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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2010年に登った山の記録

2011-01-09 21:58:22 | 映画と関係ない雑談
2010年の登山記
今年、夏頃にあまり映画を見なかった最大の理由は、山にハマったからだ。
これは映画そっちのけで登った山の記録である。

紹介する山
乗鞍岳 [のりくらだけ] (3026m)
御嶽山 [おんたけさん](3067m)
木曽駒ヶ岳 [きそこまがだけ](2956m)
八ヶ岳山系 硫黄岳 [やつがだけ いおうだけ](2760m) 
霧訪山 [きりとうやま](1305m)
富士山 [ふじさん] (3776m)
焼岳 [やけだけ] (南峰2455m、北峰2393m) 
常念岳 [じょうねんだけ] (2857m)
蝶ヶ岳 [ちょうがだけ] (2677m)
涸沢カール [からさわかーる] (2400m) 
雨飾山 [あまかざりやま](1963m)
燕岳 [つばくろだけ](2763m)


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一昨年から山に登りはじめた。
きっかけは「富士山に登りたい。なぜなら日本一だから」と思ったことだった。
ちゃちゃっと登って、ちゃちゃっと降りて帰ってくりゃいいじゃんと軽く考えていたが、賢明な妻にそんな簡単に行けるところではないと諭され、徐々に道具をそろえていった。
余談だが私は学生時代に日本100名山の一つ山形県と福島県にまたがる吾妻山を舞台にした8mm映画を撮っている。社会人になってからも長野県塩尻市近郊の高ボッチ山(1665m)や、日本100名山の一つだが今は完全に観光スポット化している美ヶ原(2034m)でも映画を撮っている。もともと割と山は嫌いじゃないのだ。

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2009年はバスやロープウェイ利用で比較的簡単に登れる山を日帰りで登った。(私は長野県松本市のそばに住んでいるので山が近い)

乗鞍岳(3026m)
多分日本一手軽に行ける3000m峰。バスで2800m地点くらいまで行ける上、そこから頂上までは道も広くこれといって難所もなく観光客も多く山小屋もある。ビーチサンダルで登る女子高生もいたくらいだがそれはいくら何でも若気の至りなのでやめた方が良いだろう。

御嶽山(3067m)
ロープウェイ利用で比較的短い時間で頂上までいけるけれども、それでも中々に本格的な登山を満喫できる。樹林帯を通り森林限界を越えて岩のゴロゴロした道を登る。傾斜のきついところもあり楽には登れない。独立峰ならではの雄大さを味わうことができるはず。頂上は残念なことに雨と風が強く眺望を楽しむでもなくお鉢のそばの山小屋に駆け込む。そういえばここを登る少し前に「劔岳 点の記」を観てテンションをあげていた。

木曽駒ヶ岳(2956m)
これもロープウェイで有名な千畳敷カールまでまっすぐ・・・と言いたいところだが登山客が多くロープウェイは2時間待ち。千畳敷カールから乗越浄土まではかなり傾斜のきつい岩場の上り。そこをすぎるとなだらかな山頂部を楽しくハイキングできる。私らは最高点の中岳ではなくあえて、伊奈前岳の方を目指し初めての稜線歩きを楽しんだ。

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そうして2009年は過ぎた。
2010年の春に短編映画の撮影をし、その映画のスタッフ・キャストの女性2人を巻き込んで2010年の夏山シーズンに入る。
というか、最初は「富士山に登る」それだけのつもりだった

八ヶ岳山系 硫黄岳 (2760m) [何度でも行きたくなる山]
2010年6月と9月の2回アタック。2回目で登頂。最初は富士山前の予行演習として登った。
長野県茅野市から八ヶ岳方面に向かい、未舗装の山路を車で上り(途中車で沢の中に入って渡るところもある)桜平駐車場というところまで行く。
そこから歩き。山頂までに山小屋は三つありほぼ一時間間隔。私らは力がなく足も遅いが、それでも往路4時間復路3時間くらいで行ける。
しかし、6月に最初に登った時は雨と風で登頂を断念。9月にリベンジ達成した時は晴天に恵まれた。

眼前には八ヶ岳山系の最高峰赤岳(2899m)がそびえ、背後には天狗岳(2646m)から蓼科山(2530m)へと続く峰々が連なる。
山頂部は広く休憩に最適。来年は絶対にあの目の前の赤岳に登ろうと強く誓った。
日帰りもできるし、山小屋泊やテント泊もできるし、稜線歩きで縦走もできるし、山小屋は沢山あるし、水場もあるし、登山なら何でも楽しめそうな山が八ヶ岳だ。


霧訪山(1305m)[ウシアブに気をつけろ]
塩尻市と辰野町にまたがる里山。富士山予行演習の八ヶ岳を雨で断念したので、近場で低くていいから登ろうと富士山メンバーの一人がチョイスした。低いので頂上にも木や茂みがあるが、それでも塩尻から松本平への眺望を楽しむことができる。低く短いちはいえ傾斜は結構きつく、特に下りは足にくる。頂上ででかいウシアブに足を刺された。めちゃくちゃ痛い。へたな注射より痛い。スポーツ用のタイツをはいていたが奴はお構いなくタイツの上から刺してきた。実は今でも刺された後が残っている。以来、山登りの際には必ずポイズンリムーバーを持ち歩くようにした。


富士山 (3776m) [日本一ってやっぱ最高]
7月の中旬に登る。詳細は別記事富士登山記を参照。
人の多い富士吉田ルートを避けて須走ルートから登る。登山口の標高は1900mくらい。頂上までの標高差は2000m近くあるし、なんだかんだで道は長いし、上の方では気圧が低くて頭は痛くなるし、なんだかんだで日本で一番遭難の多い山というのもわかる。それでも人が多いので精神的に楽だし、道は整備されていて登りやすいし、山小屋が多いので水も食べ物もそんなに持ち歩かなくてもよいしトイレにも不自由しないし、やはり登りやすい山ではあると思う。
何つっても御来光は本当に感動もの。

そして「日本で一番高いとこに立ってる俺」気分が味わえるのはやはりいい。
富士山を降りて私と妻は、70~80リットルのザックとテント、シュラフなどを買い込んで、本格的に山登りにハマりはじめたのだ。

焼岳 (南峰2455m、北峰2393m) [登山は曇れば辛いだけ] ※南峰は立入り禁止
お盆休みに登る。その日はどんより曇っていて小雨がぱらつく天気で、眺望はほとんど楽しめず。
我々は上高地から入山し、はしごの連続を経て、高さ7mはあろうかという大はしごを超えて、焼岳小屋に到達。

そこから小ピークを二つばかり越えて山頂へと向かう。小屋から頂上までの道のところどころに蒸気の噴出口があり、暖かくて気持ちいい。北アルプス唯一の活火山で、頂上は硫黄臭が漂い、噴気孔からゴーゴーと音を立ててガスが噴出している
(頂上もこんな感じに真っ白)
地図では往復7~8時間のように書かれていたが、我々は往復12時間を要した(休憩込み)。特に小屋から頂上までのコースタイムは地図には1時間と書かれていたが、よほどの健脚でないとその時間で行くことはできないと思う。
もっていたコンロが壊れて火がつかず楽しみにしていた山でのコーヒーを諦めようとしたとき、西穂高から降りてきたといういかにも登山慣れしている方がライターで火を付けてくれた。
「山登りにいくならライターはあった方がいい」とまた一つ勉強になった。タバコをやめて4~5年になるがまだ家にはそのころ買い込んだライターが山のようにあったので、現在は登山用のアイテムとして活躍中。
すっかり日も暮れてから上高地に帰還し、タクシーを拾った。そのタクシーの運転手さんが言うには上高地からではなく上高地の手前、安房峠にある中の湯温泉からの新中の湯コースの方が片道1時間くらい早くつくとのこと。(釜トンネルの入り口からつづく旧中の湯ルートはほぼ廃道化しており危険だとも言っていた。)


常念岳 (2857m) [眺めは最高級]
蝶ヶ岳 (2677m) [だだっ広い頂上平の開放感が素敵]

初めてのテント泊。初めての縦走。地獄のように苦しく、天国のように美しい、思い返せば2010年で一番楽しかった登山。
常念岳は日本100名山の一つ。安曇野のシンボルとも言われ、塩尻と松本の境目に住む私の家からでもその姿ははっきり見える。
JR穂高駅からタクシーで常念岳の一の沢登山口へ。常念乗越の小屋前でテントを張り、翌日は常念岳山頂から蝶ヶ岳へと稜線沿いに縦走して蝶ヶ岳ヒュッテでテント泊。3日目は雨の中、長壁山経由で上高地へ下る。

一日目の登りは結構な距離だがこれといった難所はなく、休憩適地も要所要所にあり楽しく登れた。
テント泊は楽しい。わざわざ持っていった2000円のワイン「ガヴィ・ディ・ガヴィ」(イタリア・白)を飲んで寝る。
常念小屋から見た常念岳。

2日目は快晴。常念岳の頂上からは、目の前に北アルプスの2大スター穂高岳と槍ヶ岳のお2人がどーんとそびえ、御嶽、乗鞍、八ヶ岳、立山に劔まで観放題の大パノラマ。最高に美しい。
(バックでちょこんと飛び出ているのがかの有名な槍さん)
(槍の頂上にいる標的を狙うゴルゴの気分)

しかし・・・そこから蝶ヶ岳への縦走は地獄だった。段差のある岩場を400mくらい下って、樹林帯の中を何度も登ったり降りたり、ようやく蝶ヶ岳の頂上平に取り付いたのは出発してから9時間は経った頃だった。
けれども、そんな私らへのご褒美のように蝶ヶ岳の頂上平からの絶景が待っていた。常念岳の頂上よりも穂高連峰がより近くなり大迫力。
(蝶の頂から見た穂高さん)
なだらかな頂上平を1時間ほどかけて蝶ヶ岳ヒュッテへ。

3日は雨の中できるだけ短い時間で上高地へ降りようと、上高地への最短ルート長壁山コースを降りたが、ここがきつかった。コースは9割9分は樹林帯の中のため眺望はなし。山小屋はおろか腰掛けるようなベンチもない(晴れていればその辺にしゃがみ込めば良いのだが、雨のためコースはどこもかしこもぬかるんでいてとても座れない)。人の気配はなく、そして斜面は急で木の根っこに被われた道は岩場よりも滑りやすくて体力を奪う。そんな道を4時間くらい歩いてようやく上高地の徳沢山荘の屋根が見えてきた時、「生還した」と心から思った。

そうした苦労も思い返すと楽しい。常念岳山頂と蝶ヶ岳山頂からの眺めは2010年の絶景ベスト1、ベスト2だ。


涸沢カール (2400m) [楽しい楽しいテント泊]
富士山メンバーをまた誘い、彼女らには山小屋のレンタルテントを利用してもらい、山仲間とテント泊ツアー。
9月の中旬に行く。僅かに紅葉の時機を逃した。

上高地から梓川に沿って横尾までの3時間は特に面白くもおかしくもないが、そこから穂高方面への登山道が始まると一気に楽しさが増す。
屏風岩を見ながら歩き、本格的な上りに入りそして着いたのは、北アルプス最大級のテント場である涸沢カール。
奥穂高岳(3190m)、北穂高岳(3106m)、前穂高岳(3090m)に囲まれ、谷の向こうには常念岳がどっかりとそびえて、頂上の開放感はないけれどとてもいい気分
(夕日に染まる穂高さん)

もう少し経験を積んでからと思い、奥穂も北穂も登らずに翌日はそのまま上高地に下山したけれど、来年もまた来ようと思わせる何かが涸沢にはある。ていうか今度来た時は奥穂高を目指す。
余談だが涸沢の山小屋で働く女の子はとても可愛かった。常念岳や蝶や八ヶ岳よりも女の子レベル高し。


雨飾山 (1963m) [低いからってなめるな]
これも日本100名山。登山道の入り口にあるキャンプ場は水が使い放題で過ごしやすい。キャンプ場に前泊して翌朝から頂上を目指す。
2000mに満たない山ながら、道のりは結構長くきつい。樹林帯のアップダウンは体力を使い、そこを過ぎて来るのは段差のある岩場。帰り道で転んでストックをダメにしてしまった

2000mに満たないとはいえ、この山から海岸まで遮蔽物がないため、晴れていれば頂上から日本海のパノラマを満喫できる。私が登ったときは頂上を境に長野県側に厚い雲が広がり、新潟県側はよく晴れていたので日本海を遠望できた。はるかユーラシア大陸まで見えるような気がした。
(雨飾山の頂から日本海を見る)

10月の始めだというのに登山客が多く頂上は混雑していた。ただし中高年層が圧倒的で「山ガール」には1人も遭遇しなかった。そういう意味で北アルプスの華やかさはないが、いい山だった。

燕岳(2763m) [ブロッケンとご対面]
2010年度シーズンの最後に登った山。10月中旬ごろ登る。朝は霜柱が立っていた。
車で中房温泉に行き、そこから登山開始。「北アルプス三大急登」といううたい文句の道だけに、どれほどキツイのかと覚悟して登りはじめたが・・・あれ、もう終わり?と意外なほどあっさりと燕山荘に到着。(焼岳や常念岳の方がよほどきつかった)
この辺の小学生や中学生が遠足で登ったりもする山らしい(私は信州育ちではないのでその辺の事情にうとい)。燕山荘前のテント場にテントを張って軽装で燕山頂を目指す。
頂上付近は花崗岩の白くて丸っこい岩がにょきにょき生えていて妙にファンタジック。
(燕頂上付近のイルカ岩。こんなのがたくさんある)
常念岳より北にある燕岳からは、槍ヶ岳がまた違った姿を見せる(大槍と小槍の両方が見える)。そして常念岳からは見えなかった北アルプス最深部の山々、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳のだだっ広い山容が広がる。

燕山荘でビールを飲んでいると、山荘の女の子が食堂に駆け込んできて「ブロッケン」が見えますよと叫んだ。
外に飛び出してみると、まさしくブロッケン現象(霧のスクリーンに虹のリングをまとった自分の影が写る)を目の当たりに
(写真だとよく判りませんが)
新田次郎著の「槍ヶ岳開山」で播隆上人が笠ヶ岳と槍ヶ岳の頂上でご来迎を見るくだりを思い出す。シーズン最後にいいものを見れた。山の神(というと東洋大の柏原くんみたいだが)がご褒美をくれた様に思えた。

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そんなこんなの2010年の山シーズン。
2011年は、槍ヶ岳、奥穂高、西穂高、白馬、赤岳(八ヶ岳)、笠ヶ岳、霞沢岳、浅間山、谷川岳、甲斐駒・仙丈・・・登りたい山が多すぎて困っちゃう。でもとりあえず、家のすぐ裏手の鉢伏山(1928m)に行ってみよう。
妻は来シーズンは冬山も行こうと言い出すし、どうなっちゃうんだ俺たち。
そんな私のおすすめ漫画はもちろん『岳』(石塚真一)。おすすめ小説は先にも触れた「槍ヶ岳開山」(新田次郎)。
2011年の楽しみの映画はオグシュンとまさみちゃんというキャスティングに疑問を抱きつつもやっぱり『岳』
そして今、2年前に美ヶ原(2034m)で撮った8mm映画を編集中。
蝶ヶ岳のだだっ広い頂上平で映画撮りたいな・・・と脚本構想中・・・といっても機材とかキャストの登山特訓とか実現は難しいかな・・・

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[余談]
妻と「山の名前を英語にしてみよう」遊びをした

劔岳 → Mount Sword
槍ヶ岳 → Mount Spear
燕岳 → Mount Swallow
駒ヶ岳 → Mount Horse
八ヶ岳 → Eight Mountains
立山 → Mount Standing
焼岳 → Mount Burning
・・・などと来て「御嶽」って?
色々考えた結果
「御嶽 → THE MOUNTAIN」がいいのでは・・・と

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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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2 コメント

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ブロッケン (iina)
2011-05-20 11:15:58
ブロッケンを見たのですね。iinaは富山の魚津で蜃気楼の方を見ました。昔の人は、
神様があらわれたと拝む気持ちも理解できます。
リスト内では、八ヶ岳を登りました。横岳からは岩場ばかりで疲れました。
富士山は3度登り、ご来光、砂走りそして富士全景の影を見ました。
最近は、山登りもスキーもせず、もっぱら温泉めぐりです。
返信する
コメントありがとうございます (しん)
2011-05-24 00:00:37
>iina様
今年の春に富山県は魚津にすし食べに行ったのですが、ちょうど冬の蜃気楼と春の蜃気楼の境目でぎゃくにあまり蜃気楼の出ない時期だったので観ることはかないませんでした。

八つには私も今シーズンもう一度いってみようと思います。今度は最高峰の赤岳から横岳へと回ってみたいなと思ってます
そして山帰りの温泉も今年のテーマで、西穂、白馬などでいい湯につかりたいと思ってます
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