
観た映画の映評は必ず書こうと思っているけど、書くのが面倒くさくてついつい放置がち。
機動戦士ガンダムGQuuuuuuX(大文字のGとQ、小文字のuが6つ、大文字のX)も書こう書こうと思っていたが…
気がつくとテレビシリーズの放送が始まり、もう第6話。折り返してるじゃないか。
さすがにそろそろ書かなくては書く機会を失ってしまうと思い、焦って色々思い出しながら書いてみる。
しかしこれだけ寝かしたことの利点もある。もはやネタバレなど気にしなくていいということだ。
なにしろみんな、テレビシリーズの考察や感想に忙しいから。
テレビは火曜深夜の「上田と女がDEEPに吠える夜」との抱き合わせ放送枠になっていてうざいから、土曜日のBS12の放送でみようと思っていたが、中4日もあると、観た人みんながTwitterやyoutubeに上げまくり、内容読まなくてもサムネや最初の一行だけでネタバレになってしまう。ジムかと思わせてゲルググとか、シイコさん即退場とか、黒い三連星登場とか、えぇーって驚きたかったのに。
そう思うと劇場版の時のネット民の極度の自制心はすごかったのだなと今更思う。
そんなこんなで上田との抱き合わせ枠で見るようにした。上田と女の間に風呂入って、終わる頃に酎ハイ片手に見始める。
以上前置き終わり
アイキャッチ
デデデン
デデデデン
シュウ!!
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さて劇場版の映評である。
ちゅうわけで、映画版冒頭は79年の機動戦士ガンダム第1話から始まるというのはすでに国民の常識として扱う
正史で手柄欲しさに暴走しアムロのガンダム搭乗というジオン戦史最大のターニングポイントを招いた新兵のジーンは…いない。
ジーンのザクが不調ということでシャアが自ら偵察任務に就く。
ガンダム第1話を、あるいは劇場版機動戦士ガンダムを何度も何度も観たわれらおっさんにはあちこちぶっ刺さる、ああこのシーン、この構図、この台詞…
何よりもファーストガンダム世代にぶすぶす刺さるのは、音であった。
音楽もそうだが、何よりも効果音
ファーストの音なのである
モビルスーツの足音とか、モビルスーツ同士がぶつかった時の音とか、ビームライフルの銃撃音とか
文字や言葉で表現することは不可能だが、あの時の音なのだ。ちゃんと現代的なかっこいい音響処理はされているものの、基本はあの時と同じ音なのだ
2000年ごろ発売されたガンダム劇場版三部作の「特別版」DVDの悪夢を思い出す。
あれは、ジャブローのシーンで哀戦士がかからないなどの音楽の変更も酷かったが、何よりも音がダメだった
いや、かっこいいはかっこいい、でも、その音じゃないだろ!!とあまりに違和感だった
ガンダムがビームライフルを構えるときは、ドゥイィィィン って音じゃなきゃダメなのだ
ガンダムとザクがぶつかった時の音は、ドゥブゥゥゥゥンンン って音じゃなきゃダメなのだ
オリジナルの音はモノラルかステレオかわからんが、5.1ch用に音を差し替えなきゃならなかったのはわかるが、だからってその音じゃないのだ
考えてみてください
フルトヴェングラーの演奏フィルムを特別版といって、5.1ch対応のためとかなんとかいって最近の演奏のサイモン・ラトルあたりの音に差し替えていいわけないでしょう
シャアのズゴックがキュンキュンした音で走っていいわけないだろ
銃撃音も、バーニアの音も、爆発音も、違う違う何もかも違う
に比べるとGQuuuuuuXは、画はものすごく今風になっているが、音はあの時のままなのだ。これはうれしい。
そういえば、『ヤマト2199』も音への旧作リスペクトが強かった。ヤマトが敵の攻撃を受けた時の爆発音に混じってどこかでガラスが割れたようなバリーーンの音が入っている。バリーーン音は旧作ヤマトでめちゃくちゃ印象的だった。ちゃんとそれを再現していてうれしかったのだ。
ヤマトの話は置いといて、GQuuuuuuXの効果音はファーストファン心をよくわかっていて感動だ。音に関しては、ホワイトベース改めソドンの警報音なんかもあの時のまま。そして1年戦争が終わった後のマチュたちのクランバトルになっても、テレビシリーズにおいても、モビルスーツの音は基本的にファーストの音なのがうれしい。
ビーム音も、ファーストの、ズキュュュュゥゥゥゥン という音だ。Ζのボヒョンという音ではないΖのキャラが出てきても音はファーストのままなのはうれしい。(今後Ζのモビルスーツが出てくると、そいつらの音はΖの音にするのかもしれない)
そして音楽
一年戦争編の音楽は、やはりファーストの音楽であり、しかも多分ファーストの音源をそのまま使っていると思われる。厳密にはテレビ版ではなく劇場版第一作のサントラからだろうか。
サイド7でガンダムがガンキャノンをビームサーベルで屠る場面の曲、オリジナルのテレビ本編ではガンダムの空中換装シーンでよく使われていた印象だが、サントラ収録の曲名は「颯爽たるシャア」だったりする。ある意味、GQuuuuuuXでやっと本来の使われ方をされたと言っていい。
ソドンからシャアの乗るガンダムがカタパルト射出されるシーンの音楽はもちろんあのアムロいきますでいつも聞いていたあの曲(曲名で言うと「戦いへの恐怖」)だったり、これでもかとファーストのサントラが使われる。
シャア独り言多過ぎね、みたいな突っ込みを忘れさせるくらいに、ファーストサントラが鳴り響き魂が沸き立つ。
本作、選曲は庵野さんではなく鶴巻監督だとは思うが、庵野氏の選曲センスには正直どうもなんか違うと感じることが多かった。
ダイコンフィルムの『帰ってきたウルトラマン』はなぜBGMを『ウルトラマン80』にしたのか?
『シン・ゴジラ』はそもそも昭和ゴジラの音源を使うという行為が個人的には好きじゃなかったのだけど、旧音源使用の是非は置いとくとしても、エンドクレジットで『ゴジラVSメカゴジラ』のメカゴジラテーマは絶対違うだろ。ハリセンかスリッパで頭ひっぱたきたくなる選曲だった。
(ゴジラ音楽言及ついでにマイナスワンは伊福部音楽を新録するのはいいのだが、マハラモスラとかファロ島の踊りの曲とかなんで使う!!とこれも私の中ではスリッパ案件。庵野さんも山崎さんもゴジラは好きでもゴジラ音楽はさほど好きじゃなかったのかなと思った)
旧作音楽使用でいうと、また引き合いに出すが『ヤマト2199』はわかっていた。当時のスコアを新録している。使いどころもわかっていた。
めちゃ外れるけど、JJエイブラムズのスタートレックの音楽もダメだった。テレビシリーズのテーマを使うけど主旋律だけで、冒頭のファンファーレ部分を使わない。冒頭ファンファーレこそスタートレックファンのテンションをあげる部分だというのに。やはりリメイクはオリジナルを愛している人にやってほしいと強く思った。
そしてGQuuuuuuXの音楽だ
シンゴジラの旧音源使用はダメなのに、GQuuuuuuXは良いっていう意見に整合性はあるのか。
ある
伊福部昭は名義貸しだけの『ゴジラ対ガイガン』をのぞいて、すべての作品で新録していた。まったく同じメロディであろうとも作品のたびに新録していてた。だからシンゴジラもスコアは旧作そのままを使うにしても新録すべきだったと思う。
そしてシンゴジラは続編でもリメイクでもなく、54年ゴジラもそれ以降も全部なかったことにした新規ゴジラだった。であれば、音楽だけ旧音源とはどうなのか。いっそ84ゴジラのように伊福部音楽すら使わないという選択肢もあったのでは
たいしてGQuuuuuuXはといえば、これは何らかの理由でファーストから枝分かれした世界線あるいはマルチバース的な世界観であり、もしもあの時ジーンでなくシャアがサイド7に入っていたらの世界が提示される。
ザクやガンダムの外観が大幅に変わったとしても、取り巻く空気感は同じなのだ。あの時アムロのために鳴っていた楽曲がいまはシャアのために鳴っている。世界が変わってしまったことを否応なく意識させるための旧音源使用なのだ。
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ようやく本編の話と思ったけど、音語りだけで異常に熱くなってしまったので、とりあえずここでいったん区切る
次回 GQuuuuuuX劇場版本編評
君は生きのびることができるか