ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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みずほ証券『元本戻る』と主婦騙し一審全面敗訴

2015年01月27日 | Weblog

 平成二十六年十一月二日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「みずほ証券『元本戻る』と主婦騙し一審全面敗訴」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 みずほ証券の外務員が、主婦4人から大金を騙し取ったとして、会社の使用者責任を問うている事件がある。一審判決文や訴状、準備書面、陳述書などの裁判資料によると、原告4人は、いずれも埼玉県南東部に住む主婦。
原告の1人の飯田郁世氏(仮名、当時54歳、未亡人、近所のブティックのパート販売員)は、05年12月7日、仕事中に、顔見知りの人物が近寄ってきた。


 それは、みずほインベスターズ証券(13年1月から「みずほ証券」に改名。以下、「みずほ証券」という)池袋支店の外務員で、埼玉県南東部に住む釜田篤枝氏(仮名、当時64歳)だった。
釜田氏は、こう話しかけてきた。「銀行に預けておくより、いいものがある」
しかし、飯田氏は、「あんまり危ないことはしたくない。よく分からないし、利息は低いけど、銀行なら安心でしょう」と断った。


 すると、釜田氏は、こう切り返した。「銀行なんかより、ずっといいわよ。預けたのは、みんな、ちゃんと戻ってくるんだから。配当がいいだけ銀行よりましじゃない。元本は保証されているんだから。絶対損させないし」
大企業「みずほ」の社員が強く言うのをみて、飯田氏はその言葉を信じた。


 こうして、釜田氏の持ってきた申し込み書に署名、押印し、一緒に銀行へ行って、夫の保険金から1000万円をおろして渡した。
さらに、その5日後の12月12日に1000万円、翌月06年1月27日500万円など、総額3292万円を渡した。
釜田氏は、リスクをほとんど説明せず、「龍の如く上がる」「分配金も出ますよ」「満期になれば元本は返ってくるから大丈夫よ」などと調子のよいことばかり言った。


 これにより飯田氏は、483万円の損害を負ったことが、後に発覚する。


 悪行はこれにとどまらなかった。06年10月、釜田氏は、飯田氏のいるブティックにやってきて、いきなり、こう言い出した。
「今は下がっているから解約した方がいい。別のもっと、いいものを勧めたいんだけど、今はいいものがない。とりあえず、『社内預金』に入れとけば利息もいいし、安心だから」


 社内預金とは何か、と聞くと、釜田氏は「私には、退職金がない代わりに、利率のいい預金の制度が会社の中にあるの。定年のとき(11年6月)に利息も付いて、元本が一緒に返ってくるの」という。


 その言葉を信じた飯田氏は1376万円分を解約して、現金を釜田氏に渡した。この時の手書きの領収書も残っている。


 さらに10年2月にも、釜田氏は「今すごく預かっているものが、悪くなる。このままだとゼロになっちゃう。まだ少しあるから今おろしましょう。社内預金に預けて」と言った。飯田氏はいわれるままに460万円を渡した。結局、この金も戻ってこなかった。


 上記同様の被害を、他の主婦3人も受けた。被害に気付いたのは、10年9月、釜田氏にお金を預けていた別の客がみずほ証券池袋支店に問い合わせたのを機に、釜田氏の不正が社内で発覚したためだった。


 その後、釜田氏は解雇され、11年12月28日、破産手続きをした。この時の裁判所の書面によると、釜田氏は、夫の収入が低く、90年から、顧客から個人的に投資資金を預かって生活費に充てるようになり、04年頃以降、すべての取引客から「『社内限定の投資口』がある」などといって総額8千万円程度の資金を横領していたという。


 使途は、息子使用の車の頭金、自宅のリフォーム(風呂、屋根、外壁塗替え、床下材交換、トイレ、台所)など。


 被害者は少なくとも13人に上った。みずほ証券は、うち9人に対しては、詐取金の8割の和解金を払った。しかし、原告4人には、上述の被害額を払わなかった。


 そこで12年2月20日、被害を受けた主婦4人が、みずほ証券を相手取り、総額5756万2484円の損害金を求め、さいたま地裁川越支部に提訴した。


 これに対し、会社は、釜田氏はリスクを説明していたし、元本保証するとも言っていないし、原告たちは自らの判断で投資していた、と主張し、「社内預金」などといって詐取したことについては、釜田氏の本来業務と異なるから、会社に使用者責任はない、と反論した。


 こうして審理を重ね、今年1月30日、一審判決が出た。さいたま地裁川越支部第2民事部の坂本隆一裁判長は、会社の使用者責任を認め、合計3831万円の支払いを、みずほ証券に命じた。双方控訴し、二審で係争中である。


 なお、筆者はみずほ証券に対し、「原告たちが騙されたのは、一重に『みずほ』という巨大企業のブランドの肩書を信じた結果。それなのに、会社に責任がない、というのは、無責任ではないか?」と質問した。


 すると、同社コーポレート・コミュニケーション部の北野氏は「裁判中の案件についてのご質問にはコメントできません」というのみだった。銀行の闇は深い。(佐々木奎一)


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1 コメント

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みずほ銀行は (読者)
2015-01-30 00:40:34
みずほ銀行はかあるのですか?
みずほ銀行に取材せずに、みずほ銀行を断罪するのは異常ではないですか
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