過労死防止基本法制定を求める署名にご協力ください!

大切な人を働きすぎから守るための法律をつくるために署名を呼び掛けています。

【事例紹介】1995年 オタフクソースの過労自死事件を紹介します。

2012-02-14 16:47:33 | 事例紹介
 オタフクソース過労自死事件

 この事件は、24歳の若者が過労自死に追い込まれてしまった事例です。

 木谷さんは大学を卒業した後、地元の広島での就職を希望して1993年春にオタフクフーズに入社しました。その後、子会社のイシモト食品に転籍となり、多品種少量生産を主に行っていました。これは、老舗料亭の発注に応じて原料や調味料を配合して注文通りのソースをつくる作業です。研究室から届いたレシピにもとづいて砂糖などの調味料を釜へ投入し、できたサンプルを試験室に送り、OKならできたソースを貯蔵タンクへ転送し、最後に釜を洗う、という作業です。1工程20分から60分の作業ですが、それぞれの作業は分刻みで行われていました。

 労働環境

 原料を混ぜ合わせる釜は、60度から100度まで熱処理して使用するため、現場は非常に暑く、夏場では40度近くにもなりました。会社は現場に温度計や湿度計を置いておらず、食品衛生の観点から窓は閉め切られていて、スポットクーラーは粉塵を起こすおそれがあるので作業員からは離れた場所に設置されていたので、冷房効果はありませんでした。そのなかで、木谷さんは長靴を履き、汗まみれになり、重い原料をもって釜と材料置き場を往復していたのでした。木谷さん自身、脱水症状や熱中症で作業中に倒れたこともありました。

 業務内容の過重性に加えて、労働時間も非常に長く、木谷さんは亡くなる前の3カ月間は、1日平均11時間から12時間も在社していた状況でした。

 職場の状況

 木谷さんの職場には3人の担当者がいました。そのうちの1人は、ケアレスミスが多く、作業を中断したりソースを作り直さなくてはいけなかったこともありました。指導をしていましたが、ミスは改善されませんでした。そこに会社は未経験者とアルバイトの2人を新しく配置し、しかもベテランの指導者を配置転換しました。その後、現場で原料の入れ違いなどのミスが続き、彼らの不十分な作業をカバーする労苦が木谷さんにかかってきました。

 そのころから、木谷さんは目の下にクマができ、かなりやせて元気がなくなり、これまででていた週2日のバトミントンの練習にも参加しなくなりました。不眠を訴えるようになり、デートの予定もキャンセルするようになりました。いくら指導しても改善されないために木谷さんは、ついに辞めたいと上司に言いましたが、「ここを辞めてあてがあるのか」と引き留められました。そして、1995年9月、木谷さんは特注ソース製造部門の現場で過労自死されました。

 闘いの過程

 木谷さんの死後にお母さんが取り組まれた友人・同僚・上司からのヒアリングの内容が認められ、1997年に労災認定がなされました。その後お母さんは、会社の責任を問うために民事訴訟を起こします。会社は裁判の中で業務の過重性を否定しましたが、裁判所の現場検証や労働時間を示す資料によって過酷な労働環境や不適切な要員配置が明らかになりました。裁判所は全面的に遺族の主張を採用し、オタフクソースとイシモト食品の責任を認める判決を下しました。

 過酷な労働環境にもかかわらず、会社はなんの措置もとってきませんでした。若者が働きすぎで燃え尽きてしまう職場。そのような職場を放置したままでよいのかということが、この事例から問われていることではないかと思います。
(京都大学経済学部二回生)


(参考文献)熊沢誠『働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史』岩波書店 2010




***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
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