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【事例紹介】2001年 国立循環器センターでの看護師の過労死事件を紹介します。

2012-02-16 20:53:24 | 事例紹介
  国立循環器病センターの看護師の過労死事件

 2001年2月13日、国立循環器病センターで看護師として働いていた村上優子さんがくも膜下出血で倒れ、3月10日に亡くなりました。くも膜下出血は25歳の若さで起こる死因としては非常に珍しいものです。このことから、優子さんの死の原因はストレスと過労ではないか、と両親が公務災害申請をしましたが却下され、安全配慮義務違反にもとづく損害賠償請求を求める裁判では大阪地裁で敗訴、大阪高裁・最高裁で上訴を棄却されました。しかし、公務災害として認めるよう求めた行政裁判において、大阪地裁で優子さんの死は公務災害として認められ、大阪高裁でも勝訴、国が上告を断念して2008年10月30日に判決が確定しました。

 行政裁判の争点となったのは、超過勤務時間の長さと、勤務時間間隔の短い看護師の夜勤変則交替制の過重さでした。国側が超過勤務命令簿をもとに時間外労働は月平均16時間だったと主張したのに対し、優子さんのご両親は優子さんの友人あてのメールなどから勤務開始前の情報収集をもとに、日勤・準夜・深夜勤務後の超過勤務、看護研究の準備、新人教育などの時間外の拘束労働時間は倒れる直前の一か月で88時間、看護研究の資料を自宅に持ち帰っていたことを考慮すれば月100時間を超えていたと主張しました。大阪地裁は1ヵ月あたり約50~60時間の超過勤務があったことや、勤務時間の間隔が5時間程度しかない日が月平均5回もあったなど看護師の夜勤変則交替制の過重性を認め、優子さんの死は公務災害であるという判決が確定しました。

 ある日には「今日は深夜明けだったんですが、さすがに今日は疲れたーって感じでした。だって、昨日(10月4日)の日勤(8:30~17:00)が忙しくて、帰ったのは22時前でした。だから、寝る時間がほとんどなくってそのまま深夜(0:30~9:00)に突入。もう始まったときからふらふらでしたね。」【10月5日メール記録】というような状況だったことからも、超過勤務時間の長さと変則交替制の過重さがわかるのではないでしょうか。

 優子さんが働いていた国立循環器病センターの脳神経外科病棟は、瀕死や重症・高齢の患者が多く、肉体的・精神的負荷の大きい現場でした。例を挙げれば、村上さんが倒れた2月13日の脳神経外科病棟は、39床の満床であり、そのうち一人で歩ける患者は15人のみだったと日誌にあります。それは多くの患者さんの移動や着替え、床ずれを防ぐための体位変換などにおいて患者さんの全体重を支えなければならないことを意味しました。先輩看護師がぎっくり腰になった、優子さんも腰を痛めて整体へ通っていたというメール記録が残っています。また、11月から3月は寒さで患者が増える時期でもありました。

 この事件には、看護師の仕事の過重さを見ることができます。看護師の労働条件は30年以上前からその過重性が叫ばれ、看護師の入れ替わりの激しさや若年化、職場流産など多くの問題を生み出しています。その原因は、深夜勤務を含む交替制や長時間の時間外労働にあります。村上優子さんの過労死も、そんな医療現場の過重労働からくるものだといえます。

 優子さんも、1997年に就職してからの勤務経験は3年11か月でしたが、教育担当係になっていました。また、優子さんの職場の平均年齢は婦長を含めても26歳で、配置されていた21名の看護師のうち5名が新人という状況でした。

 看護師が過労死するような医療現場で、患者さんの命を預かっていてよいのか?という問題提起は幾度となくなされています。現在も、医療現場は医師や看護師の責任感や個人の頑張りによってギリギリ維持されている状況です。過労死するほどの長時間労働をさせる職場はおかしいんだ、という社会的合意を作ることで、医療現場の労働条件の改善にもつなげていけたらと思います。
(龍谷大学社会学部4回生)

参考文献

熊沢誠『働きすぎに斃れて』(岩波書店) 2010

看護師・村上優子さんの過労死認定・裁判を支援する会HP http://www.pure.ne.jp/~umasuhe/index.html



***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
署名用紙≫(ココをクリックお願いします)をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。

まずは過労死のことや過労死防止基本法を多くの人に知っていただきたいので、ツイッターでつぶやくなどして広めてもらえると助かります。記事の一番下についているボタンからも気軽にツイートできますので、ぜひともご協力お願い致します!
 

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