ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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「大学中退」予防対策に公的資金注入の流れ

2014年02月13日 | Weblog

 平成二十六年一月三十一日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「「大学中退」予防対策に公的資金注入の流れ」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

  けさの毎日新聞一面トップに「大学中退 全国調査へ 年6万人以上 予防策検討 文科省」という記事がある。それによると、文部科学省は今年度から全ての国公私立大の「大学中退」の実態調査をする方針を決めたという。

 記事によれば、このような調査をする動機は、大学中退者の就職状況は、フリーターなどの非正規雇用や無職が多いので、その就職対策のためという。だが、就職対策というなら職安や職業訓練、資格取得補助などで実力をつけるのが本筋であろう。本音は記事中の次の一文にあるといえそうだ。「大学にとっても学費が100万円の場合、年間100人の中退者が出れば1億円の損失になる」要するに、大学救済措置てある。

 また、記事では、実際に中退予防対策を施している大学を紹介している。それによると、小中学校のような「担任制」を導入して学生にきめ細かく目配りしたり、中学・高校レベルの学び直し授業を取り入れたり、学生約10人につき1人の教員が「アドバイザー」として付き、授業への出席率が悪ければ面談して対応策を考えたり、年2回、保護者会を開く大学もあるのだという。

 また、記事では「中退問題に詳しい船戸高樹・九州共立大教授」という人物が「大学は昔のようなエリートだけの教育・研究の場でなく、多様な学生が入学するようになった。原因を分析し公的支援を急ぐ必要がある」と述べている。

 この調子だと、早晩、全国の大学で、小学校並の担任制が導入させることになりかねない。もちろん原資は我々の血税である。

 ちなみに、大学中退の理由は、「教育内容・方法が合わない」「学力不足で授業についていけない」など、もともと大学に行く資質や必要性があるのか疑問なケースが多いのが実態だ。

 この状況を改善するためには、大学よりむしろ、その前段階である高等学校から見直す必要があるのではないか。「軋む社会 教育・仕事・若者の現在」(著: 本田由紀/双風舎刊)によると、日本の高校は、普通科が全体の4分の3を占めており、工業科や農業科、商業科、看護科といった職業教育を主とする「専門学科」は、国際的にみて異様に少ないという。

 OECDの調査によると、後期中等教育(高校に該当)で、日本は普通教育コースの比率が7割超。日本と同水準の国は、韓国とポルトガルのみで、日本より高い国は、メキシコとハンガリーしかない。OEGD加盟国平均では、ほぼ5割。つまり、国際的にみると、日本の高等教育は「発展途上国レベル」という見方もできよう。

 義務教育を終えた人々が、もっと自分にマッチした道を歩めば、必然的に、高校の専門学科の比率が増えるのではないだろうか。そして、そうなれば必然的に、大学中退するタイプの人々は、大学に行かずに、もっと自分に合った道を見出す世の中になるのではないか。(佐々木奎一)


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