ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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過労死・過労自殺が横行するワケ

2011年11月14日 | Weblog

 


 011年9月5日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事

「過労死・過労自殺が横行するワケ」

を企画、取材、執筆しました。


 キーワードは「過労死」…。
 

  9月5日付の産経新聞に「『猛暑で過労自殺』新入社員の両親、7日に提訴」という記事がある。これによると、20088月に過労自殺した兵庫県尼崎市の男性(当時27)の両親が「猛暑への配慮がなかった」として、男性の勤務先の運送会社(大阪市住之江区)に対し、約8,280万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁へ起こしたという。

 

 訴えによると、男性は20084月に入社後、大手飲料メーカーの清涼飲料水を積んでトラックを運転し、115台前後の自販機を巡回、商品を補充する仕事に従事し、自販機の故障や客からの苦情対応、洗車も行っていた。

 

 20087月の大阪は最高気温30度以上の真夏日が24日間、35度以上の猛暑日は5日間で、自殺する直前の業務日報には、男性が「倒れそうです」「台数多いのに猛暑はまじで無理!」などと書き残していた。「このとき会社が何とかしていれば、息子は死んでいなかった」と父親(64)は話しているという。

 

 ちなみに厚労省によると、昨年度に全国で起きた「過労死」は113件、「過労自殺」は65件。働き過ぎで死に至る過労死は、「karoshi」という言葉が英語の辞書にあるほど日本特有の問題となっている。

 

 それは日本人の国民性とも関係しているかもしれない。「敗戦国ニッポンの記録」(編著: 半藤一利/アーカイブス出版刊)によると、戦後の瓦礫と雑草の焼け野原の中で、日本人はひたすら奮闘努力して復興を果たしたことが記録されている。占領軍の兵隊は、目を丸くして「とにかく日本人は勤勉だ。とても負けた人間とは思えない」と本国へ書き送ったほどだった。

 

 こうした「勤勉」さは日本人の長所といえよう。がしかし、その国民性を悪用して、経営者に課せられた「安全配慮義務」を無視し、従業員を死に追いやることは許されるものではないことは明らかである。

 

 それなのに、現在、日本では、従業員を過労死、過労自殺に追いやった企業名さえ、伏せられている。

 

 例えば、ネットサイト『マイニュースジャパン』の佐藤裕一氏の記事「過労死発生の企業名を非開示」によると、過労死・過労自殺の企業名を厚労省に情報公開しても、真っ黒に墨塗りした文書が開示されるだけ。厚労省の役人は不開示の理由を「企業名を出すと会社の不利益になる」と述べている。

 

 国家が過労死の実態を闇に葬っている限り、問題は解決しそうにない。


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