホな河合にピッタリだ。
若山さんは『リコリス・リコイル』では、河合と正反対のしっかり者でカタブツなタキナを演じていてすごい演技の幅の広い役者さんなんだと思った。

演技でいうと歴女系刑事?の牧高を演じる人気者の花澤香菜さんも流石のうまさだ。甘露寺さんとは全く別のマジメさがよい。



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