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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

森田芳光監督

2011-12-22 07:36:12 | 映画人についての特集
森田芳光監督が亡くなられました。

(こういう寂しいニュースでもないと更新しない、最近の私のブログ・・・)


「家族ゲーム」と「それから」でアクションスターではない松田優作を見せてくれました。
「家族ゲーム」の静かでいて緊張感。「それから」は美学でした。この初期二作でキネ旬1位をとり天才登場かと思いきや、天才ぶらずに色んな映画にどん欲にしたたかに、攻めの映画作りを続けました。

個人的に一番好きな映画は「(ハル)」です。
インターネットによるコミュニケーションを描いた映画としてこれを超えるものはありません。岩井俊二監督の「リリィシュシュのすべて」もいいけど、「(ハル)」の方がいいと思う。「電車男」は論外。
チャットやメールをストーリーテリングの道具として使い、しかもとても映画的に使っていました。姿も声もないけど時間の流れがあり、空間が作られていました。
私の短編映画で、初めて自主映画コンペに入選した作品「その悩み何バイト?」は「(ハル)」の影響大の映画です。
記憶違いかもしれないですけど、(ハル)を作るきっかけが、「世界中の誰よりもお前を愛してる」みたいな台詞を日本人の俳優がしゃべってもくさいだけなのに、字幕スーパーだと違和感がないことから、字幕で映画を構成したら面白いんじゃないかと思ったことだったと、映画雑誌で読んだ記憶があります。それだけの発想からこんなすごい映画を生み出すのですからやっぱり我ら凡人とは違う凄い人なんだと思います。

「失楽園」話題性だけで映画としての評価は低い作品でしたが・・・なんだか私は好きでした。黒木瞳に溺れたいと思いました。前半部分のカット割り、けっこうぞくぞく来ました。

「39 刑法第三十九条」は大森寿美男さんの脚本が優れた映画ではありましたが、濃厚な演技合戦に身を乗り出すようにして見入りました。堤真一も鈴木京香もほんと凄かった。そしてこの映画は私の作品でカット割りの参考にさせて頂いたりしました。

「黒い家」の恐怖演出は素晴らしかったです。大竹しのぶが怖い。やりすぎ感もあるけどそれがまた怖い。

(ハル)の深津絵里、失楽園の黒木瞳、黒い家の大竹しのぶの三人+深田恭子で四姉妹を演じさせた「阿修羅のごとく」は森田女性映画の集大成でした。殺伐とした映画が続いたあとでやっぱりホームムービーが得意なんだと再認識させた映画でした。大竹しのぶvs桃井かおりの玄関先でのバトルシーンは最高でした。華のある四姉妹はそれぞれ良かったのだけど、八千草薫さんのお母さんが一番のしっかり者だったというオチも素敵すぎました。

「サウスバウンド」の60年代を茶化したような姿勢、感情移入不可能な爆弾キャラの両親に振り回される子どもたちのすったもんだとドタバタ。愛せる映画でした。

「椿三十郎」・・・はまあ、アレですけど・・・カラーにすることで刀についた血を強調したり、赤と白の他に桃色の椿の花も出してみたりと、良いところも探せばけっこう出てくる作品でした。
たとえダメな映画であっても、常に話題作にはしてしまうそのたくましさは見習うべきだと思います。

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たしかPFF出身の方です。自主映画出身ってわけですね。そういう意味でも先輩です。
必ずしも全ての作品が好きだったわけではありませんが、森田監督の映画からは色々なことを教わりました。素晴らしい映画監督だったことは間違いありません。
もっともっと作品を見たかったのですが、来年公開予定の「僕達急行 A列車で行こう」で終わりです。
天国で松田優作が「待ってたぜ」なんて言って、一緒に映画を撮ってるかもしれませんね。

森田芳光監督、ありがとうございました。

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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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