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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

個人的映画ランキング・・・流れた涙の量TOP10

2005-05-04 01:37:40 | 過去に観た映画
勝手にランキングシリーズ第二弾
最初に注意しておくが、「泣きまくった映画=生涯のベスト映画とは限らない」

以下は、鑑賞しながら溢れ出た涙の推定累計量の多い順である。
何度も繰り返し見てその都度泣いた映画が有利だ
順位 タイトル (監督名) [鑑賞回数] {累計涙量(注…推定かつ過剰申告)}
1位 チャンプ (フランコ・ゼッフィレリ) [2回]{250cc}
2位 愛を乞う人 (平山秀幸)  [10回] {150cc}
3位 二十四の瞳 (木下恵介)  [3回] {100cc}
4位 ドラえもん のび太の海底奇岩城 (芝山努)  [1回] {80cc}
5位 世界大戦争 (?)  [1回] {75cc}
6位 おかあさんの通信簿 (?)  [1回] {65cc}
7位 プリティリーグ (ペニー・マーシャル)  [2回] {60cc}
8位 過ぎゆく時の中で (?)  [2回] {50cc}
9位 ブラザーフッド (カン・ジェギュ)  [2回] {40cc}
10位 ブレイド2 (ギレルモ・デル・トロ) [5回] {20cc}


1位の「 チャンプ」は常識で考えられないくらい泣いた脅威の映画だ。人はこんなにも涙を流せるのかと驚いた程だ。高校生の頃、ビデオで鑑賞していたのだが、ラストシーンで周囲の目もはばからずボロ泣き、エンドクレジットの間中も泣き続け、画面が砂嵐になってもオート巻き戻しがかかってもなお泣き続けていた。一緒に見てたわけではないが室内には母と兄がおり、普通は泣くとかっこ悪いから自制するのだが、涙腺は完全に制御不能となって暴走した。
しかし、これは言える。
「チャンプ」はすごく泣ける映画だけど、ただそれだけの映画さ。
流した涙の量なら間違いなく第一位だが、だからといってこの映画を生涯のベスト10はおろかベスト100にだって入れる気はない。もっと素晴らしい映画は沢山ある。
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チャンプ・・・ストーリー(ネタバレ)
かつてボクシングの世界チャンピオンだった男。幼い息子と二人暮し。妻(息子の母親)とは何年も前に離婚し、妻は今お金持ちと再婚して幸せに暮らしている。息子には「お母さんはお前を生んですぐ亡くなったんだよ」と嘘をついている。そんなある日前妻とたまたま再会。落ちぶれた主人公の生活を目の当たりにし、そしてなにより何年も放っておいた息子を見て自分の選択を悔やむ前妻。息子を引き取ろうとするが、父を誰よりも尊敬する息子は離れようとしない。そんなある日、父はヤクザものと大げんかし逮捕されてしまう。このままでは息子を駄目にしてしまうと悟った父は、面会に来た息子に「お前なんか鬱陶しいんだ。前から嫌いだった。失せろ。」みたいな嘘をつきさんざん罵倒して追い出す。泣きながら前妻の家に駆け込む息子。息子が出ていった後、一人泣き崩れる父。やがて父は出所した。そんな父を息子が待ち構えていた。父は息子のために、息子の尊敬に応えるためにカムバックを決意。世界タイトルマッチに再挑戦しベルトを奪い返すのだ。そして試合当日、息子と前妻が見守る中、父は試合に挑み、見事ベルトを奪取するが・・・激しい試合は彼に深刻なダメージを与えていた。息子に看取られながら息を引き取る父・・・控え室に息子の悲痛な叫びが響き渡る。
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という・・・あまりに見え見えな、泣かせてやるぜ!!的ストーリーである。父と母と息子の関係が浮き彫りにされ、ちょっとつついただけで涙溢れる構造。とは言ってもやはりこの映画は「ただ泣けるだけの映画」でしかない。初見で尋常じゃない泣き方をしただけに却って不信感があり、30才近くの時に再見してみたのだが・・・ホロリと来たぐらいで泣きはしなかった。僕も大人になっていた。ジョン・ボイトもフェイ・ダナウェイも好演を見せるし、ゼッフィレリ演出も端正で抑制がきいていて見事ではあるが、もっと大雑把で強引で熱っぽい感じが欲しい。そう思った。
そんな時、偶然にも一本の香港映画を見た。チョウ・ユンファ主演「 過ぎゆく時の中で」。これにはチャンプ再見の時感じた不満が全て解決されていた。ユンファの情熱的な演技と、香港ぽさを色濃く残したクライマックスのダイナミズム溢れる演出で、ぼろ泣きさせられた。

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過ぎゆく時の中で・・・ストーリー
かつてオートバイレースの東洋チャンピオンだった男。幼い息子と二人暮し。妻(息子の母親)とは何年も前に離婚し、妻は今お金持ちと再婚して幸せに暮らしている。息子には「お母さんはお前を生んですぐ亡くなったんだよ」と嘘をついている。そんなある日前妻とたまたま再会。落ちぶれた主人公の生活を目の当たりにし、そしてなにより何年も放っておいた息子を見て自分の選択を悔やむ前妻。息子を引き取ろうとするが、父を誰よりも尊敬する息子は離れようとしない。そんなある日、父はヤクザものと大げんかし逮捕されてしまう。このままでは息子を駄目にしてしまうと悟った父は、面会に来た息子に「お前なんか鬱陶しいんだ。前から嫌いだった。失せろ。」みたいな嘘をつきさんざん罵倒して追い出す。泣きながら前妻の家に駆け込む息子。息子が出ていった後、一人泣き崩れる父。やがて父は出所した。そんな父を息子が待ち構えていた。父は息子のために、息子の尊敬に応えるためにカムバックを決意。香港で開催されるオートバイのグランプリに出場しウィニングランを決めるのだ。そしてグランプリ当日、息子と前妻が見守る中、父はレースに挑み、見事優勝するが・・・激しいレースは彼に深刻なダメージを与えていた。ウィニングランで転倒するその刹那・・・客席の息子と前妻を発見。息子の幸せな未来を確信して、父もろともバイクは大爆発炎上する(他のバイクも巻き込み)・・・サーキットに息子の悲痛な叫びが響き渡る。
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・・・っておい!! 「チャンプ」の丸パクじゃねーか!! ストーリー解説ほとんどコピペーで済んじまったよ。
しかし、どうしようもなく泣けてしまったんである。生長した僕は確実に香港流な過剰さに反応する体になってしまったんである。

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4位の「 ドラ/海底奇岩城」はドラえもんシリーズの最高傑作と思う。つっても、これに泣いたのは小学生の時なので、今は確実に泣かないと思うが、でもクライマックス、「喋る海底バギー」が、しずかちゃんのために海底魔王(みたいな奴)に体当たり攻撃をかけるシーンはいつ思い出しても胸がジーンとする。今にして思うと、なんか中東の自爆テロとか大日本帝国のカミカゼアタックを想起させる、平和国家的には教育上よろしくないシーンだった気もするが・・・。監督の芝山努はドラえもんの諸作の他、「ちびまる子ちゃん」劇場版でも大人を泣かせまくっており、実を言うと彼が泣かせた人間の数は宮崎駿なんかより多いかもしれない。
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愛を乞う人」と「二十四の瞳」は何度見ても、同じところで泣く。判っていても泣く。ここが重要だ。「チャンプ」は2度目は引っかからないが、名作は何度でも引っかかるのだ。小津の「東京物語」だってそうだ。
「二十四の瞳」は子役たちの下手クソな演技がまた涙をさそう。演技の上手さは泣かせの必要条件ではないのだ。木下恵介では他に「喜びも悲しみも幾年月」「野菊の如き君なりき」もボロ泣き必至の名作だ。
「愛を乞う人」は観る度に、ラストのバスの中の
照恵「深草、お母さん、泣いてもいい?」
深草「泣いてもいいよ。お母さん」
のシーンで、深草の許可が出るまで我慢しようと思うのだが、いつも我慢できない。
「愛を乞う人」と「二十四の瞳」の2作は、なんか嫌なことがあった時にウィスキーがぶ飲みしてべろ酔い状態になってから見たり、友達と酒を多量に飲みながら見たりするともっと確実にもっと激しく大騒ぎしながら泣ける。意外と飲み会盛り上げ作品として機能できるところがポイントだ。(「東京物語」は感銘してほほぉと観てしまい、泣くけど飲み会は盛り下げてしまう)
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世界大戦争」も恐らく同性質の映画だと思うが、扱っているレンタル屋がなく再見がかなわない。これは山形で大学生をしてる時、リバイバル上映で観たのだ。円谷プロの当時としては凄かったかもしれんが、今観るとかなりちゃちいミニチュアワーク(NY核爆発シーンでポキっと根元から折れて飛んでく自由の女神は必見)に苦笑している場合ではない。ご都合主義のストーリーを揶揄してる場合ではない。被爆国家として、平和の重みを世界中のどの国よりも噛み締めなければならない日本人に対する魂の叫びが響き渡っている。フランキー堺の代表作は「幕末太陽伝」ではない。「世界大戦争」だ。
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おかあさんの通信簿」は小学生のころ公民館で観た教育映画である。改めて観たいとも思わんが、お母さんが家出した娘を追いかけてきて、そして娘にお父さんの最期の様子を語って聞かせるシーンで泣いた。僕の記憶ではそのシーンでダムが決壊していた。多分、父上は水力発電書の職員がなんかだったのだろう。多分、ダム決壊シーンは怪獣映画から借用してきたものだろうし、なんかどえらいスケールの回想だなあと今にしてみれば思うのだが、子供だった僕はなぜかぼろぼろ泣いていた。
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プリティリーグ」は泣かせどころ満載の佳作。男が戦場に出払ったアメリカで女子野球リーグが結成され、悲喜こもごも。ペニー・マーシャルはアメリカの木下恵介と言ってもいいツボをおさえた演出を見せる。
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ブラザーフッド」は泣かせ得意の韓国映画を代表してランクイン。アジアの奴らはなんで、どいつもこいつも暑苦しいんだろう。「JSA」も「おばあちゃんの家」も落涙ものなのだが、ストレート豪速球で泣かせ一直線な「ブラザーフッド」にはかなわない。出征する兄弟をのせた列車をいつまでも追いかけ続ける母。弟を守るため全力を尽くす兄の姿。泥と血と唾でイケメンもへったくれもなくなった顔で「一緒に帰ろう!」と熱く兄を説得する弟。泣かずにいられるか。これも「愛を乞う人」同様、何度観ても熱く泣けそうな映画だ。
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で「ブレイド2
なんで? と思わないで。劇場でラストで号泣。ブレイドの腕の中で灰になるニッサ。二人を照らす朝日の美しさ。しかしいくらなんでも、泣いたのはなんかの間違いだろう。もう一回観たら泣くどころか笑っちゃうかもしれないぞ・・・と、友達が買ったDVDを再鑑賞。また泣いた。これはいかん、と思って、即DVDを自分で購入。また泣いた。
「ブレイド」で・・・。吸血鬼とデイウォーカーの運命に引き裂かれた恋が悲しいからか。それにしたってウェズリーに・・・。でも泣くもんは仕方ない。きっとあらゆる理屈を越えた超自然的な力がそこに働いているんだろう。
別に「ブレイド3」の宣伝のためランクインさせた訳ではないよ。
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ちなみに、こいつに泣かされるのは嫌だなって俳優(キライではなくむしろ好き、いや愛してるのだが、さりとて、涙はお前たちのために用意していない・・・って奴ら)ランキング
1位 ニコラス・ケイジ (貴方の顔がアップになると、泣けるシーンで笑えるんですよ)
2位 ミニー・ドライバー (同上)
3位 シルベスター・スタローン (2~3度危うく泣かされかけたが持ちこたえてます)
4位 スティーブン・セガール (泣かしにこないと思うけど)
5位 チャック・ノリス (ごめん、泣いちゃった!!やっべー)
6位 エドワード・ノートン (人を泣かせながら、絶対別なこと考えてる)
7位 ゲイリー・オールドマン (貴方に泣くってことは悪に魂売るってことで・・・)
8位 アンジェリーナ・ジョリー (貴女の演技に泣いても体目当てと思われそうです)
9位 北村一輝あるいはスティーブ・ブシェーミ (貴方に泣かされたら相当精神が蝕まれている証拠です)
10位 プレデター (あぶねー、泣くとこだった)

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