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【妻たちの手記】連載(4)「夫は、死ぬ場所を求めて家に戻った」

2012-09-09 19:13:27 | 妻たちの手記
「夫は、死ぬ場所を求めて家に戻った」

 今回は『日本は幸福か 過労死・残された50人の妻たちの手記』より、シャッター会社で働いていた夫を過労により1988年6月25日に亡くされた妻松村さんの手記を紹介します。

 大学を卒業して文化シャッター株式会社に就職した村松さんの夫は、入社時から営業の仕事を行ってきました。営業の仕事が好きだった夫。営業マンとしておしゃれにもとても気を遣い、妻の村松さんは、ワイシャツやネクタイを新調するときの夫のうれしそうな顔が好きでした。

 しかし浜松市の営業所長に栄転になった1986年頃から、村松さんの夫はしだいに顔に疲れを滲ませるようになりました。浜松市は静岡県内では最も人口が多く、競争も激しい都市でした。接待で毎夜遅くなり、翌朝も早いことから、ビジネスホテルなどに泊まることも多くなり、一週間のうちに自宅へ帰ってくるのは半分ぐらいになりました。

 さらに1988年4月、今度は中部地区を統括する静岡工事センターの所長に配転の辞令が出されました。19年間一貫して営業部門で頑張ってきても、辞令一本で、畑違いの仕事を任されることになりました。夫の落ち込みは大きく、夢も希望も失った思いだったといいます。工事センターの仕事はかなりきつく、また家庭経済も圧迫するようになりました。管理職だったため、時間外勤務手当も休日出勤手当もありませんでした。

静岡工事センターへの勤務は、今までよりさらに遠くなるため、村松さんの夫は単身赴任を余儀なくされました。1988年6月25日、自宅にはめったに帰って来られなかった夫が、浜名湖のホテルの仕事があったからと言って久しぶりに帰ってきたその夜、くも膜下出血で倒れ亡くなりました。

 村松さんの夫が亡くなった時、会社は退職金650万円と、亡くなった月の働いた日数分だけの賃金を送ってきました。亡くなってからの分は、欠勤扱いできっちり賃金カットされていました。会社は夫に、本人も知らないうちに8社の生命保険をかけており、保険金はすべて会社が受理しました。労災申請をしようとしても、上役たちが夫の過重業務に対して発言しないよう社内に言い渡しており、同僚の口はかたくなに閉ざされています。

 夫は営業が好きで、ネクタイを選ぶときはうれしそうで、そのときの顔が好きだったという妻の村松さん。友人でも、家族でも、大切な人の笑顔が好きだというささやかな幸せを、会社の勝手都合な辞令によって失われてよいわけがありません。さらに村松さんの夫が亡くなって以降の会社の対応をみても、この会社にとっては社員一人が亡くなったことに対して何の反省もないことがわかります。

 以下は妻の村松さんの手記です。

 大学時代から夫を見てきた私は、夫が就職後、会社の中で企業戦士として教育され、作り上げられていく過程をずっと見てきました。夫は「男子」としての本分を、多少のエリート意識と出世欲に置き換え、自分の働きすぎを納得していたのです。自己満足に形作られた無言の強迫体制が、企業内には渦巻いています。会社人間は、お互いにお互いの首を絞めているように、私には思われます。

 みんな辛くてもがんばっているからといって、我慢して働く。一見正当のようで、これが「無言の強迫」となり、過労死するほどの働き方につながってしまいます。さらに今回の村松さんの会社のように、企業は働かせるだけ働かせて、いざその人が倒れてしまっても、あとは適当なお金を払って使い捨てることができてしまいます。つらかったり、おかしいと思ったら、我慢するのではなく声を上げる。そうすることが、自分だけでなく、周囲の人々を助けることにもつながるはずです。



***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
署名用紙≫(ココをクリックお願いします)をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。

まずは過労死のことや過労死防止基本法を多くの人に知っていただきたいので、ツイッターでつぶやくなどして広めてもらえると助かります。記事の一番下についているボタンからも気軽にツイートできますので、ぜひともご協力お願い致します!
 

連絡先】 ストップ!過労死 過労死防止基本法制定実行委員会
HP:http://www.stopkaroshi.net/
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