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追悼ロジャー・ムーア!

2017-05-24 22:18:35 | 映画人についての特集
追悼ロジャー・ムーア!
超超超長くなって、誰も最後まで読まないだろうけど、かまうものか!
私のロジャー・ムーアへの気持ちだ!


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いつだったかのアカデミー賞授賞式でマイケル・ケインとショーン・コネリーがプレゼンターとして登壇しておしゃべりしていると、ロジャー・ムーアが突如割り込んでくる。ケインが誰だ、お前は?と聞くと、ムーアは、「ボンド、ジェームズ・ボンド」
するとケインは、嘘をつくな、ボンドは彼だぞ、とコネリーを指差す。

ふとそんなシーンを思い出した。

私が初めてスクリーンで観たジェームズ・ボンドはティモシー・ダルトンだったけど、テレビの洋画劇場でずっとスパイの楽しさを教えてくれたのはロジャー・ムーア、広川太一郎さん吹き替えのロジャー・ムーアだった。

ロジャー・ムーアには他のどのボンド役者よりもユーモアがあった。
だからロジャー・ムーアがロジャー・ムーアのそっくりさん役を演じた「キャノンボール」も嫌味も何もなくすっきりと笑えた

ボンド以外のロジャー・ムーアで大好きなのは「北海ハイジャック」だ。
たしかアンドリューvマクラグレン監督。北海油田がテロリスト(アンソニー・パーキンスがリーダー)に占拠され、莫大な身代金を要求。テロ対策特殊チームのロジャー・ムーア部隊が奪還に向かう。
よくある話ではあるが、特別派手なアクションがあるでもないのにクライマックスの緊迫感はすごかった。
そしてロジャー・ムーアが趣味は刺繍、好きなものはネコ、嫌いなものは女、いつも機嫌が悪い、というボンドの真逆のような役だったのも良かった。


未だに自分にとってボンド映画の黄金時代はロジャー・ムーアの頃だと信じている。
同時にロジャー・ムーア時代ほどボンド映画が揺れ動いた時期もなかった。
傑作と駄作、快作と怪作、やり過ぎと初心帰りの振り幅が大きすぎた。
そんなロジャー・ムーア時代の007をこの際だから振り返ってみたい

「007 死ぬのは奴らだ」
監督ガイ・ハミルトン
実は当時ショーン・コネリーより年上だったロジャー・ムーアだが、三代目に就任。主題歌がポール・マッカートニーだったり力はそれなりに入れていた様だが、内容的には微妙。飽きることなくテンポよく進むが派手なアクションはなく、まあ初ボンドだし次作に期待しましょ的な感じ。
ボンドの秘密兵器は超強力磁石内蔵の腕時計。ワニだらけの沼の真ん中の足場に置き去りにされたボンドが磁石で桟橋のボートを引き寄せようとするがボートはロープで固定されていて途中で止まってしまう。この場合ボンドの方がボートに向かって引っ張られて沼に落ちるのではないか?

「007 黄金銃を持つ男」
監督:ガイ・ハミルトン
前作で次作に期待したのに、これかよ、というボンド映画史上最悪の駄作すぎてもはや笑えるネタ映画。
ゴジラにおける「メガロ」、スタートレックにおける「5」のような存在。
ボンドに勝負を挑む黄金銃の殺し屋ストラマンガを演じるのはクリストファー・リーでそれだけ聞くと期待するが、2人の対決はめちゃくちゃショボくて、よくて苦笑、多分冷笑、最悪怒りや嘆きというトンデモ対決
テンポも悪いし敵は弱いしチープだし、チープといっても「カジノロワイヤル」(ダニエル・クレイグのじゃなくてウディ・アレンがボンドやったやつ)のようなオシャレなユルさじゃなくて、ほんと単に安い感じ
少なくとも初めて007観るという人が絶対に手を出してはいけないから、取り扱い注意の札を貼っておく必要がある。
でもメガロや5がそれでもコレクターズアイテム的には外せないのと同様に、ボンドBOX買ってこれがなかったら寂しいだろう
ガイ・ハミルトンって映画史に残るレベルの「ゴールドフィンガー」でボンド映画のフォーマットを作った監督なのに、以降の3作のボンド映画は全部酷い出来で、危なくボンドを葬るところだった

「007 私を愛したスパイ」
監督リュイス・ギルバート
待ってました!やっとみんなが大満足できる007だ。現時点において私のベストオブ007にして、ロジャー・ムーアの代表作だ。
まず敵がケチな麻薬屋や殺し屋じゃない。ボンドの敵はもっとスケールがデカくてなおかつ風格がないといかん。
今回の敵、海運王ストロンバーグは核戦争で地上文明を滅ぼそうとする。こうでなくちゃ
そして敵の片腕的な殺し屋も強くなければならない。ボンドに立ちはだかり何度も襲いかかるシリーズ最強殺し屋は、例の大ヒット映画の影響モロウケなその名もジョーズ
金属の歯で狙った獲物の脊椎を噛みちぎるとのが特技で、殴っても蹴っても、撃っても、車ごと崖から落としても、推定1トンの石の下敷きになっても、人食い鮫のプールに落としても死なない最強の奴だ。ちなみに次回作にも登場しパラシュートなしで飛行機から落ちても、小さな人工衛星で宇宙に放り出しても死なない、男塾塾長江田島平八レベルの不死身っぷりである。

冒頭アルプスの山小屋で女の子とベッドで抱き合って(多分任務のため仕方なく)いるボンドに緊急招集の連絡が入り、行かないでという女の子を冷たくあしらってスキーで下山する。
実はというか当然のように女の子はソ連のスパイで、ソ連のスキー殺し屋部隊に連絡。
連絡を受けたロシアンスキー軍団に襲われるもストック内蔵ガンで1人撃ち殺しさらに断崖絶壁からダイブしてド派手なユニオンジャックパラシュート(どういう支給品だよ)で危機を脱するボンド。そして主題歌。もうこのアバンタイトルだけでも何回も観れる最高の出だし。

主題歌終わって部隊はモスクワ。
KGBの美人エージェントがKGBの司令官ゴゴール将軍(演じるのは色んな映画でナチスかソ連の悪役をしょっちゅう演じるウォルター・ゴテル)に呼ばれ、ソ連の原子力潜水艦行方不明の調査を命じるが、そのついでに、君の恋人がアルプスで任務中に英国のスパイに殺されたと告げる。
女スパイ、タチアナ(演じるのはリンゴ・スター夫人のバーバラ・バック)は彼を殺した男を見つけて仇をうちます。と誓うとカット変わってその恋人を殺した男ジェームズ・ボンドのバストショットに。このカット割り、イイね。

ボンド君大変だ、我が国の原潜が消息をたった、そこで潜水艦追跡装置の闇商人を追ってボンドはエジプトに飛ぶ

エジプトで問題の商人とコンタクトをとると、あらその商品は私が先に目をつけたのよと、ソ連のタチアナ登場。
ボンドのことは好きなカクテルがシェイクしたウォッカマティーニであることまで調べておきながら、自分の恋人を殺した奴とはまだ知らない。

ほうほう、どちらが高く買ってくれますかな、いやちょっと電話だ失礼、と立ち去った闇商人を、口封じのためストロンバーグが送り込んだジョーズが始末する。
異変を察知したボンドとタチアナはジョーズの後を追い、すったもんだのすえ追跡装置はボンドが奪い変えして2人はナイル下りの船に。
女性大好きボンドはタチアナとロマンチックなムードに浸ろうと油断も隙もありまくりな感じで、まんまとタチアナの睡眠ガス入りタバコで眠らされ、気がつけば追跡装置も取られている

しょうがねーなーとMI-6のエジプト事務所に行き、いつものようにマネーペニーに挨拶してMの部屋に入ると、そこには、なんとにっくきKGBのゴゴール将軍がいるではないか
すると、少し遅れてMがやってきて、やあジェームズ、知ってるだろうKGBのゴゴール将軍だ。早い話が英ソ共同でこの事件に当たることになったんだ、ハッハッハッ

そんなわけで再びコンビを組んだボンドとタチアナは、追跡装置の拡大写真からストロンバーグが怪しいとにらんて彼の海中大豪邸に向かう。海洋生物の権威の夫婦をよそおって。

そんでストロンバーグにあってみればますます怪しいと思った2人はQから支給された新型ボンドカー・ロータスエスプリでストロンバーグの家を調査に向かうと、ストロンバーグの送り込むバイクの殺し屋やら、またジョーズが車で追いかけてくるけど、色々な秘密装備でそきつらはことごとく崖下におさらば。するとヘリが飛んできて美人パイロットがウィンクしながらマシンガン。2人の車は海にドボンと落ちて大ピンチと思ったらボンドは余裕の笑顔でボタンをポチッと
するとかっこいいスポーツカーがなんと潜水艦にトランスフォーム。しつこい女とはオサラバだ、と広川太一郎さんの声で捨て台詞を吐いたボンドは別のボタンをポチッと
対空魚雷でヘリを撃墜するのだった

んで色々すったもんだしたのち、ホテルに帰還。ボンドが少し前アルプスで云々みたいな国家機密を軽々しく敵国の女スパイに喋っちゃったので、ばれちゃった。彼がタチアナの恋人を殺したことを。
それまで、ボンドのことをセクシャルな意味でまんざらでもないと感じ始めていたタチアナは顔色を変えて、この任務が終わったらあなたを殺すわ、と言うのだった。

さらなるストロンバーグ調査のためアメリカの原潜に乗り込むボンドとタチアナだが、原潜に異変が
操舵不能、緊急浮上!そこには潜水艦捕獲機能を備えたストロンバーグの超巨大タンカーが待ち構えていた

まんまと捕らえられたアメリカ原潜
抵抗は無駄と決断し降伏する原潜艦長
捕虜の中にボンドとタチアナがいるのを知ったストロンバーグは2人を自室に呼び自分の悪だくみをドヤ顔で披露する
米ソの原潜でモスクワとニューヨークを核で同時攻撃する。核戦争が起こり地上の文明は滅びる。
私は海底の楽園で理想の世界を作るのだ。
さてボンド君には死んでもらおう。タチアナ君は美人なので私の女にしてやろう、来るんだ
とわかりやすい悪の対応をするストロンバーグ。言い忘れたが演じるのはクルト・ユルゲンスで、「眼下の敵」のドイツ潜水艦艦長はじめ、戦争映画のドイツ軍人役が印象深い方だ

もちろんボンドは弱い見張り兵を軽くぶっ飛ばして逃走。米英ソの捕虜たちを解放。米英ソの兵士は武器庫を奪い指令室を占拠しようと大戦闘シーン勃発。すでにストロンバーグは海中豪邸に逃げ、米ソの原潜はミサイル発車体制についている。
タンカーの指令室は鉄壁で破れない。
ボンドはイギリス原潜の核ミサイルから爆縮用の強力火薬を取り出して指令室をぶっ飛ばし、配置についた原潜にはそれぞれに相手の原潜を攻撃するよう目標を変更して、世界は救われるのであった。

とはいえ、まだストロンバーグが残っている。捕らえられていたイギリスの原潜で脱出し、問答無用であいつの家をぶっとばせと国連からの指令を受けたが、いやまて、タチアナがあそこにいる。1時間だけ待ってくれと言って、自分を殺すと宣言しているソ連の女スパイを救出するため、ストロンバーグ基地に向かうボンド
まだ生きてたジョーズを人食い鮫の生簀に落とし、ストロンバーグをワルサーPPKで射殺し、タチアナを助け、時間切れで景気良く魚雷が打ち込まれそこらじゅうがドッカンドッカンなってる中、ストロンバーグ専用脱出ポッドで間一髪脱出に成功する2人
ストロンバーグ専用機なのでフカフカのベッドとセレブな備え付け品の中で、高級シャンペンを見つけるボンド
このシャンペンを好きな人に悪人はいない、彼を誤解してたと自慢の高級ワインシャンペン知識を披露して共産主義女にモテようとするが、タチアナはボンドがその辺に放り出したワルサーPPKを構えていた。
「任務は終わったわ」
バン!
シャンペンのコルクが弾ける
タチアナの微笑
ボンドは言う
「我が国では死刑の前に願い事を一つ聞いてもらえる」
「いいわ」
「お互い濡れた服を脱ごうじゃないか」
ボンドのセリフは全て広川太一郎さんの声に置き換えてください

そしてラスト、カーリー・サイモンの主題歌で締めくくる
♫ノーバディーダーズイットベーター♫

ああ、やっぱりこの映画最高だ。
007のベストはと聞かれると「ロシアより愛をこめて」か「ゴールドフィンガー」と答える人が圧倒的に多いが、最近では「スカイフォール」という人も増えてきたが、でもやっぱり自分にとってのベストは「スパイ・フー・ラヴド・ミー」以外あり得ない!


「007 ムーンレイカー」
監督リュイス・ギルバート
ボンド史上もっともやりすぎちゃった怪作。
売りは「ボンド宇宙に行く」で、レーザーピュンピュン飛び交う宇宙空間での大激戦は色んな意味で言葉を失う
もともと「私を愛したスパイ」の後は「ユアアイズオンリー」が予定されていた。「私を愛したスパイ」のエンドロールにも、「ジェームズボンドは「ユアアイズオンリー」で戻ってくるよ」とテロップがあったのに、急遽こちらに変わったのである。
理由はもちろんこの映画の前年に「スターウォーズ」が大大ヒットしたからである。
おっしゃ、ボンドも宇宙でビーム撃とう!と誰かアホな奴が言って、でも「私を愛したスパイ」が久々のヒットでイケイケ感あったからそうなってしまったのだろう。

とはいえ、スペースシャトルの発進シーンや、宇宙空間での戦闘や無重力表現も含めて、今見ても結構迫力あって楽しめる

問題はむしろ宇宙に向かうまでの中だるみ感いっぱいの脚本の方で

ああ、でも敵だったジョーズが敵を裏切ってボンドの仲間になる少年ジャンプなノリは評価したい

「007 ユア・アイズ・オンリー」
監督:ジョン・グレン

ボンドシリーズというのは、「やり過ぎちゃったので初心に帰る」の繰り返しである
も少し具体的に言えば「SFまがいの特撮スペクタクルに走り過ぎちゃったから、サスペンスと肉体アクション中心に戻そう」という動きである
「二度死ぬ」からの「女王陛下」
「ムーンレイカー」からの「ユアアイズオンリー」
「美しき獲物たち」からの「リビングデイライツ」
「ダイアナザーデイ」からの「カジノロワイヤル」
ただし多くの初心帰りポイントはボンド役者が変わるときだったのだが、ただ一人ロジャームーアだけが自身の在任期間中での初心帰りを実現させている。
在任期間の長い彼だから、彼の作品を見ているだけで一つのサークル・オブ・ボンドの小宇宙を作り得ている
これはボンド研究にとって非常に重要なことである

その彼だけの「役者変えずに作風変えるギャップ」を堪能できるのが11作「ムーンレイカー」から12作「ユアアイズオンリー」へのリレーである
世界破壊を狙う悪も、ドッカンドッカン派手な特撮見せ場もなく、何者かに奪われたイギリスの軍事機密「ATACシステム」を、奪った犯人から買おうとするソ連と、奪い返そうとするイギリスの争奪戦という、ただそれだけの渋いと言えば渋い話である
とはいうもののロジャー・ムーアの全身から香り立つようなユーモアのオーラは如何ともしがたく、結局ロジャー・ムーア映画の色は残った
ストーリーは煮詰め切れていなく、サスペンスとしてのハラハラ感はいまいちで、終盤も尻すぼみ感がぬぐえず、トータル成功とは言い難い作品ではある
しかしそうした欠点にもかかわらず多くの点で私の心をとらえて離さず、何度もリピートしてしまう映画である。
まずアクションシーンがどれもこれも素晴らしい。冒頭のブロフェルドらしき奴とのヘリコプター対決、序盤のスペインの山道で軽自動車をゴロンゴロン転がしながらの逃走カーチェイス、中盤のバイク殺し屋たちからスキーで疾走して逃げるシーンなどなどそのシーンだけ何度でも見返してしまうくらい楽しく面白くキレがいい
それらの痛快なアクションシーンを彩るビル・コンティの音楽も景気よくなるラッパとかノリノリで最高
あとはピンチの切り抜け方が素晴らしい。この作品ではQの秘密兵器があまり登場せず、ボンドが全ての危機を、秘密道具や仲間の誰かの助けを借りずに自分の力だけで乗り越える。ピアース・ブロスナン以降の全てのボンドシリーズの脚本家はこれを参考にしてほしかった。(ピアースボンドとダニエルボンドは、敵につかまり大ピンチのところを通りすがりのヒロインや仲間に助けられるパターンがあまりに多くて閉口する)

「007 オクトパシー」
監督:ジョン・グレン
ロジャー・ムーア時代の2大傑作のひとつと言ってよい。
前作の初心帰りからやり過ぎの中間にあたる「ほどよさ」が心地よい。
同時期に別会社がショーン・コネリーをボンド役に「サンダーボール作戦」をリメイクした「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」を制作することになり、本家側が奮起したというのもこの傑作につながった。
このころになるとボンドテーマに飽きたのか劇中であまり使わなくなっていたジョン・バリーが、分家作品との差別化を意識してか、いつになくボンドテーマを鳴らしまくっているのも大きい。
Qの秘密アイテムも大活躍(それどころかQ自らが終盤ではアクションに参加したりもする)。硫酸と硝酸の濃縮混合液入りの万年筆、どんな厚い壁向こうの音も聞ける盗聴器、ワニに見せかけた潜水艇など
そして敵のクレイジーさもボンド映画の悪ノリっぷりが戻ってきている。
敵こそ謎の秘密結社とか大富豪の私設軍隊などではなく、普通にソ連だが、頭のいかれたタカ派ソ連軍人オルロフが西ドイツのアメリカ軍基地で核爆発を起こそうとするというもの。
西側諸国に反核運動が広がり核が無くなれば即座に全軍で西ヨーロッパを侵略するなどとのたまう
何故かシリーズのレギュラーキャラになっちゃってるKGBのゴゴール将軍(時にはボンドの敵、時にはボンドの味方としていい味出してた)が、バカなことはやめろとオルロフを阻止しようとするが彼は歯止めが効かない
ロジャームーアボンドの余裕たっぷり感もかなり板についてきて、どんなピンチもどこか安心して見れる。
けれどアクションはわりとハード路線を意識して、ボンドはソ連兵を容赦なく撃ち殺す(殺しの許可証あるから合法ですが)
列車の屋根での激しいアクションに、クライマックスの小型ジェット機の機外にへばりついてのアクションなどスピード感のあるアクションが多くて手に汗握る。もう結構なお年だったロジャームーア頑張る
でもなんつってもこの映画で最高なのは、タイトル前のアクションシーン。
その後のストーリーと全く一切何も関わらない完全独立のほとんどショートムービーでキューバのミサイル基地を小型ジェット乗り回して吹っ飛ばすシーンは、キューバの皆さんには申し訳ないけど楽しすぎる!

余談
原作のイアン・フレミング「オクトパシー」にはソ連軍人が核テロ狙うなんて話は1行たりとも出てこない
この映画の基本的な筋立てはフレデリック・フォーサイスの「第4の核」という作品にそっくりであり、多分パクったんだと思う
でも、正直にいって「オクトパシー」の方が面白いと思う

余談の余談
「第4の核」も80年代に映画化されていて、核テロを防ごうとするイギリスの情報部員をマイケル・ケインが演じ、核テロを狙うソ連の工作員をこれがなんとピアース・ブロスナンが演じていて面白い


「007 美しき獲物たち」
監督ジョン・グレン
ロジャームーアボンドの最終作
当時58で体力の衰えは如何ともしがたく、アクションシーンはスタントマンによる引きショットと、背景合成のアップショットしかなく、見ていて辛い。
アクションには本人がやってるとわかるミドルショットが必要なのだ。
だから次作でのティモシー・ダルトンの「リビング・デイ・ライツ」のアクションは年齢の呪縛を解き放たれてボンド映画全体が生き生きとして見えた
一方でこの作品は、作中でボンドが女を抱いた回数が一番多い。多分これで最後のロジャー・ムーアへの慰労会的な面もあったのだろう。アクションシーンはスタントマンにやらせてベッドシーンは自分でやるロジャー・ムーアなどと密かに陰口たたいてすみませんでした。

けれども!
「美しき獲物たち」もまた大傑作なのである。
ボンドが元気ない分だけ敵は狂いまくり、今度の悪者ゾーリンはカリフォルニア州全体を海に沈めようと企む
演じるのは悪役としてもっともキレていたころのクリストファー・ウォーケンだ。おいウォーケンがボンドの敵だってよ。これだけで充分満足なのにウォーケンの片腕の女殺し屋グレース・ジョーンズがまた最高で、ヒョウのような外見で、ボンドと戦ったり、ボンドに追われたり、ボンドを追ったり、ボンドと寝たり!
そして、中盤のエッフェル塔でのチェイスに、クライマックスの何でそうなるの?!なゴールデンゲートブリッジのてっぺんでのウォーケンとの対決などなど、映画代だけで世界旅行気分に浸れるサービス。そうだこのころのボンド映画の世界の名所名跡巡りはゴジラの城破壊と同じくらい、いよっ、待ってましたな胸ワクワクだったっけ

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以上こうして長々ダラダラと書き綴ってあらためて分かったことは、私はロジャー・ムーアと彼の演じるジェームズ・ボンドが大好きだったということだ。
ロジャー・ムーアのボンドは私の血肉であり、魂だ。
ありがとう!ロジャー・ムーア
そしてこれからも、時々あなたのボンドはうちのテレビでイギリスの敵を追いかけるだろう!
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