乳がんになって初めてわかることがたくさんあった。
癌は、0か100、つまり「癌細胞」か「癌でない細胞」、すぐに判別できるものだと思っていた。
しかし、そうではない。細胞診をするとクラスⅠからクラスⅤまでに分けられる。
Ⅰは正常な細胞で、Ⅴは癌細胞。ビミョ~な細胞っていうのもあるのだ。う~ん、わかりにくい。
乳がんと一言に言うが、乳がんにもいろんな種類がある。
正確には覚えていないのだが、私の乳がんは良性の乳腺症の中に、癌細胞が点在していたというようなことを聞いた記憶がある。
それで探すのが難しいかったのかな。
空港にある金属探知器みたいな機械で「はい、あなたは癌です。」「はい、あなたは大丈夫。」と明確に簡単にわかればいいのに。
人間の体って、複雑だあ・・・。
がんだとわかり、3日後には入院、7日後には手術することになった。
都会の病院では2カ月待ち、3カ月待ちは当たり前。それを思うとバタバタした日々が続き、落ち込む間がなかったのは私にとってはよかった。
手術で、がんを取り除いたら終わる。手術をすればゴール。最初、こんなふうに考えていた。
でも、これも大間違い。手術がゴールではなくスタートだったということは、間もなく、わかることになる。
現在、乳がんで入院すると1~2週間で退院して、術後の放射線療法、ホルモン療法、化学療法は外来行うことが多い。
手術の前に化学療法を行う、術前化学療法も一般的になった。これも外来で行うことが多い。
しかし私が入院していた時期は7年前で、手術後の放射線療法や化学療法は3か月ほど入院して治療を行っていた。
入院した病室は4人部屋。ちょうど同じような年代の女性で、乳がん患者さんが複数いた。これが私にとって、とてもありがたかった。
気の合う友達と合宿しているような感覚で、治療のことも気兼ねなく話し合えたし、バカ話して大笑いしたり。
あまり落ち込むこともなく治療に向き合えたのも彼女たちのおかげだと思っている。彼女たちに出会えたことは、今でも感謝している。
ただ、一度だけ、入院中深く落ち込んだことがある。
手術で切り取った乳がんの病理検査が出た時だった。
右乳房温存手術で切り取った乳がんは硬癌、大きさ3センチ。
ホルモンレセプター(+)Her2(-)。リンパ節転移36個中21個。
腋の下にリンパ節というものがあり、ここに転移していないのが望ましい。
しかし、リンパ節転移が多ければ多いほど、たとえ乳がんを切り取ったとしてもたんぽぽのわた毛のように、微小癌細胞が体中に広がっている危険性がある。
1個や2個でなく、21個も転移があるとは・・・。
このときばかりはもう駄目だと思った。
当時小3の子どもが、小学校を卒業まで私は生きていられるのか?と本気で思った。
でもその気持ちを立て直せたのも、同室の友人のおかげ。
12時を過ぎてもショックで眠れず、グズグズ泣いていた私を「真夜中のコーヒー」に誘ってくれたのだ。
一杯のあたたかいコーヒーと彼女の笑顔に救われた。
あの時のコーヒーの味をいつまでも忘れない。
本当にありがとう。
(つづく)
癌は、0か100、つまり「癌細胞」か「癌でない細胞」、すぐに判別できるものだと思っていた。
しかし、そうではない。細胞診をするとクラスⅠからクラスⅤまでに分けられる。
Ⅰは正常な細胞で、Ⅴは癌細胞。ビミョ~な細胞っていうのもあるのだ。う~ん、わかりにくい。
乳がんと一言に言うが、乳がんにもいろんな種類がある。
正確には覚えていないのだが、私の乳がんは良性の乳腺症の中に、癌細胞が点在していたというようなことを聞いた記憶がある。
それで探すのが難しいかったのかな。
空港にある金属探知器みたいな機械で「はい、あなたは癌です。」「はい、あなたは大丈夫。」と明確に簡単にわかればいいのに。
人間の体って、複雑だあ・・・。
がんだとわかり、3日後には入院、7日後には手術することになった。
都会の病院では2カ月待ち、3カ月待ちは当たり前。それを思うとバタバタした日々が続き、落ち込む間がなかったのは私にとってはよかった。
手術で、がんを取り除いたら終わる。手術をすればゴール。最初、こんなふうに考えていた。
でも、これも大間違い。手術がゴールではなくスタートだったということは、間もなく、わかることになる。
現在、乳がんで入院すると1~2週間で退院して、術後の放射線療法、ホルモン療法、化学療法は外来行うことが多い。
手術の前に化学療法を行う、術前化学療法も一般的になった。これも外来で行うことが多い。
しかし私が入院していた時期は7年前で、手術後の放射線療法や化学療法は3か月ほど入院して治療を行っていた。
入院した病室は4人部屋。ちょうど同じような年代の女性で、乳がん患者さんが複数いた。これが私にとって、とてもありがたかった。
気の合う友達と合宿しているような感覚で、治療のことも気兼ねなく話し合えたし、バカ話して大笑いしたり。
あまり落ち込むこともなく治療に向き合えたのも彼女たちのおかげだと思っている。彼女たちに出会えたことは、今でも感謝している。
ただ、一度だけ、入院中深く落ち込んだことがある。
手術で切り取った乳がんの病理検査が出た時だった。
右乳房温存手術で切り取った乳がんは硬癌、大きさ3センチ。
ホルモンレセプター(+)Her2(-)。リンパ節転移36個中21個。
腋の下にリンパ節というものがあり、ここに転移していないのが望ましい。
しかし、リンパ節転移が多ければ多いほど、たとえ乳がんを切り取ったとしてもたんぽぽのわた毛のように、微小癌細胞が体中に広がっている危険性がある。
1個や2個でなく、21個も転移があるとは・・・。
このときばかりはもう駄目だと思った。
当時小3の子どもが、小学校を卒業まで私は生きていられるのか?と本気で思った。
でもその気持ちを立て直せたのも、同室の友人のおかげ。
12時を過ぎてもショックで眠れず、グズグズ泣いていた私を「真夜中のコーヒー」に誘ってくれたのだ。
一杯のあたたかいコーヒーと彼女の笑顔に救われた。
あの時のコーヒーの味をいつまでも忘れない。
本当にありがとう。
(つづく)