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大切な人を働きすぎから守るための法律をつくるために署名を呼び掛けています。

【事例紹介】1999年 ニコン職場の過労自殺事件を紹介します。

2012-01-30 21:10:15 | 事例紹介
 ニコン職場の過労自殺事件

 1999年3月10日、大手カメラメーカーのニコンで働いていた上段勇士さん(23歳)が寮の中で首を吊って自死している遺体が発見されました。上段さんがニコンの職場で働き始めて1年半にもならないうちでの出来事でした。

 上段さんは97年9月、人材派遣会社ネクスター(後にアテスト)の社員募集に応募して、ニコン熊谷製作所で働くことになりました。このとき、上段さんは形式上請負社員でありながら派遣先のニコン社員の面接を受けました。実際に労働者の適格性を判断し仕事を指揮監督するのはニコンであり、ここでは偽装請負が行われていたのです。

 上段さんの仕事は、クリーンルーム内での「社内検査」、ステッパーの精度や異常の有無などの検査でした。上段さんの仕事場であるクリーンルームへの入室には防塵服、帽子、クリーン靴の着用が義務付けられており、着衣の不便さもさることながらトイレや休憩施設がないため、3週間で1サイクルの三組二交代制で行われていた夜勤時に仮眠をとることもできませんでした。

 また、98年の3月と12月には台湾へ、7月は宮城県へと「納入検査」のため出張しており、その間は納期に縛られて過度の残業や休日労働を余儀なくされていました。このように正社員と同等の仕事内容でありながら、ニコンの請負・派遣社員削減の方針のなかでリストラの不安にさらされて休暇を取ることもむずかしい上段さんの疲労は相当なものでした。

 98年の春ごろから不眠と日中の眠気、慢性的な胃腸の不調に苛まれ、夏から秋にかけて「食べ物の味がわからない」ようになるなど、上段さんは母ののり子さんにより深刻な症状を訴えるようになりました。9月には電気主任技術者(第二種)資格試験のための勉強を始めますが、過労による記憶力と集中力の低下、目の重苦しさ、激しい頭痛、胃痛の再発などの症状が現れ、「簡単な単語を何度も打ち間違える」と頻繁にのり子さんに訴えていました。

 すでに蓄積された疲労は限界に近いものでしたが、最後に上段さんを追い詰めたのは、99年1月24日から2月7日まで連続15日間の勤務を強いられた「ソフトウェア検査実習」でした。高度な知識と本来は1年以上の経験を要する難しい作業でしたが、未経験の上段さんに割り当てられ、拘束時間は15日間で186時間、1日あたり約12時間半にも及びました。この期間中ふつうに休暇を取得するニコン社員もいる中、上段さんは3日間は指導員の帰宅後に一人で、また別の3日間は指導員がいない中で「実習」しなければなりませんでした。

 この激務の後、上段さんは退職を決心して、その月の23日と24日にはネクスターの係員に月末には退職する希望を伝えるも満足のいく回答は得られず、翌月に自ら命を絶たれてしまいました。


 派遣元および派遣先への損害賠償責任

 本事件では地裁、高裁ともに、母のり子さんによるニコンおよびアテスト(旧称ネクスター)への損害賠償請求が認められました。地裁での一審判決は、派遣先と派遣元の損害賠償責任をはじめて認定した画期的な判決です。正社員と変わらぬ重い仕事責任を課しながら、休暇取得などがよりむずかしい非正規労働者を使い捨てた責任を、派遣会社だけでなくニコンのような派遣先の大企業にも課したのです。このことの意義はきわめて大きいといえるでしょう。


 今回の判決で、雇用関係にある派遣元だけでなく、過労自死するような労働を認め横行させる派遣先の責任も問われました。これは過労をせまる社会自体がおかしいということではないでしょうか。過労死防止基本法で訴えていることと同じです。過労死はあってはならないと国、社会全体で宣言し、過労死をなくすために国が取り組むことを法律に書き込んで、はっきりと社会の約束事にするためにも過労死防止基本法の制定が必要です。
(京都大学理学部一回生)


(参考文献) 熊沢誠『働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史』岩波書店 2010




***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
署名用紙≫(ココをクリックお願いします)をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。

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